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13歳と白百合の…
半信半疑と不安
しおりを挟む「私もアルテミアと婚姻すると決まった時は半信半疑で、とても不安になったものだよ」
「……アンドレお父様が?」
この世界でも指折りの美形と謳われるアンドレお父様が、母との結婚に半信半疑だったとは初耳である。普段から仲睦まじい二人の様子を見ていたマリアンヌには想像できない言葉であった。
「アルテミアは、当時の私にとっては神にも等しい存在だったからね。たとえ容姿でちやほやされていても、とてもではないがそんな神の伴侶になるとは思いも寄らなかったんだよ」
「そうなのですか……」
ちやほやって……自分で言ってしまうのか。とマリアンヌは微妙に思いつつも、アンドレお父様の言葉に耳を傾ける。つまりマリッジブルーになった、ということなのか? と。
「婚姻や恋に愛、誰でも不安に思う事柄ではあるんだよ。ただ、マリアンヌが好む容姿のものたちは私以上に疑うだろうね。彼らは否定され続ける生き方をしているだろうから」
「なるほど……」
美女が不細工好きと言えば、嘘かどうかはともかく喜ぶ人が多そうな前世基準で単純に考えていたマリアンヌは、この世界の不細工の扱いを本当のところでは理解出来ていなかった。
彼らは見た目だけで迫害されてきたのである。冷静に考えれば、そんな容姿第一な世界の最上位に位置する容姿のマリアンヌが、不細工大好き! と宣ったところで胡散臭いだけであった。
その状況を想像してみて、まるで新手の宗教勧誘かツボでも売られそうだ、とマリアンヌは現実から目を逸らしたくなった。……確かに多少の下心はあるが、断じて悪い目的ではない。どうせなら前世基準の美形逆ハーレムに囲まれたい! という願望が悪い目的であるかどうはさておき。
思い返せばノエルも人型で居る時のほうがソワソワとしていて落ち着きが無い。……そういえばよく逃げられるのは人型の時が多かった。顔を背けるように逃げるのは照れているのかと思っていたのだが、まさかとんだお目汚しを! 的な逃亡だったのだろうか。それはそれでショックな事実である。
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