76 / 100
その頃、王国では─
しおりを挟む
「大変です!次々に、アクエリアス領の独立を認めるとの書簡が周辺国から届けられました!」
ドアを蹴り破るぐらいの勢いで、伝令の兵士が宰相の部屋に飛び込んできた。
「またか…………」
すでに同じような書簡が届けられていて、宰相はすでに諦めかけな表情であった。
宰相はその書簡を国王の元へ届けた。
「はぁ~」
大きなため息を付きながら書簡に目を通す国王に、宰相は報告した。
「すでに、ほぼ………いえ今回届けられた書簡で、全ての周辺国がアクエリアス公国の独立を認めました。後は樹立式を済ませるだけで国として独立します」
「まさか全ての国を説得するとはな…………やはり龍族の協力が大きいのか?」
少し前の王都のパニックを思いだした。
「それもありますが、どんな病気も治すエリクサーを持っているという情報もあります。病気の王族や高位貴族に使い、協力を仰いだ所もあるようです」
「エリクサーだと!?」
国王は驚いたが、宰相が続けた。
「それだけではありません。アクエリアス公国には、とんでもない建物があったと報告がああした」
「とんでもない建物?」
宰相は頷くと、複数枚の用紙を取り出した。
「これは!?」
「まず、1枚目の建物は王国領から1番近い『城塞都市』の【絵】であります」
写真が無いため、密偵が模写した物が届けられたのだ。
「この城壁は石造りなのか?いつの間に?どうやって?」
このような建物は何年もの時間を使い建てるもので、シオン令嬢が修道院送りになってから作っても間に合わないのだ。
「それが信じられないことに、ほぼ1日で作り上げたと報告がありました…………」
「そんなバカな!!!?」
「ですよねー?」
宰相も最初は、国王と同じリアクションを取ったのでわかる。ありえない!と………
「シオン令嬢の魔法で建てたそうです」
「はい?」
かくかくしかじか……………………
宰相はわかる範囲で国王に説明をした。
「…………そして、このとんでも建物がアクエリアス公国の首都『アスタリスク』と?」
信じられない高さの建物に、世界樹が生えている世にも奇妙な建物を見て唸った。
「どうして、シオン令嬢の婚約を破棄しちゃったんだよ。我が息子よ?」
シオン令嬢の底知れぬ魔法の力に、恐怖すら覚える国王だった。
「そして、ここには多種多様な種族が暮らしている………か」
国王としても、亜人などの差別を無くそうと、色々と政策を打ち出していたが、根強い反感は消えず、上手くいっていなかった。
「ここには、国王が夢見ていた多種族国家が形成されているようですな。なんといっていいやら………」
王国は人間国家のため、亜人には厳しい国であった。帝国など、各種族の得意分野を使い発展していることを知っている国王は、随分前から亜人達の優遇政策を打ち出していたが、効果は芳しくなかった。
「エルフに獣人に龍族…………!?ドワーフに人魚ーーーーーーーー!!!?」
滅多にいない種族がどうして!?と思う国王だったが、すでにどうしようもない状況を理解していた。なので、ダメ元で宰相に尋ねたのだ。
「もし、仮に戦争を仕掛けた場合どうなると思う?」
宰相は目を瞑り静かにいった。
「結論を先に述べると負けて、ファーランド王国は滅びますな。そして王国全てがアクエリアス公国になるでしょう…………」
「経過としてはどうなる?」
宰相は紙に書きながら説明した。
「まず、我が貴族連合全ての兵力を集めて3万の軍を編成します。1万は帝国の備えとして防備に廻して、2万の兵力を当てる訳ですが………」
宰相は城壁都市を指さして言った。
「ここを落とすのに、攻城兵器を用いても落とせるのかわかりません。時間が掛かれば帝国が守りを突破して攻めてくるでしょう。最悪なのは南の周辺国も戦争に介入してくる所があれば、すぐに王国は滅びます」
国王はまた、ため息を付いた。
「逆に、アクエリアス公国に行くには帝国か、王国を通らないと行けないので、関税を掛けて嫌がらせと、税収を儲けるしかないでしょう」
「しかし、現在急務なのは誰もいなくなった旧アクエリアス領だ。早くなんとかしないと盗賊や浮浪者が集まり、無法地帯になってしまうぞ?」
宰相はそこで深いため息を付きいった。
「現在、移住者を募っています。当面は税の免除と次の収穫までの援助などで優遇策を取って募集しています。しかし、集まっても主要な街に100~200人が限界でしょう。元は5000人から1万人いた街に」
「少し離れた小さな町や村はゴーストタウンになるのか…………」
王国は当初、広大なアクエリアス領が手に入ると踏んでいたが、人が居ない土地を手に入れても管理が大変なだけで税収も入って来ないのである。まさに踏んだり蹴ったりであった。
「それに引き換え、新しいアクエリアス領は1年もしない内に目覚ましい発展をしていて、これからも発展していくとはな…………」
国王と宰相はため息しか出なかった。
そして、間の悪い時にトラブルは発生するのもである。
また、兵士が問題を抱えて飛び込んでくるのだった。
ドアを蹴り破るぐらいの勢いで、伝令の兵士が宰相の部屋に飛び込んできた。
「またか…………」
すでに同じような書簡が届けられていて、宰相はすでに諦めかけな表情であった。
宰相はその書簡を国王の元へ届けた。
「はぁ~」
大きなため息を付きながら書簡に目を通す国王に、宰相は報告した。
「すでに、ほぼ………いえ今回届けられた書簡で、全ての周辺国がアクエリアス公国の独立を認めました。後は樹立式を済ませるだけで国として独立します」
「まさか全ての国を説得するとはな…………やはり龍族の協力が大きいのか?」
少し前の王都のパニックを思いだした。
「それもありますが、どんな病気も治すエリクサーを持っているという情報もあります。病気の王族や高位貴族に使い、協力を仰いだ所もあるようです」
「エリクサーだと!?」
国王は驚いたが、宰相が続けた。
「それだけではありません。アクエリアス公国には、とんでもない建物があったと報告がああした」
「とんでもない建物?」
宰相は頷くと、複数枚の用紙を取り出した。
「これは!?」
「まず、1枚目の建物は王国領から1番近い『城塞都市』の【絵】であります」
写真が無いため、密偵が模写した物が届けられたのだ。
「この城壁は石造りなのか?いつの間に?どうやって?」
このような建物は何年もの時間を使い建てるもので、シオン令嬢が修道院送りになってから作っても間に合わないのだ。
「それが信じられないことに、ほぼ1日で作り上げたと報告がありました…………」
「そんなバカな!!!?」
「ですよねー?」
宰相も最初は、国王と同じリアクションを取ったのでわかる。ありえない!と………
「シオン令嬢の魔法で建てたそうです」
「はい?」
かくかくしかじか……………………
宰相はわかる範囲で国王に説明をした。
「…………そして、このとんでも建物がアクエリアス公国の首都『アスタリスク』と?」
信じられない高さの建物に、世界樹が生えている世にも奇妙な建物を見て唸った。
「どうして、シオン令嬢の婚約を破棄しちゃったんだよ。我が息子よ?」
シオン令嬢の底知れぬ魔法の力に、恐怖すら覚える国王だった。
「そして、ここには多種多様な種族が暮らしている………か」
国王としても、亜人などの差別を無くそうと、色々と政策を打ち出していたが、根強い反感は消えず、上手くいっていなかった。
「ここには、国王が夢見ていた多種族国家が形成されているようですな。なんといっていいやら………」
王国は人間国家のため、亜人には厳しい国であった。帝国など、各種族の得意分野を使い発展していることを知っている国王は、随分前から亜人達の優遇政策を打ち出していたが、効果は芳しくなかった。
「エルフに獣人に龍族…………!?ドワーフに人魚ーーーーーーーー!!!?」
滅多にいない種族がどうして!?と思う国王だったが、すでにどうしようもない状況を理解していた。なので、ダメ元で宰相に尋ねたのだ。
「もし、仮に戦争を仕掛けた場合どうなると思う?」
宰相は目を瞑り静かにいった。
「結論を先に述べると負けて、ファーランド王国は滅びますな。そして王国全てがアクエリアス公国になるでしょう…………」
「経過としてはどうなる?」
宰相は紙に書きながら説明した。
「まず、我が貴族連合全ての兵力を集めて3万の軍を編成します。1万は帝国の備えとして防備に廻して、2万の兵力を当てる訳ですが………」
宰相は城壁都市を指さして言った。
「ここを落とすのに、攻城兵器を用いても落とせるのかわかりません。時間が掛かれば帝国が守りを突破して攻めてくるでしょう。最悪なのは南の周辺国も戦争に介入してくる所があれば、すぐに王国は滅びます」
国王はまた、ため息を付いた。
「逆に、アクエリアス公国に行くには帝国か、王国を通らないと行けないので、関税を掛けて嫌がらせと、税収を儲けるしかないでしょう」
「しかし、現在急務なのは誰もいなくなった旧アクエリアス領だ。早くなんとかしないと盗賊や浮浪者が集まり、無法地帯になってしまうぞ?」
宰相はそこで深いため息を付きいった。
「現在、移住者を募っています。当面は税の免除と次の収穫までの援助などで優遇策を取って募集しています。しかし、集まっても主要な街に100~200人が限界でしょう。元は5000人から1万人いた街に」
「少し離れた小さな町や村はゴーストタウンになるのか…………」
王国は当初、広大なアクエリアス領が手に入ると踏んでいたが、人が居ない土地を手に入れても管理が大変なだけで税収も入って来ないのである。まさに踏んだり蹴ったりであった。
「それに引き換え、新しいアクエリアス領は1年もしない内に目覚ましい発展をしていて、これからも発展していくとはな…………」
国王と宰相はため息しか出なかった。
そして、間の悪い時にトラブルは発生するのもである。
また、兵士が問題を抱えて飛び込んでくるのだった。
0
お気に入りに追加
227
あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

少女漫画の当て馬女キャラに転生したけど、原作通りにはしません!
菜花
ファンタジー
亡くなったと思ったら、直前まで読んでいた漫画の中に転生した主人公。とあるキャラに成り代わっていることに気づくが、そのキャラは物凄く不遇なキャラだった……。カクヨム様でも投稿しています。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
幼馴染の勇者が一般人の僕をパーティーに入れようとするんですが
空色蜻蛉
ファンタジー
羊飼いの少年リヒトは、ある事件で勇者になってしまった幼馴染みに巻き込まれ、世界を救う旅へ……ではなく世界一周観光旅行に出発する。
「君達、僕は一般人だって何度言ったら分かるんだ?!
人間外の戦闘に巻き込まないでくれ。
魔王討伐の旅じゃなくて観光旅行なら別に良いけど……え? じゃあ観光旅行で良いって本気?」
どこまでもリヒト優先の幼馴染みと共に、人助けそっちのけで愉快な珍道中が始まる。一行のマスコット家畜メリーさんは巨大化するし、リヒト自身も秘密を抱えているがそれはそれとして。
人生は楽しまないと勿体ない!!
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる