358 / 770
四章 異世界旅行編 2 トカ国
343 トンネルのある街
しおりを挟む
ツチ町に辺りでは遠くに見えていた山脈が、次のコケ町に着く頃には、その連なった山々がハッキリと見えた。
聞いてた通り、北上するほど高く南下すれば低くなっていた。
ツチ町のギルドに預かった荷物を渡し、国境の街への道を聞き翌日出発。
道幅も広くなり、すれ違う人や馬車も増えてきた。
キ町の辺りは暑くもなく寒くもなく、過ごしやすい陽気だったが、山脈に近付くにつれて吹き下ろす風が冷たく、夜になると息が白くなるくらい寒くなった。
「国境の街に着いたら着るものを買おう」
「それほど寒くはないわよ」
「これのお陰では?」
ビワがアレナリアに指輪を見せて答える。
「そういえばこの指輪、寒冷耐性の付与がしてあったわね」
「山に近付けばもっと寒くなるだろうし、薄着だと目立つからね」
「いつもみたいにマントで隠せば」
「大きな街に着けば品揃えの良い服屋もあるでしょ。それに冒険者用の無地のマントより、二人は女性用のコートとか服を買った方がいい」
「あちしは?」
「レラの分か……」
「それなら私が作ります。レラ一人分なら、私でもなんとか」
「大変じゃない?」
「大丈夫です。レラの服は私が作るから。それで良い?」
「いいよ」
「なら決まりだ。レラはビワと相談して、どんな服を作ってもらうか決めるといい。必要な生地と道具は街で買い揃えよう」
コケ町を出てから五日後の昼前、トカ国とフギ国の国境の街『ホタテ』に到着。
今まで通ってきた町と比べてもかなり大きい。
山に向かっている道の先には、山の斜面へと入って行く大きなトンネルが見えた。
高い場所に掘られたトンネルは、街の至る所から見え、両国の観光名所になっていた。
トンネルを通るのは貴族や豪商とばかりだと聞いていた通り、街の高台にある一等地には、見るからに高級な宿屋が多く建ち並んでいた。
カズ達一行は街に入ると、冒険者ギルドに近い宿屋を場所を聞き、そこに向かった。
観光地ということもあり宿屋は多かったが、馬車を停めることのできる宿屋は中々見つからない。
馬車が停められる宿屋を見つけても、商店や大通りに行きやすい場所だと、どこも満室。
宿屋を決めるだけで時間が掛かり、見つかった頃にはすっかり暗くなっていた。
馬車を停められる宿屋を確保できたが、一部屋しか空いてなかった。
しかも冒険者ギルドや商店が並ぶ通りからはかなり離れてしまい、街の端にある貧困層が住む場所が近くにあった。
「必要最低限の物だけ出しておいて、他は俺が預かるよ。レラのギルドカードはもちろん預かるが、ビワはどうする?」
「預かってもらいなさい。すられたら大変だから」
「そうします」
ビワのギルドカードを預かったカズは、レラのギルドカードと一緒に【アイテムボックス】にしまい入れた。
宿屋探しで遅くなってしまったため、夕食はあるもので済ませた。
二台しかないベッドは、アレナリアとビワに使わせ、カズは硬い椅子で。
申し訳なさそうにするビワと、布団をめくり隣が空いてるとアレナリア誘う。
当然そんな誘いには乗らず無視。
いくらアレナリアが小さかろうと、一人用の狭いベッドに二人は無理。
本来は二人部屋だが、他に空いていなかったので仕方なかった。
カズは椅子に座って腕を組み〈アラーム〉を使用してから寝た。
◇◆◇◆◇
夜が明ける少し前、アラームが起動したわけではなかったが、カズは不意に目を覚ました。
特に何かあるというわけではなかったが、常時表示させているマップに目を向けると、馬車を停めてある場所に向かう二つの動くマークがあった。
カズはそのまま様子を伺うことにした。
動きを見る限り、馬車の持ち主ではないことは明らか。
停めてある馬車の数は四台、狙いは馬車に置いてある荷物か、あるいは馬車そのものか?
カズは荷物の殆どを持って来ていたので、馬車以外に盗られて困る物は特になかった。
一通り物色してるみたいだけど、うちの馬車はほぼスルーか、まあ盗るような物は乗ってないからな。
一番端の馬車に狙いを定めたか。
面倒事になるのは嫌だけど、盗みをしてるのに気付いて見てるだけってのも……あ、誰か馬車の方に行った。
馬車置き場に向かった人物が、盗みしている二人を発見すると「誰だ! 何をしている!」と、大きな声を発した。
気付かれた二人は、慌てて馬車置き場から逃げた。
「朝から……なんなの?」
眠たそうに身体を起こすアレナリア。
「まだ暗いじゃない。あちしまだ眠いんだから静にして」
起こされたことを怒り、アレナリアの寝る布団に潜るレラ。
「どうかしたんですか?」
「それが…」
ベッドに座って話を聞こうとするが、アレナリアの目は虚ろで今にも倒れそう。
いつも早起きのビワも、まだ眠そうにしている。
「…いや、まだ暗いから寝てていいよ。俺ももう少し寝るから」
「そう…ですか」
アレナリアとビワは横になり寝直す。
カズは静かに部屋を出て、馬車置き場へと向かった。
そこにはさっき声を張り上げた人物、宿屋の主人が居た。
大きな声が聞こえて来たからと言い、知らないふりをして、何があったのか宿屋の主人から話を聞いた。
「ここは貧民地区が近いせいで、盗人が現れるんだ。ついさっきも二人来ていた」
「よく気付きましたね?」
「うちは侵入されてもわかるように、夜は警報のアイテムを使っているんです。ここらの宿じゃそうないですよ。お客さんも馬車持ちでしたね。何か盗られてないか、確認してください」
「分かりました(警報のアイテムか。俺が使ってるアラームと似た効果なのかな?)」
「どうでした?」
「大丈夫です。元々大した物は積んでなかったので」
「そうですか、それは良かったです。朝早くから起こしてしまい申し訳ない。そろそろ明るくなってきますが、もう少し部屋で休まれては?」
「昨日街に着いたばかりなので、周りを少し散歩してきます」
「そうですか。先程も言いましたが、スラムが近いのでお気を付けて」
「はい」
カズは宿屋の主人と別れ、明るくなりつつある街を少し歩いた。
薄暗い路地には、獲物を探すかのような人影がちらほらと。
スラム地区が街の三割もあるのを見る限りでは、貧富の格差が大きく治安も少し悪いようだった。
ここまでに通ってきた町の人々も質素な暮らしをしていたが、この街よりは治安が良かった。
安全性を考えると行動は四人一緒にして、情報収集と買い物を終わらせたら、長居をせずに街を出た方がいいか。
滞在しても、せいぜい三日ってとこだな。
二人…三人か、明るくなってきたのに、まだ尾行してくる。
まいてから宿に戻らないと。
人のいない路地に曲がると、カズは静かに屋根へと飛び上がり、尾行する三人をまいて宿屋に戻った。
部屋に戻ると起きていたのはビワだけ、アレナリアとレラはまだ夢の中。
朝食をビワと用意して二人を起こし、食べ終えると服を買いに出掛ける支度をする。
「レラこっち来て。イリュージョンをかけるから」
「ほ~い」
イリュージョンを使ってレラの姿を小人に見えるようにした。
「飛んじゃ駄目よ。レラは小人族に見えるんだから」
「分かってるって」
「あーその、なんだ。喜んでるとこ悪いが、レラはそっち」
カズは置いてある肩掛け鞄に顔を向ける。
「えぇー! アレナリアに見た目を変えてもらってるんだから、別に出てたっていいでしょ」
「小人族でも珍しいだろ」
「なら他の種族にすれば」
「……例えば?」
「エルフだとアレナリアより小さくなっちゃうし、獣人とかどう?」
「レラくらいの獣人族っている?」
「私は詳しくないので」
ビワは首を横に振り、アレナリアがカズの問に答える。
「獣人の中には小さな種族はいるわよ。でも、人口の多い街で見ないってことは、それこそ珍しい種族ってことになるでしょ」
「まあそうだな。でもそれを言ったら、小人族も珍しいんじゃないか?」
「気付かなかったの? 数は少ないけど、この街に小人族は居るわよ」
「……気付かなかったなぁ。居るんだ、小人」
「私も気付きませんでした!」
この街に小人族が居たことに、ビワも驚いていた。
「パッと見ただけだと、子供と間違えるわね。あ、子供と見間違えると言っても、大人の小人族よ。小人族の子供だったら、レラと同じくらいのも居るわね」
「そうなんだ。だから小人族に見えるようにしたんだ」
「場所にもよるけどね。幸いここは小人族が居るから。でも気を付けないと、愛玩ものとして拐われる危険はあるわ。フェアリーと比べれは、狙われる危険は少ないわ」
「どっちみち狙われるってことか」
三人は肩掛け鞄とレラを見る。
「分かったもん! 入ってればいいんでしょ」
ぷりぷりとしながら、肩掛け鞄に入るレラ。
「もっと快適に移動したいんだけど! 買い物に行くんだから、あちしの可愛い新しい鞄も探してよ!」
「ああ、分かった。と言っても、可愛いのを俺が持つのはさすがに。そこはアレナリアとビワに任せるよ」
「しょうがないわね」
「可愛いの見つかるといいね」
「買い物終わったら、この街のギルドに行ってみよう」
「そうね。この街での冒険者がどの程度のランクか分かれば、うまくすれば護衛としてトンネルを通れるかも知れないわよ」
「おお! それは確か、いや無理だろ」
「元々フギ国に入って山脈を迂回するつもりだったんだから、駄目元で依頼を見てみましょうよ」
「駄目元でな(ギルドに行けば、トンネルの通行料が分かるだろう。全員で金貨二十から三十枚程度なら、トンネルを通って行こう)」
「ええ。駄目元で」
「とりあえず先に買い物だ(アレナリアの提案はいいんけど、四人パーティーの内二人が戦闘ができないから、護衛としてトンネルを行くのは無理だろ)」
この日やることが決まり、先ずは服を買いに大通りへと足を進めた。
聞いてた通り、北上するほど高く南下すれば低くなっていた。
ツチ町のギルドに預かった荷物を渡し、国境の街への道を聞き翌日出発。
道幅も広くなり、すれ違う人や馬車も増えてきた。
キ町の辺りは暑くもなく寒くもなく、過ごしやすい陽気だったが、山脈に近付くにつれて吹き下ろす風が冷たく、夜になると息が白くなるくらい寒くなった。
「国境の街に着いたら着るものを買おう」
「それほど寒くはないわよ」
「これのお陰では?」
ビワがアレナリアに指輪を見せて答える。
「そういえばこの指輪、寒冷耐性の付与がしてあったわね」
「山に近付けばもっと寒くなるだろうし、薄着だと目立つからね」
「いつもみたいにマントで隠せば」
「大きな街に着けば品揃えの良い服屋もあるでしょ。それに冒険者用の無地のマントより、二人は女性用のコートとか服を買った方がいい」
「あちしは?」
「レラの分か……」
「それなら私が作ります。レラ一人分なら、私でもなんとか」
「大変じゃない?」
「大丈夫です。レラの服は私が作るから。それで良い?」
「いいよ」
「なら決まりだ。レラはビワと相談して、どんな服を作ってもらうか決めるといい。必要な生地と道具は街で買い揃えよう」
コケ町を出てから五日後の昼前、トカ国とフギ国の国境の街『ホタテ』に到着。
今まで通ってきた町と比べてもかなり大きい。
山に向かっている道の先には、山の斜面へと入って行く大きなトンネルが見えた。
高い場所に掘られたトンネルは、街の至る所から見え、両国の観光名所になっていた。
トンネルを通るのは貴族や豪商とばかりだと聞いていた通り、街の高台にある一等地には、見るからに高級な宿屋が多く建ち並んでいた。
カズ達一行は街に入ると、冒険者ギルドに近い宿屋を場所を聞き、そこに向かった。
観光地ということもあり宿屋は多かったが、馬車を停めることのできる宿屋は中々見つからない。
馬車が停められる宿屋を見つけても、商店や大通りに行きやすい場所だと、どこも満室。
宿屋を決めるだけで時間が掛かり、見つかった頃にはすっかり暗くなっていた。
馬車を停められる宿屋を確保できたが、一部屋しか空いてなかった。
しかも冒険者ギルドや商店が並ぶ通りからはかなり離れてしまい、街の端にある貧困層が住む場所が近くにあった。
「必要最低限の物だけ出しておいて、他は俺が預かるよ。レラのギルドカードはもちろん預かるが、ビワはどうする?」
「預かってもらいなさい。すられたら大変だから」
「そうします」
ビワのギルドカードを預かったカズは、レラのギルドカードと一緒に【アイテムボックス】にしまい入れた。
宿屋探しで遅くなってしまったため、夕食はあるもので済ませた。
二台しかないベッドは、アレナリアとビワに使わせ、カズは硬い椅子で。
申し訳なさそうにするビワと、布団をめくり隣が空いてるとアレナリア誘う。
当然そんな誘いには乗らず無視。
いくらアレナリアが小さかろうと、一人用の狭いベッドに二人は無理。
本来は二人部屋だが、他に空いていなかったので仕方なかった。
カズは椅子に座って腕を組み〈アラーム〉を使用してから寝た。
◇◆◇◆◇
夜が明ける少し前、アラームが起動したわけではなかったが、カズは不意に目を覚ました。
特に何かあるというわけではなかったが、常時表示させているマップに目を向けると、馬車を停めてある場所に向かう二つの動くマークがあった。
カズはそのまま様子を伺うことにした。
動きを見る限り、馬車の持ち主ではないことは明らか。
停めてある馬車の数は四台、狙いは馬車に置いてある荷物か、あるいは馬車そのものか?
カズは荷物の殆どを持って来ていたので、馬車以外に盗られて困る物は特になかった。
一通り物色してるみたいだけど、うちの馬車はほぼスルーか、まあ盗るような物は乗ってないからな。
一番端の馬車に狙いを定めたか。
面倒事になるのは嫌だけど、盗みをしてるのに気付いて見てるだけってのも……あ、誰か馬車の方に行った。
馬車置き場に向かった人物が、盗みしている二人を発見すると「誰だ! 何をしている!」と、大きな声を発した。
気付かれた二人は、慌てて馬車置き場から逃げた。
「朝から……なんなの?」
眠たそうに身体を起こすアレナリア。
「まだ暗いじゃない。あちしまだ眠いんだから静にして」
起こされたことを怒り、アレナリアの寝る布団に潜るレラ。
「どうかしたんですか?」
「それが…」
ベッドに座って話を聞こうとするが、アレナリアの目は虚ろで今にも倒れそう。
いつも早起きのビワも、まだ眠そうにしている。
「…いや、まだ暗いから寝てていいよ。俺ももう少し寝るから」
「そう…ですか」
アレナリアとビワは横になり寝直す。
カズは静かに部屋を出て、馬車置き場へと向かった。
そこにはさっき声を張り上げた人物、宿屋の主人が居た。
大きな声が聞こえて来たからと言い、知らないふりをして、何があったのか宿屋の主人から話を聞いた。
「ここは貧民地区が近いせいで、盗人が現れるんだ。ついさっきも二人来ていた」
「よく気付きましたね?」
「うちは侵入されてもわかるように、夜は警報のアイテムを使っているんです。ここらの宿じゃそうないですよ。お客さんも馬車持ちでしたね。何か盗られてないか、確認してください」
「分かりました(警報のアイテムか。俺が使ってるアラームと似た効果なのかな?)」
「どうでした?」
「大丈夫です。元々大した物は積んでなかったので」
「そうですか、それは良かったです。朝早くから起こしてしまい申し訳ない。そろそろ明るくなってきますが、もう少し部屋で休まれては?」
「昨日街に着いたばかりなので、周りを少し散歩してきます」
「そうですか。先程も言いましたが、スラムが近いのでお気を付けて」
「はい」
カズは宿屋の主人と別れ、明るくなりつつある街を少し歩いた。
薄暗い路地には、獲物を探すかのような人影がちらほらと。
スラム地区が街の三割もあるのを見る限りでは、貧富の格差が大きく治安も少し悪いようだった。
ここまでに通ってきた町の人々も質素な暮らしをしていたが、この街よりは治安が良かった。
安全性を考えると行動は四人一緒にして、情報収集と買い物を終わらせたら、長居をせずに街を出た方がいいか。
滞在しても、せいぜい三日ってとこだな。
二人…三人か、明るくなってきたのに、まだ尾行してくる。
まいてから宿に戻らないと。
人のいない路地に曲がると、カズは静かに屋根へと飛び上がり、尾行する三人をまいて宿屋に戻った。
部屋に戻ると起きていたのはビワだけ、アレナリアとレラはまだ夢の中。
朝食をビワと用意して二人を起こし、食べ終えると服を買いに出掛ける支度をする。
「レラこっち来て。イリュージョンをかけるから」
「ほ~い」
イリュージョンを使ってレラの姿を小人に見えるようにした。
「飛んじゃ駄目よ。レラは小人族に見えるんだから」
「分かってるって」
「あーその、なんだ。喜んでるとこ悪いが、レラはそっち」
カズは置いてある肩掛け鞄に顔を向ける。
「えぇー! アレナリアに見た目を変えてもらってるんだから、別に出てたっていいでしょ」
「小人族でも珍しいだろ」
「なら他の種族にすれば」
「……例えば?」
「エルフだとアレナリアより小さくなっちゃうし、獣人とかどう?」
「レラくらいの獣人族っている?」
「私は詳しくないので」
ビワは首を横に振り、アレナリアがカズの問に答える。
「獣人の中には小さな種族はいるわよ。でも、人口の多い街で見ないってことは、それこそ珍しい種族ってことになるでしょ」
「まあそうだな。でもそれを言ったら、小人族も珍しいんじゃないか?」
「気付かなかったの? 数は少ないけど、この街に小人族は居るわよ」
「……気付かなかったなぁ。居るんだ、小人」
「私も気付きませんでした!」
この街に小人族が居たことに、ビワも驚いていた。
「パッと見ただけだと、子供と間違えるわね。あ、子供と見間違えると言っても、大人の小人族よ。小人族の子供だったら、レラと同じくらいのも居るわね」
「そうなんだ。だから小人族に見えるようにしたんだ」
「場所にもよるけどね。幸いここは小人族が居るから。でも気を付けないと、愛玩ものとして拐われる危険はあるわ。フェアリーと比べれは、狙われる危険は少ないわ」
「どっちみち狙われるってことか」
三人は肩掛け鞄とレラを見る。
「分かったもん! 入ってればいいんでしょ」
ぷりぷりとしながら、肩掛け鞄に入るレラ。
「もっと快適に移動したいんだけど! 買い物に行くんだから、あちしの可愛い新しい鞄も探してよ!」
「ああ、分かった。と言っても、可愛いのを俺が持つのはさすがに。そこはアレナリアとビワに任せるよ」
「しょうがないわね」
「可愛いの見つかるといいね」
「買い物終わったら、この街のギルドに行ってみよう」
「そうね。この街での冒険者がどの程度のランクか分かれば、うまくすれば護衛としてトンネルを通れるかも知れないわよ」
「おお! それは確か、いや無理だろ」
「元々フギ国に入って山脈を迂回するつもりだったんだから、駄目元で依頼を見てみましょうよ」
「駄目元でな(ギルドに行けば、トンネルの通行料が分かるだろう。全員で金貨二十から三十枚程度なら、トンネルを通って行こう)」
「ええ。駄目元で」
「とりあえず先に買い物だ(アレナリアの提案はいいんけど、四人パーティーの内二人が戦闘ができないから、護衛としてトンネルを行くのは無理だろ)」
この日やることが決まり、先ずは服を買いに大通りへと足を進めた。
12
お気に入りに追加
539
あなたにおすすめの小説
ゴミスキル『空気清浄』で異世界浄化の旅~捨てられたけど、とてもおいしいです(意味深)~
夢・風魔
ファンタジー
高校二年生最後の日。由樹空(ゆうきそら)は同じクラスの男子生徒と共に異世界へと召喚された。
全員の適正職業とスキルが鑑定され、空は「空気師」という職業と「空気清浄」というスキルがあると判明。
花粉症だった空は歓喜。
しかし召喚主やクラスメイトから笑いものにされ、彼はひとり森の中へ置いてけぼりに。
(アレルギー成分から)生き残るため、スキルを唱え続ける空。
モンスターに襲われ樹の上に逃げた彼を、美しい二人のエルフが救う。
命を救って貰ったお礼にと、森に漂う瘴気を浄化することになった空。
スキルを使い続けるうちにレベルはカンストし、そして新たに「空気操作」のスキルを得る。
*作者は賢くありません。作者は賢くありません。だいじなことなのでもう一度。作者は賢くありません。バカです。
*小説家になろう・カクヨムでも公開しております。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
俺の召喚獣だけレベルアップする
摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話
主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った
しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった
それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する
そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった
この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉
神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく……
※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません?
https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる