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第二章

74ー尋問結果

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 ラウ兄様の報告によると、やはり侍女は先に聞き出した様に王都でのシュークリームの件で魅了に掛かったらしい。
 身柄を確保後直ぐに解呪薬を飲ませたところ、ある日から突然に男爵令嬢を崇拝するがごとく惹かれたんだそう。そして、男爵令嬢と第2王子との間を邪魔しているのが、ジュノー嬢だと。男爵令嬢が修道院に送られてからも、ジュノー嬢を排除さえすれば戻ってくると思い込んでいたそう。
 他のならず者達は、知っての通り指輪の魔道具で操られていた。その間は何も考えられなかったのだとか。そんな魔道具、恐ろしいわ。
 で、小屋から逃げていた2人。1人はならず者の頭格でもう一人はアレイ・モルドレッド。やはり、モルドレッド家分家の次男で魔導士団第2士団団長だった。この二人は魅了に掛かっていた。解呪薬を飲ませてから話を聞くと、侍女と同じ様な事を言っていた。
 そして、全ての者を操っていたのがサクソン・モルドレッドだった。マーリソン様にとっては最悪の結果だったわ。
 指輪の魔道具はサクソンに言われて、アレイ・モルドレッドが作った。今回の計画を立てて、侍女を引き込んだのもサクソン・モルドレッドだった。

「想像していたより魅了で操られている者が多いな」
「はい、父上。まさか、ならず者までとは思いもしませんでした。通りで男性関係の悪い噂が広がる訳です」
「そして、サクソン・モルドレッドですが、ジュード」
「はい、兄貴。サクソン・モルドレッドは国外追跡になった後、一度は国を出ています。しかし、今回捕まえたならず者の手引きで直ぐに国内に戻っています。そして、潜伏先はモルドレッド家分家、アレイ・モルドレッドの邸です。マーリソン殿が予想していた様に、闇の魔石を湿地帯に置いたのもアレイでした。アレイは婚約破棄のあったパーティーの時は遠征に出ていて、その遠征時に魔石を置いたらしいです。タイミング的にその直ぐ後に我々が発見した様ですね。そして王都に戻ってきた時は既に男爵令嬢は修道院に送られた後でした。アレイの家、モルドレッド家分家はアレイだけでなく、アレイの父親も魅了に掛かっている様です。王家は第2王子と関わりのあった者にしか、解呪薬を飲ませておりませんので、魅了に掛かったままだと予想してます。多分、アレイの父親は今も解呪できていないと思われます。サクソンを匿っているのも、この父親です。サクソンの従兄弟にあたります。今回、一連の事件はサクソンとアレイの父親が手引きをしているそうです。恐らく今も分家の邸にサクソンは匿まわれている様です」
「ジュード殿、では私の父も魅了に掛かっているのですか?」
「ええ、勿論その様です。毎日一緒にいたそうですから、掛かってない筈がないでしょう。マーリソン殿の義弟はたまたま第2王子の側近候補でしたので、解呪薬を飲んで既に解呪されています。母親もです。が、サクソンはその前に国外追放になっているので、解呪されないままかと」
「王家の失態だ。あれだけ密に関わっていたのだから、解呪薬を飲ませてから追放すれば良いだけの事だ」
「父上の言う通りかと」
「もっと徹底的に解呪していれば、今回の様な事は起こらなかったかも知れないわ」
「母上。そうかも知れません」
「あの馬鹿王家、どうしてくれましょう!」
「お母様、落ち着いて下さい」
「ルル、許せないわ。どれだけ沢山の命が失われて、どれだけの人が傷付けられた事か! それでよく、ルルを婚約者になどと言えたものだわ! どのお口で言っているのかしら!」

 あー、お母様はそれが一番気に食わないのね。

「マーリソン殿、その分家の事を教えてもらえるか?」
「はい、公爵様。当主が、クロウリー・モルドレッド。私の父サクソン・モルドレッドの従兄弟に当たります。次男はご存知の通り、アレイ・モルドレッド。25歳。私より2歳上で、小さい頃からやたらと絡んでくる嫌な奴でした。私が魔道士団副士団長に選ばれた時に、意義を申し立てた程です。嫡男が、イスター・モルドレッド。28歳。貴族の人付き合いが苦手でさっさと領地に引っ込んでます。たしか、一人子供がいた筈です。イスターは、小さい頃からのんびりとした平和主義者だった様に思います。領地で父親のクロウリー・モルドレッドの代わりに領地経営をしていて、平和に穏やかに暮らしている筈です。こんなところでしょうか」

「公爵様、一つ宜しいでしょうか?」
「ケイ、どうした?」
「先日、報告の途中で拉致事件が起こりましたので、ご報告が中途半端になってしまっておりましたので、改めて後少しご報告しておきたい事が御座います」
「ああ、そうだったな。頼む」

 え、いつからケイはそこにいたの? えっ?

「ルル、ケイはそう言う奴だ」

 ええーっ! 何それ! やだ、怖い!

「サクソン・モルドレッドですが、1年程前までは第2王子の愚行を叱り諌め王子とはどうあるべきかを諭すような人物であった様です。短気な性格故に敵は多かった様ですが。マーリソン様、お父上の言動がおかしくなったのはいつ頃からかは覚えておられませんか?」
「父が? そう言われれば……私の母が在命中は、短気なところは有れ陛下に進言したりまだヤンチャなバッカス殿下を諌めたりしていた事もあった様に思います。よく母に、もっと言い方を考えないとバッカス王子がお可哀想だと注意されていたのを覚えております」
「そうなのです。今回改めてサクソン・モルドレッドを調査したところ、マーリソン様の仰るように先妻様がご存命の頃は今回の様な無謀な事を考える様な方ではなかったようです」

 何? どう言う事かしら?

「ケイ、何を掴んだ?」
「殿下、順を追ってお話しますので。此処までの事を踏まえて、後妻のマリー・モルドレッド夫人。旧姓をマリー・ダスピルクと言います」
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