転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様

撫羽

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第一章

7ーディアナ

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 朝です。早くに目が覚めたので、またお邸の敷地内をモモとお散歩しています。
 お邸の裏、こっち側は何があるのかしら?

 ――コケッ、コケッ、コ、コ、ココ……

 え? この鳴き声って……鶏小屋? 牛舎もあるじゃない。

 良く知る鳴き声の方へ歩いて行くと、正に前世にある様な鶏小屋と牛舎がありました。その向こうに牧草地が広がっています。

 凄いじゃない。卵も牛乳も新鮮な物が手に入るわ。
 でも、鶏小屋にいるのは前世にいた様な鶏さんではありません。大きい大きいコッコちゃん! だから、鶏舎も大きいわ。

「おっ! 嬢様!」

 手を振ってる人がいるわ、あれはえっと……そうだ! うちの副料理長のイワカムね。
 私が小さい頃から訳の分からない事を言っても真剣に聞いてくれて、一緒に料理を試行錯誤して開発してきたのね。
 イワカムのおかげで今美味しい料理が食べれるわ。

「イワカム! 何してるの?」
「朝食に出す卵を選びにきました。こいつら、若いのをよこすと足蹴りで攻撃してくるんスよ。元魔物ですからね。舐めてるんスよ」

 元魔物ですって!? コッコちゃんて魔物なの!?

「嬢様には懐いてるスね。やっぱ敵わないて分かってるんじゃないスか? なんせ嬢様が坊っちゃん達と捕まえてきたのが殆どっスから。ハハハ!」

 どう言う事よ? コッコちゃん。えっと、思い出せ……そうだ! どうしても卵が食べたくて兄様にお願いして、捕まえに行ったんだ!
 小さい私って何してるのー!?
 きっと食べたくて我慢できなかったんだろうなぁ……気持ちは分かるけどぉ。

「それで毎朝イワカムが取りにきてるの?」
「そうっスよ」
「有難う。いつも美味しいわ」
「わふっ!」
「それは良かったス。モモも美味いか。そうだ、嬢様。ニコラがサツマイモを沢山持って来ましたよ。また何か作るんスか?」
「違うわよ。ニコラがスイーツでも作ってもらえ、て収穫してくれたのよ。だから、イワカムに任せるわ」
「ああ、任せて下さい! 美味いの作るっスよ!」
「楽しみだわ」
「わふん!」


 朝ごはんです。イワカムが取ってきてくれた、生みたての卵で作ったベーコンエッグが美味しそうです。うちのベーコンエッグはベーコンが厚めで黄身がトロトロなのよ。とっても美味しいの。
 てか、やっぱコッコちゃんの卵って大きいわね。黄身がドーン! て、感じだわ。

 今朝も帝国第3皇子様は、目をキラッキラさせて食事をしてます。

「嬉しそうね~」

 お母様達に聞こえない様に、コッソリ話します。

「そりゃあね、前世と比べると食事事情が雲泥の差だからね。こんな食事を食べられると思わなかったよ。マジで。ベーコンエッグがこんなに美味いとは思わなかったよぉー」

 ほーーん。涙出てるわよ。

「私は結構小さい時から食べていた気がするなぁ」
「あれだね、知らないうちにやらかしてた、てパターンだね」

 第3皇子様、バチコンッ! て、ウインクしたわ。やだこのイケメン!

「今度、邸の裏を案内して差し上げますわ。コッコちゃんいるから」
「マジかッ!?」
「飼育してるから」
「あれって飼えるのか?」

 実際に飼っているもの。

「あ、そうそう。ルル、あなたディアナの処に顔を出しなさい。何か約束をしていたのではなくて? 昨日から探していたわよ」

 ん? ディアナて誰だったかしら? んー……あっ! リアンカのお姉さんでうちのお抱え薬師ね。畑の近くにある薬草園も管理してくれてるのよね。
 シルバーブラウンの髪に濃紺の眼のキリッとした美人さんなのに、薬草やポーション作りが好き過ぎて婚姻する気がないのよね。約束してたかなぁ?

「お母様、約束をしていたかは思い出せないのですが、ディアナに会いに行ってきますね」
「ルルーシュア嬢、私もご一緒しても構わないかい?」

 ニコッて、キラッキラの笑顔ね、レオン殿下。

「構いませんよ。お父様、宜しいですか?」
「ああ、午後からは領地内をご案内するがそれまでなら構わないぞ。だがルル、一人でウロウロしない様に。リアンカも連れて行きなさい」
「はい、分かりました」

 あれ、一人じゃダメだって。いつも一人で勝手にウロウロしているのに、皇子が一緒だとダメなのかしら?

「では、レオン殿下、参りましょうか?」
「ああ。では、私もお先に失礼します」
「お嬢様、サロンで少しお待ち下さい。急ぎリアンカを呼んで参ります」

 学生の頃からお父様に付いてる、執事兼側近のガイウスね。
 なんとリアンカとディアナのパパです。紺色の髪に濃紺の眼の渋いイケオジです。

「ええ、構わないわよ。急がないからゆっくりで良いわ。モモも一緒に連れて来る様に伝えてちょうだい。レオン殿下、応接室へ行きましょう」
 
 ささ、早く早く。リアンカが来る迄に諸々確認したい事があるのよ。

「あ、お茶頂けるかしら?」

 応接室にいるメイドに言って、紅茶を頂きます。一口ゴグリ。うん、美味しい。そして、ヒソヒソ。

「レオン殿下、今のうちに確認しておきたい事があります」
「ん? どうした?」
「レオン殿下も前世の記憶を持っていらっしゃるから、もしかしたらと思って……ご存知かしら?」
「何をかな?」

 んー、コレは知らないのかなぁ? 言うよ、言っちゃうよ!

「ステータスオープンと」
「えっ? マジ? マジでか!? 出るのか? 子供の頃に何度か試してみたけど、出なかったから諦めてたんだ。ステータスオープン……お! 出た! なんでだ?」

 試してみたんだ……反応がなかったらちょっと恥ずかしいわよね~。男の子って好きよね。

「さあ? 私も昨日知ったばかりなので。最初だけステータスオープンと。次からはステータスのみで開きます。因みに周りからはステータス画面は見えません」
「おぉー! あー、レベル上げしたい!!」

 あら? そんな感じなの? 帝国は魔物がいないから、なかなかレベルは上がらないわよね。
 私もまだまだレベル上げしたいけど。目指せ、ALL MAX!! ふふん!

「レオン殿下、うちの領地にいればガンガンレベル上がりますよ」
「えっ? それは嬉しいけど、何で?」
「魔物が沢山出ますからね。うちの領主隊なんてマジ強いわよ。なんなら裏の森に行きますか? 私もまだまだレベル上げしたいし」
「えっ? ルルーシュア嬢は令嬢なのに?」
「だから昨日お話ししたでしょう? ミスリルリザード倒したって」
「あぁ、そうだった。もしかして俺よりレベル高かったりして?」
「さぁ、どうでしょう? ふふふ」

 フフフ……悪い笑顔になっちゃったわ。

「お待たせしました、ルル様!」
「わふんっ」
「リアンカとモモも来ましたし、参りましょうか?」


 さて、ディアナの研究室です。お邸の敷地内にあります。
 私達がいるお邸の裏側に、領主隊の駐屯所と鍛練所が並んで建っています。その並びに使用人棟があります。その手前に、ディアナがいる研究室等が入っている棟があります。
 今朝見ていた養鶏場や牛舎、牧草地や畑等は、これらの棟のまだ奥ですね。なんせ広いから。

「ルルさまー! お身体は大丈夫ですかー!? 心配しましたよー!」

 ギュムッ! うっ! 研究室に入るなり、ディアナに抱きしめられました! グフッ! 苦しい!

「わふっ!!」
「姉様、ルル様が苦しんでます! 離して下さい!」 
「あらー、ごめんなさい。私とした事が。あら? モモちゃん本当に大きくなっちゃったわね」
「わふっ」
「もふもふも倍増ね!」
「わふ?」

 ディアナ、モモをわしゃわしゃしています。

「あらあら? こちらは?」
「こちらは、私の婚約者で帝国第3皇子のレオン殿下です。昨日から滞在されてるのよ」
「レオンだ。よろしく」
「ルル様の……? ルル様を泣かせたりしたら許しませんよ」

 ええッ!? ディアナがいつの間にか手に短剣持ってるわ!

「姉様!!」

 ディアナ、何処から短剣出したの!? いつの間に!?

「あら、ごめんなさい。ホホホ……どうぞお座り下さい」

 あー、なんか思い出してきたわ。そうだわ、ディアナは私の事が好き過ぎてタマに暴走するんだったわ……

「それよりディアナ。私を探してくれてた、て聞いたわ」
「ええ、ルル様。こちらです。確認して下さいな」

 ニコッ! て、いい笑顔でポーションらしき物を差し出してきたわ。あれ? ディアナ、ドヤってる?
 早速、鑑定……と。

「あ、ディアナ、スゴイじゃない! コレ、フルポーションね!!」
「えぇっ!?」

 皇子様、ビックリお目々です。目玉が溢れ落ちそうよ。
 何故なら、この世界には初級ポーション、中級ポーションはあっても、フルポーション……完全回復する物はまだ開発されていなかったのです。
 昔々にはあったらしいんだけど、今はもう作れる人がいなくて文献でしか見ない物だったのよ。
 千切れかけた四肢や、欠損があっても再生できる超優れ物ね。ファンタジーだわ。

「スゴイわ! どうやって!?」
「ふふふ、ルル様の魔力のおかげですよ」

 私の魔力ですって!? 私関係あるの!?

「薬草を育てる時点でルル様に聖属性の魔力を掛けてもらいました。且つ、薬草を蒸留する際に使用する水にもです。そうしたら、まぁあら不思議! フルポーションが出来上がりました!」

 いやいや、そんな訳ないでしょ。イヤイヤイヤ、それは言い過ぎだわ。

「あー、やっちまってるな」

 皇子の独り言が煩い。

「でも、それではルル様がいないと出来ない事になります。ですからね、ルル様の様に聖属性魔法に長けた者数名で試してみようと思います」
「なるほどね。もしそれが成功したらうちの領地で独占ね」

 うふふ。素敵だわ。

「でもディアナ、それで満足してはダメだわ。状態異常や、病にも対応できる物を目指さないと。うちの領地は魔物が出るからポーションは必需品だけど、国全体で考えると病の方が深刻だわ」
「ええ、でも以前ルル様が仰ってましたでしょう? 病には其々その病の病原菌やウイルスがいると。複数のものに対応するのは難しいですわ」

 私は……なんて事を言ってたの!?


「だからと言って諦めるつもりはありませんわよ」

 ディアナ、やる気ね!
 てか、皇子が……

「あーーー、ウィルスとかやらかしまくってるわ……」

 テヘペロッ!
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