不自由と快楽の狭間で

Anthony-Blue

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55.押さえられる

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「ゴムは着けようね」

 萌は、ボクの口から逃れて、カラダをボクの下半身の方にスライドさせて、そのまま手に持ったペニスを入れようとしていた。ボクの言葉を聞いてむっとした表情でこちらを向いた。

「そんなもん、着けたくないわ」

「ダメだよ。着けないとエッチしないよ」

「うるさい!」

 萌は、カラダごとこちら向き直して、ボクの腕を取った。両方の腕を頭の上に持って行き、萌は片手でボクの腕を押さえ込んだ。

「なにするんだ」

「瑞樹が、うるさいこと言うからよ。今日から、わたしは自由になったの。その大事な夜に、余計なモノを挟みたくないの。瑞樹を直接感じたいの。だから大人しくしててね」

 萌は、押さえ込んでいる手に力を込めた。自由な方の片手で、ペニスをしごく。

「ほら、ダメだって言ってても、こんなに元気なままじゃん」

「そこは不自由なんだから仕方ないじゃん。だから、余計にゴム着けないと」

「しつこいわよ。せっかく、わたしのモノを見つけたんだからいいのよ」

 萌は、ボクの言葉に耳を貸すつもりもなく、腰を浮かせてペニスを自分の膣口に押し当てた。

「さぁ、入れるわよ」

 ゆっくりと、味わうようにペニスを飲み込んでゆく。先ほど感じたアナルとは違って、もっとやわらかく包み込むような感覚が、ペニスから伝わってくる。

「ああっ、やっぱり瑞樹のおちんちんが一番気持ちいい。わたしのおまんこと相性ぴったりだわ」

 根元までしっかり入れたまま、萌はしばらくそのまま動かずに目を閉じている。ボクが、諦めたと判断したのだろう。押さえつけていた手を離して、すこし仰け反る形でボクの太ももに手をついている。萌の割れ目に、突き刺さっている自分のペニスが見える。思いっきり拒めば、挿入はいくらでもやめさせることが出来たのに、それをしなかったのはボクが偽善者だからだろうなと考えている。

「ねっ、やっぱりゴムなんて着けない方が気持ちいいでしょ?わたし、わかってたんだから。瑞樹がわたしと生でやりたかったこと」

 ボクの心を、見透かせているように言った萌の言葉に驚いていた。

「ボクは、そんなこと思ってないし」

「ほんとかな?こうやってじっとしてると、わたしのおまんこの中で瑞樹の鼓動が感じられるのよ。すっごく、ドックンドックンしてるの。まるで、精子が出る時みたいにね。ほんとに精子が出るときってどんなになるんだろうって、想像してたらそれだけで逝きそうになっちゃった」

 妖しく笑っている萌を、ボクは抵抗も忘れ去って見上げるばかりだった。

「ねぇ、気持ちよくなろうね」

 そう言うと萌は、ゆっくりと腰を上下に振り出した。
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