快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体

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流浪の如く

男2人のむさ苦しい部屋での会話

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「この前、繁華街にナツがいたけど、他の二人も同じキャバクラで働いてるのか?」

今日は山下が休みで家にいる。
早く出てってくれないかな…

「ん?あぁ、お前がウーロン茶ぶっかけた女か?あの女は別の店で働いてるよ。オレも、この前の居酒屋で初めて会ったんだから」

「三人とも知り合いじゃなかったのかよ?」

「あの右にいた女いただろ?オレが手を出した女」

「あぁ、あの馬面か。しかし、豚に馬面って、お前、ブス専かよ」

「どこが馬面だ!それにオレの彼女は豚じゃねえ!」

あの二人がキャバ嬢って…指名するヤツがいるのかよ。

「で、ソイツがどうしたんだよ?」

「何でも、高校の時の同級生らしいぞ。あの女は他の二人と違って、高級な店で、常にトップ3に入る程の人気だって言ってたなぁ」

ナツが?確かに豚に馬面と比べれば美形だし、人気はあるだろうな。
だが、あの目は何だろう。

「で、あの女と会って何したんだ?」

「何もしてねえよ、外に出て客呼び込んでる時に出くわしただけだから」

名刺の話はしないでおこう。
コイツに見せたら、すぐ連絡するだろうから。

「客引きしてたのかよ。お前あの女狙ってるのか?止めとけ止めとけ。ありゃ、貢がせて金が無くなったら相手にしないタイプだ」

「酒飲めないオレがキャバクラ行ってどうすんだよ?しかもこの前、ウーロン茶頭からぶっかけたしな」

多分、その事を根にもってるだろうな。

「しかし、お前よく女にあんな事するよな?いくらムカつくとはいえ、オレだったらそんな事出来ねえよ」

「アイツしつこかったじゃねえか。それにあの喋り方といい、箸の持ち方。あんな女にチヤホヤしてどうするってんだよ」

あの馴れ馴れしい話し方と、箸の持ち方。
いい大人がろくに箸も持てないってのがオレは無理だ。

「ところでさぁ、お前彼女とかいないの?」

彼女か…必要無いな。
オレは誰も信じないし、恋愛すらつもりもない。

「この生活見ろよ。そんな余裕あるわけないだろ」

おまけにコイツを住まわせてんだから。

「もしかしてお前、童貞か?」

童貞ねぇ、そう言えばレンタル会員だった頃から、女とは遠ざかっていたからな、もう何年も童貞だ。

「オレ?童貞かぁ。そうか童貞に見えるか、成る程」

山下にはオレが童貞に見えるらしい。
まぁ、無理もないか。

「おいおい、23で童貞かよ?いっそ風俗でも行って筆下ろししてこいよ」

16から毎晩通って数百万使ったけど、いい女はいなかった。

それ以来、風俗には行ってない。

「そんな事よりお前、店の女にちょっかい出してないいだろうな?そんな事したら罰金どこじゃ済まないぞ」

…真面目に仕事してんのかな。

「バカ、そんな事出来ねえよ!ボーイなんてのはキャバ嬢よりも扱いが下なんだぞ」

どうやら相当厳しく教育されてるみたいだな。

コイツに聞いてみたい事があった。

「なぁ、何でお前高校中退したの?」

「オレ?だってつまんねえしよ、頭悪いし、早く上京したかったから、ニ年のニ学期に辞めて、上京して色んな仕事したな」

「卒業してから上京した方が良かったんじゃねえのか?高校中退だと、働き口なんて中々無いだろ」

「うーん、実は中退したのをちょっと後悔してんだけどな。でも、今更夜間の高校なんて通えないし、勉強キライだから今はボーイやって店長になってそれから…いや~っははは!もう先が薔薇色過ぎて、高校なんて行ってられっかよ」

…幸せなヤツだな、この男は。

「で、お前は何で中退したんだ?」

「オレはほら、親が死んだしな」

オレは母親の遺骨の方に目をやった。

「じゃ、お前、それからずっと1人で暮らしてきたのか?」

「他に誰が面倒見てくれるんだよ?」

でも、面倒は色んな人に見てもらった。
沢渡さんや、鴨志田。そしてレンタル会員のオーナー…

沢渡さん以外の人達は、もうこの世にいないけど。

「そうか、お前も苦労したんだな。まぁ、元気出せよ!オレがここにいるじゃないか、これから仲良くやっていこうぜ」

「お前は早く部屋探してここから出てけ!ただでさえ狭い部屋なんだから、こんなとこに男二人で住んでられっか!」

「バカヤロー、寮の部屋がまだ空かないんだよ。それにちゃんと飯代払ってんじゃねえかよ!」

「飯だけじゃねぇよ、光熱費も折半だ!」

「汚ぇ、それも払うのかよ?」

「イヤなら豚の女のとこ行って、謝って許してもらって来い」

「テメー、人の彼女を豚扱いすんじゃねぇよ!」

…こんな感じでオレの部屋は随分と賑やかになった。

まぁ、早く出ていって欲しいが、1人でいるよりは暇潰しになるかな。
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