不自由と快楽の狭間で

Anthony-Blue

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56.絶頂

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「うっっ、うぐっ」

 ボクに見せつけるかのように、M字に足を開いて体中を揺らして言葉にならないあえぎ声を上げている。『クチャクチャ』とガムを噛むような音が、ボクの耳に届いている。ふたつの大きく隆起した乳房と、美しい曲線を描いている下腹部も、ダウンライトに照らされて光の中で踊っている。

「ねぇ、気持ちいいでしょ?瑞樹、言ってごらんなさいよ。気持ちいいって」

 柔らかなヒダをペニス全体で感じながら、快感はボクの脳に運ばれてくる。しかし、どこかで冷めた目で見つめているボクがいる。

「なに黙ってるの。気持ちいいでしょ?」

 無言のボクにイラついて、萌が腰の動きを大きくする。動きの速さに伴って、萌の息も上がってくる。萌の膣から漏れ出た愛液が、動くたびにボクに滴り落ちてくる。

 動き疲れたのか、快感で姿勢が維持出来なくなったのか、萌はボクの胸に手をついて腰を前後の動きに変えた。

「瑞樹、気持ちよくないの。わたしの中で出してよ」

「ダメだよ」

「なんで?わたしじゃ逝けないってこと。わたしじゃダメってこと?」

「そんなことないけど」

「じゃあ、わたしと一緒に逝ってよ。じゃないと・・・殺す」

 萌は、胸に置いていた両手を、ボクの首にかける」

「冗談はやめてね。そんなことしたら、益々逝かなくなっちゃうよ」

 なにかに引き戻されたように

「冗談だから・・・わたしの大切な瑞樹にそんなことしないよ」

 と、慌てたように言った。

「萌が気持ちよくなれれば、それでいいんじゃない」

「だって、それじゃイヤなんだもん」

 そう言うと、萌は再び腰を浮かせて上下運動を始めた。

「あっ、ううっん」

 動き方を変えたことで、萌の気持ちの良いスポットにまだまだ硬いままのペニスが当たったのだろう。太ももは痙攣しているようにピクピクと筋肉が動き始めている。腹筋も大きく振幅を繰り返し、息も荒くなっている。それでも、自分は絶頂を迎えまいと硬く唇を結んで、相当ガマンしているように見えた。

「あああっ」

 突然、大きな叫び声を上げた萌は、背骨を弓なりに反らして乳房をブルブルと震わせて絶頂を迎えた。

「逝っちゃったぁ。絶対、瑞樹を先に逝かせようと思ってたのに」

「残念。でも萌が気持ちよかったんならいいんじゃない」

「冷めたような目で見ないでよ。そんなにわたしのおまんこって気持ちよくないの?」

「そんなことないさ」

「くやしい」

 ボクの上で、絶頂の余韻の痙攣が消えてもいないのに、ペニスを抜こうともしないでまた動き始めた。絶頂感が完全に冷めないうちに、腰を激しくグラインドさせていると、また萌の声が部屋中に響き渡る。

「だめぇ。いやぁー、また逝っちゃう」

 もう、意地になっているとしか言いようがない萌は、3回ほど同じようなことを来る返していた。

「今度こそ、出して貰うんだから」

 カラダは汗にまみれて、あそこは抜いて貰えず、愛液でぐしょぐしょになった二人の下半身は糸を引いて繋がったままだ。ボクも、快感の波が訪れてはいるのだけれども、頂上に登り切れていない状態だった。何回も逝くたびに、ボクの胸で荒い息を繰り返しているというのに、萌は諦めようとはせずに腰を振っている。ラブホテルにありがちな時計のない部屋に、無限の時が流れているようだった。途中で

「ボクが上になってやろうか?」

 と、提案はしてみたのだけれども

「ダメ。わたしのモノなんだから、わたしが出させてみせる」

 といい、聞かなかった。

「また、逝きそう」

 萌は、上から恐ろしい顔をして、ボクを睨みつけた。
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