軍用AIアリス、当機はこれから悪役令嬢

黒田さん信者

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47,リミッターが嫌いな男の子はいないでしょ(偏見)

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「……なるほど、把握した」
 アリスは脳の機能制限と聞き、瞬時にクリスティーナの言いたいことを理解した。

「リミッターだな? 当機にも搭載されていた」
 リミッター。それは、機能を制限するセーフティーシステムであり、同時に枷でもある。これが存在することにより、フルスペックのおおよそ8割の力しか出すことが出来ない。だがもちろん、枷をつけることには意味がある。それは、限界を超えさせない事と、『本体』を破壊させないことだ。限界を超えると、担保されていた安全は消える。それに、本体への負荷が激しい。負荷をかけすぎると、それだけで本体の消耗を早める。

「リミッター? よくわかんないけど、アリスが理解できたならいいわ。要は、制限が無いと体が持たないの。仮に制限を破って100%で動けたとしても、体が壊れるわよ。だから80%が限界なの」

「理解した。それでもう一つ質問だ。私はこの体をどれくらいうまく使用できている?」

「……なんかその言い方、自分の体が自分のものじゃ無いみたいね」
 核心を突く一言に思わずアリスは固まる。

「そうねぇ、50%ってとこじゃない? それより、わたしが気になるのは、アリスの自信のほう」

「私の……自信?」

「そう、自信。アリスは凄く鍛えているのに、まだ自分を信用していない。というか、その体を信用しきっていない。だから、まだまだ戦い方が消極的だし、リスクを踏みにいかない」

「それは……」

「わたしにはわかる。要は自分の鍛えてきた過程に、そしてこの短時間で仕上げた力に、そして己の強さに自信が無いのよ」

「……」
 アリスはクリスティーナの言葉を吟味するように考え込む。

「というか、原因としてはその…… レブナートとケレナにもある」

「それはどういうことだ」

「簡単よ、あの二人は強すぎるのよ。今のアリスならヒラの兵士程度なら瞬殺できる。でも、思い出してみなさいよ。二人ともどこ出身?」

「出身? たしか、王国騎士団だったか」

「その通り。あの騎士団のいいところは、入隊するのに身分が関係ないところ。だから、入隊して成り上がろうと考える者も多いから、選び抜かれた猛者しかいない。それで、そこの元団長とその弟子、弱いわけがなくない?」

「……たしかに」
 王国騎士団。それは、王を守る最後の騎士であり、同時に王国最強の騎士を要する名実ともに最強の騎士団である。入隊には身分、性別は一切関係なく、ただ剣の腕が求められる。また、求められる力として『どれだけ護れるか』も重要になる。国と王を護るのが最大の仕事であるため、最強の矛であることと、最強の盾であることの両方が求められる。そのため、毎年入隊希望者が殺到するが、入隊できる人間は一年に1人いたらいい方だと言われている。

「というか、わたしも強いの。そこのところ理解してる?」

「もちろんだ。だが、私の方が上だと判断する」

「……なんでわたしにだけはそんなに強気なのかしら。一度勝ったから? それにしてもムカつくわね」

「事実だ。仕方あるまい」
 
「ぐぬぬ……また寝首を掻くわよ」

「上等だ、やってみせるといい」

「……とりあえずどちらが強いかは置いておいて。わたしが言いたいのは、アリスの周りには強い人しかいないから自信を失いかけてるのよ。一度でもレブナートに勝った事ある?」

「……一度もない。いいところまで行ったことは何度か」
 その言葉を聞き、クリスティーナは少し溜息をつく。

「でしょうね。だって彼、手加減とか苦手そうだもの」
 でも、そこが素敵なのよねと付け加える。

「本当なら、同じくらいの実力の相手がいるといいんだけどね……なによその指は。私が同じくらいの実力ですって? いやいや、圧倒的に私の方が上よ」
 ナイナイと首を振りつつ、歩みは止めない。

「あ、止まって。ここから入るから」
 屋敷の中をこっそり(とはいってもガシャガシャ音は鳴っているが)進んでいたクリスティーナが止まった。

「ここか? 何もないが」
 止まったのは、アリスの、厳密にいえばアレフルルの父(今は別の屋敷に住んでいる)の書斎の近くの壁の前であった。ここは、屋敷の端であり、アリスもほとんど通った事が無い。他のメイドも滅多にここに立ち寄ることは無い。

「いいのよ。そこにわかりずらいかもしれないけど、スイッチがあるのよ。ほら、その煉瓦」
 クリスティーナに言われた所を見ると、確かに煉瓦の色が他の煉瓦と少し違う。

「ここを押すと、壁が動くの。押してみて」
 言われるがまま、スイッチを押す。

「おお」
 少し力を入れて押すと、ズズズという振動が伝わってきた。

「ここが隠し部屋。セーフルームのつもりで作ったのかは知らないけど、シナがサボってここで寄りかかってなかったらわたしも気が付かなかったわよ」
 壁が扉のように開き、中から少しかび臭いような、それでいて古めかしい空気が流れ出てきた。

「さ、行くわよ」
 
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