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第1章 ルルンデで生活するのら
30ー不審者
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ニコ兄が薬草を育てだしてから、最初は半分枯らしてしまったりしていた。でも、今ではそんな事もなく立派に育っている。そして、どんどん種類が増えている。
普通のポーションなら、ニコ兄の畑で充分作れる程になったのだ。
俺は思うのだ。きっと、ニコ兄も何かのスキルを持っている筈なのだ。きっとそうなのだ。
そう言えば……ニコ兄が育てた薬草で作ったポーション、ディさんが中級ポーションだと言っていたのだ。
そんな事をボーッと考えながら、薬草を摘んでいたのだ。
「ロロ坊ちゃま!」
「え……ひゃぁ~」
突然、マリーが叫び俺を抱き上げた。驚いたのだ。
ピカやチロも威嚇の声を上げている。寝そべっていたピカがいつの間にか立ち上がって、俺の前に立っていた。チロはチョロチョロと移動し、どうやったのかいつの間にか俺の肩に乗っていた。
「ロロ坊ちゃま、離れないでください」
「まりー?」
見ると、冒険者のような身形の知らない男が立っていた。手に縄を持っている。
男は何も言わずに、いきなりその縄をピカに向かって投げた。ピカの大きな体に、投げ縄の様に輪にしてあった縄が掛かる。
「ぴか!」
「わふッ!」
この男、ピカを狙っているのか。どうしてピカを!?
ピカはまだ動かない。そのまま男はピカを引っ張ろうとした。
でもびくともしないピカに、縄をもう1周ピカの体に巻き付け引っ張ろうとしている。
それでも動かないピカを、今度は無理矢理首元を掴もうとした。
こいつ、無理矢理にでもピカを連れて行くつもりだ。そんなの絶対に駄目なのだ!
「ぴか!」
「うぅぉぉぉん!」
ピカが一鳴きすると、細かい風の刃がヒュンヒュンと現れてあっという間に縄を切り刻んだ。
そして、男の服も彼方此方を切り刻んでいる。ピカの風属性魔法だ。
男は何が起こったのか理解できていないみたいだ。驚いて尻餅をついている。
まさか、ワンちゃんに反撃されるとは思っていなかったのだろう。甘いのだ。ピカは強いのだ。
それでも男は、ピカを捕まえようと手を伸ばす。そんなのピカに敵うわけがない。
俺はピカに叫んだ。ビシッと片手で男を指して言ったのだ。
「ぴか、ちゅかまえて!」
「わふッ」
ピカがヒョイと男に覆いかぶさり、背中に両方の前足を乗せて倒した。
「グヘェッ!」
変な声を出して、男は気絶したのだ。
えっ? それだけで? ピカは何も攻撃していないのだ。ただ、前足を乗せただけなのだ。
そんなので、よくピカを捕まえようとしたものなのだ。おそまつ過ぎる。
「あらあら。ロロ坊ちゃま、気絶しちゃいましたね」
「ね~」
「わふぅ」
「ね~、弱かったね~」て、ピカも言ってそうだ。
こいつ、まさかあの我儘令嬢の手先なのか? 確実にピカを狙ってきた。ピカを渡せと言われたばかりだから、ついあの令嬢の顔が頭に浮かんでくる。
あの令嬢、まだ子供だぞ。こんな男を動かすなんて、一体どうなっているのだ?
それとも、別の誰かがピカを狙っているのか?
「どうしましょう?」
「まりー、なわでぐるぐるしゅるのら」
「はいはい、縛りますか?」
「うん」
マリーが何処からか縄を持ってきた。男が持ってきた縄は、ピカが切り刻んでしまって、もう使い物にならなかったのだ。
「ロロ! マリー!」
「おばあちゃん! ロロ坊ちゃま!」
ニコ兄とユーリアが走って来た。騒ぎに気付いたのだろう。
「ピカの吠える声が聞こえたから、びっくりして飛んで来たんだ!」
「にこにい!」
「ニコ坊ちゃま、あの男がピカを攫おうとしたんですよ!」
「何だって!? ピカに敵う訳ないじゃん!」
「縛っておきましょう!」
「おう!」
「待って、おばあちゃん! ナイフとか持っていないか見るわ!」
おっと、ユーリアは冷静なのだ。
結局ユーリアの案で、男をパンイチにして家の外の木に括りつける事になったのだ。
ユーリアって残酷なのだね。いや、冷静なのだ。誰に似たんだろう。
「こいつ、何か持ってないかな?」
ニコ兄が男の服を探る。服のポッケを全部だ。
「あ、お金出てきた。やっぱナイフ持ってるぞ」
「あらあら、お金で雇われたんでしょうかね?」
「ああそっか、そうかもな。領主ならお金あるだろうし」
て、みんなもうあの我儘令嬢が絡んでいると思っているのだ。
「あ、これうちの家までの地図だわ」
「まあまあ! 領主様の邸からの地図じゃないですか」
「やっぱあの令嬢か」
「でも子供がこんな事できるの?」
「だよな。でもどうする?」
「このままレオ坊ちゃま達が、お帰りになるまで縛っておきますか?」
「まりー、ぎるますにいうのら」
「え? 何ですか?」
「ぎるましゅ!」
ちょっぴり興奮して、噛んでしまったのだ。でも良い考えだと思うぞ。
「ロロ、ギルマスか?」
「しょうなのら」
「ギルドマスターですか? その手がありましたね」
「俺、ギルドまで行ってくる!」
「駄目よ! 子供がいきなり行っても会えないわ!」
「じゃあどうすんだよ!」
ユーリアはここでも冷静だったのだ。
先ずは、ユーリアの姉のエルザが働いている『うまいルルンデ』のご主人に話しをする。事情を言ってギルマスに会わせてもらえる様に頼んでみる。
ギルマスが無理でも、あのご主人なら誰かに話を付けてくれるだろう。と、いう事になったのだ。頼れそうな人がいて良かったのだ。
普通のポーションなら、ニコ兄の畑で充分作れる程になったのだ。
俺は思うのだ。きっと、ニコ兄も何かのスキルを持っている筈なのだ。きっとそうなのだ。
そう言えば……ニコ兄が育てた薬草で作ったポーション、ディさんが中級ポーションだと言っていたのだ。
そんな事をボーッと考えながら、薬草を摘んでいたのだ。
「ロロ坊ちゃま!」
「え……ひゃぁ~」
突然、マリーが叫び俺を抱き上げた。驚いたのだ。
ピカやチロも威嚇の声を上げている。寝そべっていたピカがいつの間にか立ち上がって、俺の前に立っていた。チロはチョロチョロと移動し、どうやったのかいつの間にか俺の肩に乗っていた。
「ロロ坊ちゃま、離れないでください」
「まりー?」
見ると、冒険者のような身形の知らない男が立っていた。手に縄を持っている。
男は何も言わずに、いきなりその縄をピカに向かって投げた。ピカの大きな体に、投げ縄の様に輪にしてあった縄が掛かる。
「ぴか!」
「わふッ!」
この男、ピカを狙っているのか。どうしてピカを!?
ピカはまだ動かない。そのまま男はピカを引っ張ろうとした。
でもびくともしないピカに、縄をもう1周ピカの体に巻き付け引っ張ろうとしている。
それでも動かないピカを、今度は無理矢理首元を掴もうとした。
こいつ、無理矢理にでもピカを連れて行くつもりだ。そんなの絶対に駄目なのだ!
「ぴか!」
「うぅぉぉぉん!」
ピカが一鳴きすると、細かい風の刃がヒュンヒュンと現れてあっという間に縄を切り刻んだ。
そして、男の服も彼方此方を切り刻んでいる。ピカの風属性魔法だ。
男は何が起こったのか理解できていないみたいだ。驚いて尻餅をついている。
まさか、ワンちゃんに反撃されるとは思っていなかったのだろう。甘いのだ。ピカは強いのだ。
それでも男は、ピカを捕まえようと手を伸ばす。そんなのピカに敵うわけがない。
俺はピカに叫んだ。ビシッと片手で男を指して言ったのだ。
「ぴか、ちゅかまえて!」
「わふッ」
ピカがヒョイと男に覆いかぶさり、背中に両方の前足を乗せて倒した。
「グヘェッ!」
変な声を出して、男は気絶したのだ。
えっ? それだけで? ピカは何も攻撃していないのだ。ただ、前足を乗せただけなのだ。
そんなので、よくピカを捕まえようとしたものなのだ。おそまつ過ぎる。
「あらあら。ロロ坊ちゃま、気絶しちゃいましたね」
「ね~」
「わふぅ」
「ね~、弱かったね~」て、ピカも言ってそうだ。
こいつ、まさかあの我儘令嬢の手先なのか? 確実にピカを狙ってきた。ピカを渡せと言われたばかりだから、ついあの令嬢の顔が頭に浮かんでくる。
あの令嬢、まだ子供だぞ。こんな男を動かすなんて、一体どうなっているのだ?
それとも、別の誰かがピカを狙っているのか?
「どうしましょう?」
「まりー、なわでぐるぐるしゅるのら」
「はいはい、縛りますか?」
「うん」
マリーが何処からか縄を持ってきた。男が持ってきた縄は、ピカが切り刻んでしまって、もう使い物にならなかったのだ。
「ロロ! マリー!」
「おばあちゃん! ロロ坊ちゃま!」
ニコ兄とユーリアが走って来た。騒ぎに気付いたのだろう。
「ピカの吠える声が聞こえたから、びっくりして飛んで来たんだ!」
「にこにい!」
「ニコ坊ちゃま、あの男がピカを攫おうとしたんですよ!」
「何だって!? ピカに敵う訳ないじゃん!」
「縛っておきましょう!」
「おう!」
「待って、おばあちゃん! ナイフとか持っていないか見るわ!」
おっと、ユーリアは冷静なのだ。
結局ユーリアの案で、男をパンイチにして家の外の木に括りつける事になったのだ。
ユーリアって残酷なのだね。いや、冷静なのだ。誰に似たんだろう。
「こいつ、何か持ってないかな?」
ニコ兄が男の服を探る。服のポッケを全部だ。
「あ、お金出てきた。やっぱナイフ持ってるぞ」
「あらあら、お金で雇われたんでしょうかね?」
「ああそっか、そうかもな。領主ならお金あるだろうし」
て、みんなもうあの我儘令嬢が絡んでいると思っているのだ。
「あ、これうちの家までの地図だわ」
「まあまあ! 領主様の邸からの地図じゃないですか」
「やっぱあの令嬢か」
「でも子供がこんな事できるの?」
「だよな。でもどうする?」
「このままレオ坊ちゃま達が、お帰りになるまで縛っておきますか?」
「まりー、ぎるますにいうのら」
「え? 何ですか?」
「ぎるましゅ!」
ちょっぴり興奮して、噛んでしまったのだ。でも良い考えだと思うぞ。
「ロロ、ギルマスか?」
「しょうなのら」
「ギルドマスターですか? その手がありましたね」
「俺、ギルドまで行ってくる!」
「駄目よ! 子供がいきなり行っても会えないわ!」
「じゃあどうすんだよ!」
ユーリアはここでも冷静だったのだ。
先ずは、ユーリアの姉のエルザが働いている『うまいルルンデ』のご主人に話しをする。事情を言ってギルマスに会わせてもらえる様に頼んでみる。
ギルマスが無理でも、あのご主人なら誰かに話を付けてくれるだろう。と、いう事になったのだ。頼れそうな人がいて良かったのだ。
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