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14歳と寒菊の…
聖画
しおりを挟むマリアンヌにとって、最初から性行為は夫とするものであった。ムラムラしたら夫で解消出来てしまっていた。なので実は自慰行為というものを今の身体で行ったことは実を言うと一度もない。
それ故、異世界版春画。――いわゆるエロ本と呼ばれるものを見るのはその時が初めてであった。
「こ、これは――!」
深夜。城内のほとんどの者が寝静まった頃。マリアンヌは自室でひとり、わざわざ手配して手に入れていた大きめの異世界版エロ絵画を持って興奮状態でその絵をくるくる回して眺めていた。
万が一マリアンヌが強引に迫って本物の不能にしては堪らないからと、とりあえずジゼルが本当に異性に興味が無いかどうか確認する為、手っ取り早くそういうモノで自慰行為するかどうかでこっそり裏で見極めてから迫ろうと作戦を練っていたのである。
そのために異世界版エロ本、もとい絵画を取り寄せて威力の事前確認をと思っていたのだが――。
「す、すごっ!」
マリアンヌは別に絵を見てエロい気分になったから興奮しているわけではなかった。興奮は全く別の理由である。
「緻密に魔力を絵画に練り合わせ、本物そのものが宿るなんて、なんて素晴らしい芸術作品!」
――そう。芸術作品。
マリアンヌは普段しっかりと隠しているが、前世の影響もあって根っからの魔法オタク。
だからこそ、聖画と言われるその絵の複雑に練られた魔法の凄さに気付いて興奮でひとり感嘆していたのだ。
「前世風に言えば単なる3Dの360℃立体映像だけど、映像ではなくまるで本物が目の前に居るような迫力。絵や映像では前世では不可能だっただろう裏側までその気になればバッチリ間近に丸見えで見られて触れてしまえる情事の風景。映像とは一見して分からない繊細なまでの表情の動きや伝う色んな雫のきめ細やかさなんて偽物とは思えない。……前世の技術ではまだ無理だった領域ね」
冷静に分析を終えたマリアンヌは思った。
これ、もしかしなくてもまだ童貞らしいジゼルにはいきなりオーバーキルなのでは……? と。
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