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ルートイベント1

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 幼児化ラドとの生活は、日々でかくなっていくドラゴンの体に圧死させられる恐怖がなくなった分、私としては非常に楽なものだった。
 毎日のように身長測らされては、少しでも変化があると「すこしおとなにちかづいた!」と喜ばれたり、舌足らずの怪しい人間語で口説かれ?ることに、多少戸惑いを抱かないわけでもないが、見かけが幼児な分、そこまで動揺しないで済んでいる。

 ……まあ、ラドが再びあの状態に戻るであろう、一年後が怖くないかと言ったら嘘になりますが。
 とりあえず、今は深く考えなくて良いから良い。

 問題なのは、だ。

「…………さっきから、じっと人のこと見つめて、どうしたんですか。ルートさん。いい加減、穴空きそうです」

「あ……その……すまない」

「別に謝らなくても良いんですが」

「……………すまない」

 例のラドの人化の一件以来、めっきり口数が少なくなってしまったルートさん(しかし、相変わらず毎朝訪ねて来る)のことだ。
 
 ……いやね、別に口数少なくても良いんですよ。ルートさんが、前のまんまなら。
 問題は、今まで常にラドに向けられていたルートさんの暑苦しー視線が、あれ以来私にも向けられるようになったことなのだ。

 すまないと言いながら、一瞬逸らされただけで、再び向けられる暑苦しい視線を感じながら、朝ご飯のトーストを齧る。

 ……ラド、今までごめんね。私、君の状況分かっていると思っていたけど、ちゃんと分かってなかったよ。

 ガタイが良い、威圧感がある男前から、ただ黙って暑苦しい視線を向けられ続けるのって、こんなにつらかったんだね。 
 卵時代なんて、はっきり拒絶の意思表示も難しかった分、さぞ恐怖心を抱いていたことだろう。

 様子の怪しいルートさんを警戒して、少し離れた位置からこちらの様子をうかがっているラドに心の中で謝罪しながら、乾いた口の中をお茶で潤した。

 …………やっぱりこれ、ちゃんと突っ込まないと駄目かなあ。
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