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第二章

93ー新しい魔道具

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「では、私も出ます。ご馳走さまでした」
「ケイ、不足はない?」
「殿下のマジックバッグの中にあった肉まんとアイスを頂きましたので、大丈夫です」
「違うわよ、ケイが食べる食事はあるの?」
「ルルーシュア様! なんてお優しい!」

 ん? このテンションは誰かに似てるぞ。

「ルル様、大丈夫です。沢山補充されてましたよ」
「そう、リアンカ有難う。ケイ、無理しないで気をつけてね」
「はい、有難うございます」

 ケイは出発して行きました。

「ルル、レオン」
「ラウ兄様、どうかしましたか?」

 いつの間にかラウ兄様が横に立ってました。ラウ兄様を見上げます。

「ああやって、リル達の後にケイは出るだろ? なのに、何故か街にはケイの方が先に着くんだよ。不思議だろ?」
「ラウ兄様、そうなんですか?」
「ああ、リルが不思議がっていた」
「まあ、ケイはそう言う奴です」

 何それ? どんな奴なわけ?

「つまりだな……」
「帝国のそういう一族の人間だ、て事よ」
「お母様」

 いつの間に!

「母上、ご存知なのですか?」
「ラウ、私は帝国の人間だもの」
「レオン様、そうなの?」
「ああ、ルル。王族には皆一人従者兼影が付く。それがその一族なんだ。専門的な教育と鍛練をされて育った人間だ」
「なんて……なんてカッコいい!」
「「ルル!?」」
「だってラウ兄様、レオン様、カッコいいじゃないですか!」
「ルル、あなたはもう……女の子なのよ」
 
 女の子は関係ないと思うけど。

「関係あるわよ」

 また心を読まれたわ。
 さて翌日、お昼過ぎに先の街に戻ってきました。クロノス侯爵とジュノー様を拾って王都に向かいます。お二人共、かなり元気になられてました。良かったです。
 そして、ユリウスとマーリソン様も合流です。

「ルルーシュア様! お久しぶりです!!」

 そうそう、このテンションだったわ。

「ユリウス、マーリソン様魔石の購入と、魔道具作成して下さっていたんですって? 有難うございます」
「なんのこれしき! ルルーシュア様のお役に立てるならば!」

 うん、スルーでいいや。

「ルル様、そちらは如何でした?」
「ユリウス、街は酷いものだったわ」
「そうですか。ケイが簡単に肉まんを配れたみたいだったので予想はしていましたが」
「ユリウスも気がついていたのね?」
「まあ、多少は。ルル様、魔道具できましたよ」
「そうなの? 見せて。私も欲しいわ」
「お? 出来たのか? 俺も欲しい!」
「ユリウス、皆んなの分あるの?」
「ありますよ。それとルル様」
「なあに?」
「王都のモーガン様のお邸に設置型の物を作ろうかと」
「そうね、何かある度に王都に走ってもらってたんじゃあね」
「はい。マーリソン様とも考えたのですが、ルル様にもアイデアを出して頂けたらと」
「私よりマーリソン様の方が良いんじゃないの?」
「夕食の後にでもご相談しても?」
「ユリウス、分かったわ」

 そして、その夕食の後です。
 皆に魔道具を配りました。今回はクロノス侯爵とジュノー様にもです。

「こんな魔道具が作れるものなのですな」
「本当に、驚きました」

 クロノス侯爵とジュノー様の言葉です。うちのメンバーは……はいはい今度は何?て、感じですか。セイバーも抵抗なく皆もう着けています。
 ユリウスが説明します。

「この魔道具に魔力を流して下さい。それだけで、話せます」

 マーリソン様がじっとクロノス侯爵様とジュノー様を見ています。

「お二人はあまり魔力量が多い方ではありませんね?」

 マーリソン様がクロノス侯爵様とジュノー様にお話なさいます。

「はい、私も娘もあまり」
「この魔道具を使えない事はありませんが、短い時間になるかと思います。一言、二言ですね。それを覚えておいて下さい。もしもの時はそれを踏まえて使って下さい」
「分かりました」

 そうなのね。ラウ兄様がリルと普通に話していたから、そんな事思いもしなかったわ。

「皆様、どうですか?」
「ああ、大丈夫だ」
「そうね、良く出来ているわね」

 お父様とお母様です。

「あ、待って下さい。ケイがもう次の街の直ぐ側にいる様です」

 ラウ兄様に通信が入ったのね。それにしても、やっぱりケイ速いわね。

「ラウ、何か異変でも?」
「いや、レオン。父上、今迄の街の事が噂になっている様で、既に解呪希望者が待っているそうです」
「そうか。ケイはどうすると?」
「はい、父上。街の方から先に解呪を進めるそうです。この時間はもう貴族街には入れないので」

 そう。時間が遅くなると貴族街て入れなくなっちゃうのよね。

「そうか、無理をせず危険のない様にと伝えてくれ」
「はい、分かりました」
「ルル様、設置型の魔道具なんですが」
「ああ、ユリウス。そうね。どんな構想なのかしら?」
「ルル様、先程マーリソン様が注意されていた様に魔力の多くない人は使い勝手が良くないのです。設置型は持ち運びを考慮しなくて良いのですから、代わりにどんな人でも使える様に一つ大き目の魔石を土台に組み込むのは如何かと」

 ふむふむ。

「で?」
「其処までです」
「ユリウス」
「ルル様」
「時間を頂戴」
「分かりました」

 大きい魔石を使う事しか、決まってないじゃん!

 この先の街々にも噂が先行していて解呪は思っていたよりずっと早く済みました。 
 そして、いよいよ王都です。今回もお祖父様のお邸にお世話になります。
 早く済んだと言っても、あの後幾つもの街に立ち寄ったので結局1ヶ月ほどかかってしまいました。
 でも、ユックリだったのがクロノス侯爵様とジュノー様には良かったみたいで、あれから体調を崩される事もなく元気に王都に着く事が出来ました。
 先行していた、リルとノトス、ケイも合流してお祖父様のお邸に向かいます。


「父上、またお世話になります」
「アーデス、挨拶はよい。報告を聞こう」

 お祖父様のお邸です。今日から暫くはクロノス侯爵様とジュノー様もお祖父様のお邸に宿泊されます。王都の解呪がまだ済んでいないので、狙われる可能性がある為です。お二人は部屋で休まれます。
 私達はお祖父様様とお祖母様、伯父様と報告会です。
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