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13歳と白百合の…
動転
しおりを挟む「だからね、マリアンヌ自ら口説くのが良いと思うよ」
「私自ら……?」
ノエルの時も自ら口説いたようなものなので、自ら相手を口説くのは吝かではない。むしろ隙あらばそのつもりだが、――そもそも候補者すら見つからないのである。どうしろと? とマリアンヌは怪訝な表情でにこにこしているアンドレお父様を見上げた。
ルネの話をしに来たかと思っていたが、蓋を開けてみればいつの間にかマリアンヌの恋愛? 人生相談になってしまって――いったい何が言いたいのだろう。
お忙しいアンドレお父様が、こんなどうしようもないマリアンヌの悩みのために顔を見せるとはとても思えなかった。――話の流れからすると、まるでアンドレお父様がマリアンヌ好みの男性を見つけたから、後はマリアンヌ次第とでも言いたそうでもあった。……えっ?
「……まさか、どなたか心当たりが……?」
「そうそう、ルネなんだがね――」
マリアンヌは思わずガクッ、とコントのように肘を滑らせた。にこにこと話をさらっと変えてしまったアンドレお父様を恨めし気に見上げ、マリアンヌはため息を吐きたくなった。やはりそう簡単に見つかるはずもないか、と。
「――マリアンヌが口説いてみてはどうかな」
「……ルネをですか?」
女性を口説いても仕方ない気がするが、ルネの見目はマリアンヌ好みなので傍に置きたいとは考えていた。アンドレお父様がマリアンヌにそう言うのなら、もうマリアンヌに害は為さないのだろう。本当に報告したかったのはそのことか、とマリアンヌは納得して一時中断していた仕事を再開することにした。
「ルネは仕事に忠実ですし、好みの容姿ですから元々傍に置きたいと考えておりました」
「そうかい。好みなら良かった」
好みなら良い、とはどういう意味か。多少疑問に思ったものの、マリアンヌは用事が済んで軽やかに去って行くアンドレお父様を横目で見送る。
「ではそろそろ失礼するよ――ルネが夫になってくれるよう、頑張って口説くんだよ」
「ええ、ごきげんようアンドレお父様。ルネが夫になってくれるよう頑張って口説……。……ん? るねが、――ルネがおっ、夫ですって!?」
悩み過ぎて疲れていたせいか、アンドレお父様の退室間際の言葉を何も考えず反芻したマリアンヌは、言葉の意味を理解した瞬間に座っていた豪奢な椅子を蹴とばす勢いで衝撃の事実に動転したのであった――。
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