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第二章

89ーモモちゃん天然?

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「ルル、レオン。さっきの男なんだが」

 お父様がもう食べ終わられて此方に来ました。そうだったわ。報告しておかなきゃ。

「お父様。その男からの情報ですが、あの街にいた教会の司祭が今から行く街に逃げているようです」
「なに!?」

 男から聞き出した話をお父様にしました。

「ヒロインだから下僕になりなさいとは、よくそんな事を言えたものだ。しかし司祭は次の街で必ず解呪しないとな。司祭て職業が気になる」
「公爵、そうですね。皆、司祭てだけで信用しますからね」
「ああ、レオン。聖職者だからな」

 ラウ兄様がやって来ました。

「父上、リルから報告が入りました」
「ラウ、そうか。リルは何と?」
「もう既に貴族も解呪を終えたそうです。ケイも街で取り零しがないか調べているそうです」
「早いな」
「はい、今は領主が不在なので、やり易かった様です」
「ラウ、その中に司祭がいないか確認してもらってくれ。さっきの街にいた司祭がその街に逃げたらしい」
「はい」

 凄い早く解呪できたのね。もう行く必要なくない?

「父上、一人いるそうです! ケイが、早朝に街をフラフラと歩いている所を見つけて解呪したそうです。腹を空かせていて、隣街から逃げて来たと言っていたそうです」
「決まりだな」
「あー、それとケイが、肉まんの手持ちが心許無くなってきたそうで、補充したいと言っているそうです」
「ラウ、ケイにお前は食べるな! と、言っておいてくれ!」
「ハハ、レオン。分かった」
「明日の昼迄にはそっちに到着するから、その時に補充する様に伝えてくれ」
「父上、分かりました」
「絶対にケイは自分で食べ過ぎてるだろう。あいつは!」

 レオン様、まぁいいじゃない。沢山あるんだし。

「それとルル」
「はい、ラウ兄様」
「さっき石を投げた男を追いかけて、いつの間にどうやって解呪した?」

 あ……。

「えっと……」
「魔法だろ?」

 レオン様! 言っていいのか迷ってるのに、何アッサリ言ってるのかしら!

「モモも使ってたな」

 ジュード兄様まで! ジュード兄様いつの間に来たの?

「ルル、大丈夫よ」
「モモちゃん」
「何? 魔法ですか?」

 ほら、ユリウスが来ちゃったわ。

「魅了を魔法で解呪ですか?」

 魔法馬鹿のマーリソン様まで来ちゃったわ。

「魅了も状態異常の一種でしょ?」
「モモちゃん、状態異常……そうか! ディスエンチャントですか!?」
「ユリウス、そうよ」
「成る程、気がつきませんでした!」

 マーリソン様でもそんな事あるの?

「最初がディアナの解呪薬だったので、思い込んでいましたね」

 そうそう、そうなのよユリウス、先入観て怖いわねー。

「そうみたいね。母上様もユリウスもマーリソン様も使えるわね」
「ならばモモちゃん」
「マーリソン様、何かしら?」
「エリアヒールの様に、ディスエンチャントもエリアで使えませんか?」
「ルルなら出来るんじゃないかしら?」

 ん……?

「なんと!! やはりルルーシュア様は違う!」

 なんでよ。

「て、言うかモモさん?」
「ルル、なあに?」
「もっと早く其れを言ってくれれば良かったんじゃないかしら?」

 イワカムにスッゴイ沢山の肉まん作ってもらって大変だったのよ? イワカムがね。

「わふ……」

 あー、都合悪くなったらコレよ。

「モモちゃん、喋って」
「みんな解呪薬に拘ってたから、魔法じゃダメなのかと思ったのよ」
「そんな訳ないじゃん!」
「わふっ……!」

 モモちゃん……。

「なんだ? なんの話だ?」

 お父様、再び登場。手にバーガー持ってるわ。取りに行ってたの?

「父上、解呪薬ではなくても、魔法でも解呪できる事が分かりました」

 ラウ兄様が報告です。

「そうなのか!?」
「ええ。母上やルル、それにユリウスとマーリソン殿が使えるそうです」
「ジュードなぁに? 私が何かしら?」

 お母様まで登場。お父様の口の周りを拭いてるわ。仲良しなんだから。

「母上も魔法で魅了を解呪できるそうです」
「ラウ、当然じゃない。魅了も状態異常の一つだもの」
「「「えっ!?」」」

 思わず兄妹3人、声が揃ったわ。

「お母様、知っていたなら何故仰らなかったのですか?」
「えっ? だってルル。皆、解呪薬に拘っていたから魔法じゃダメなのかと思ってたのよ。違ったのかしら?」
「わふっ!」

 モモちゃん……ほら! て思ってるでしょ。ホント、思い込みって怖いわー。

 はい、馬車の中です。向かいにレオン様、私の横にリアンカ、足元にモモ、モモの上にルビがいます。
 レオン様の横にピアが座っています。二人、同じ様に腕を組んでます。……て、ピア組める程腕ないじゃん! 腕組めるの?

「参ったな……」
「ピ……」
「そうね」
「まさかな…… 」
「ピピュ……」
「ええ、本当に」
「わふ……」
「まさか、モモまで天然とはな」
「ピ?」

 ん?

「いや、公爵夫人もか」
「ピ……」

 んん?

「まぁ、そうなるとルルが天然でも仕方ないか」
「ピー」

 んんん?

「わふ」

 ピアは一緒に話してるつもりなのかしら? レオン様の真似してるの?

「次から、ルルがそのエリアだっけ? ディスエンチャントしたら即解決じゃん! 楽勝だな!」

 いや、そんな訳ないし。そんな大規模なディスエンチャント使える訳ないじゃない。

「使えるわよ」

 モモちゃん! こんな時は喋るのね!

「ルルと私が一緒に使ったら出来るわよ」 
「モモ……」

 そうよ、レオン様、言ってやって。言ってやって!

「わふ?」
「ホント、モモそれ早く言おうな!」

 その通り! レオン様、良く言ってくれたわ。
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