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第1章 朝5時にピンポン連打する異世界押しかけ妻
第9話 遊佐遠流(トール)と遊佐エリカ
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「人間社会はコミュニケーションの上に成り立っていますので、話し合いで解決できるならそれに越したことはありませんから」
「エリカって時々急に人が変わったように真面目になるよな」
これが若さか。
あまりの切り替えの早さに、30過ぎの俺はとてもついていけないです。
「いえいえそれほどでもありませんよ」
「いや、今のは決して褒めてないと思うんだが……」
「話が逸れてしまっているので戻しましょう」
「え? 俺のせいなの?」
いや別にいいんだけどね?
「このように話し合いで万策尽きるまでは決して武力を行使しない、それが我らが異世界の女神さまのモットーなんです。女神さまは友愛精神に溢れておりますから」
「つまり万策尽きたら最後は武力行使するんだな」
「そうとも言いますね」
俺の軽口をエリカはさらっと肯定した。
「まぁその辺はこの世界も異世界も変わらないんだな」
子供向けアニメのアンパンマンですら、最後は必ず武力によってばいきんまんを成敗するのだ。
正義のための武力は必要悪。
世の中は決して綺麗ごとだけで動いていないことは、今どき幼稚園児でも知っていることだ。
「それにいろいろ会話をすることで、お互いの人となりも分かりませんか?」
「それはあるよな、分かる」
俺みたいなやつに優しくおっぱいを揉ませてくれたエリカは、少なくとも悪いヤツじゃない。
俺にはその確信があった(キリッ!
それにしてもエリカのおっぱい、張りや弾力がしっかりあるのに信じられないくらいに柔らかかったなぁ……。
「分かっていただけてなによりです勇者様」
「勇者様って――そういや俺、まだ自己紹介をしてなかったな。俺の名前は――」
いつまでも勇者様と言われるのもなんだから、俺は取り急ぎ自己紹介しようとしたんだけど。
「遊佐トールさまですよね、もちろん知っておりますよ♡」
にっこり笑ってエリカが言った。
「そうだけど、なんで知ってるんだ? あ、これも女神様パワー的な?」
「いえ、玄関の表札に書いてありましたので」
「あ、うん、そうだよな。分かる」
玄関から入ってきたんだし表札を見れば一目瞭然だよな。
でもせっかくなんだから、さっきの女神さまの印籠みたいに異世界的なロマンが欲しかったかな。
「でもすごい偶然だな?」
「なにがでしょう?」
「ほら、俺と君はなんでか名字が一緒だろ? これってなにか理由でもあるのか?」
遊佐遠流(トール)と遊佐エリカ。
たまたま異世界召喚した相手が同じ名字だったというのは、天文学的な確率だろう。
普通で考えたらまずありえない。
察するにあれだな?
きっと召喚の絆のようなものがあって、俺とエリカの間に惹かれあうものがあったに違いない。
だからエリカもあんなに簡単に俺におっぱいをいっぱい揉ませてくれたのだ。
俺はラノベ的発想でそんな風に当たりをつけた。
しかしエリカは言った、
「それはもちろん夫婦ですから同じ苗字ですよ」
――と。
「……は? 今なんて?」
「それはもちろん夫婦ですから」
「え? なんだって?」
聞き間違いかな?
別に真似しようと思ったわけじゃないんだけど、昔の超有名な残念ラノベの主人公のセリフがナチュラルに出ちゃったよ?
「それはもちろん夫婦ですから♡」
「夫婦? 誰と、誰が?」
「わたしと勇者様が、です。あ、そうです、トールと呼んでも構いませんか?」
「えっと、うん、もちろんいいけど」
エリカにさらっと名前で呼ばれてしまって、ドギマギしてどもってしまう俺。
もちろん女の子から名前で呼び捨てにされる経験も、これが生まれて初めてだった。
なんとも胸がこそばゆい感じ……。
「ありがとうございます。ではこれからトールとお呼びしますね♡」
そんな俺に、エリカはニコリとほほ笑んでから深々とお辞儀をした。
大きく開いた胸元から見えていた谷間が、さらに深くなって俺を魅了しようとする。
「ご、ごくり……」
「トールはまたおっぱいを見ていますね……?」
「こほん、そんなことより夫婦ってなんだよ? え、俺とエリカがってことか?」
「はい。わたしと・トールが・夫婦・です」
エリカは分かりやすく一言一言区切って言ってくれたんだけどい、俺が今言いたいのはそういうことではないんだ。
「エリカって時々急に人が変わったように真面目になるよな」
これが若さか。
あまりの切り替えの早さに、30過ぎの俺はとてもついていけないです。
「いえいえそれほどでもありませんよ」
「いや、今のは決して褒めてないと思うんだが……」
「話が逸れてしまっているので戻しましょう」
「え? 俺のせいなの?」
いや別にいいんだけどね?
「このように話し合いで万策尽きるまでは決して武力を行使しない、それが我らが異世界の女神さまのモットーなんです。女神さまは友愛精神に溢れておりますから」
「つまり万策尽きたら最後は武力行使するんだな」
「そうとも言いますね」
俺の軽口をエリカはさらっと肯定した。
「まぁその辺はこの世界も異世界も変わらないんだな」
子供向けアニメのアンパンマンですら、最後は必ず武力によってばいきんまんを成敗するのだ。
正義のための武力は必要悪。
世の中は決して綺麗ごとだけで動いていないことは、今どき幼稚園児でも知っていることだ。
「それにいろいろ会話をすることで、お互いの人となりも分かりませんか?」
「それはあるよな、分かる」
俺みたいなやつに優しくおっぱいを揉ませてくれたエリカは、少なくとも悪いヤツじゃない。
俺にはその確信があった(キリッ!
それにしてもエリカのおっぱい、張りや弾力がしっかりあるのに信じられないくらいに柔らかかったなぁ……。
「分かっていただけてなによりです勇者様」
「勇者様って――そういや俺、まだ自己紹介をしてなかったな。俺の名前は――」
いつまでも勇者様と言われるのもなんだから、俺は取り急ぎ自己紹介しようとしたんだけど。
「遊佐トールさまですよね、もちろん知っておりますよ♡」
にっこり笑ってエリカが言った。
「そうだけど、なんで知ってるんだ? あ、これも女神様パワー的な?」
「いえ、玄関の表札に書いてありましたので」
「あ、うん、そうだよな。分かる」
玄関から入ってきたんだし表札を見れば一目瞭然だよな。
でもせっかくなんだから、さっきの女神さまの印籠みたいに異世界的なロマンが欲しかったかな。
「でもすごい偶然だな?」
「なにがでしょう?」
「ほら、俺と君はなんでか名字が一緒だろ? これってなにか理由でもあるのか?」
遊佐遠流(トール)と遊佐エリカ。
たまたま異世界召喚した相手が同じ名字だったというのは、天文学的な確率だろう。
普通で考えたらまずありえない。
察するにあれだな?
きっと召喚の絆のようなものがあって、俺とエリカの間に惹かれあうものがあったに違いない。
だからエリカもあんなに簡単に俺におっぱいをいっぱい揉ませてくれたのだ。
俺はラノベ的発想でそんな風に当たりをつけた。
しかしエリカは言った、
「それはもちろん夫婦ですから同じ苗字ですよ」
――と。
「……は? 今なんて?」
「それはもちろん夫婦ですから」
「え? なんだって?」
聞き間違いかな?
別に真似しようと思ったわけじゃないんだけど、昔の超有名な残念ラノベの主人公のセリフがナチュラルに出ちゃったよ?
「それはもちろん夫婦ですから♡」
「夫婦? 誰と、誰が?」
「わたしと勇者様が、です。あ、そうです、トールと呼んでも構いませんか?」
「えっと、うん、もちろんいいけど」
エリカにさらっと名前で呼ばれてしまって、ドギマギしてどもってしまう俺。
もちろん女の子から名前で呼び捨てにされる経験も、これが生まれて初めてだった。
なんとも胸がこそばゆい感じ……。
「ありがとうございます。ではこれからトールとお呼びしますね♡」
そんな俺に、エリカはニコリとほほ笑んでから深々とお辞儀をした。
大きく開いた胸元から見えていた谷間が、さらに深くなって俺を魅了しようとする。
「ご、ごくり……」
「トールはまたおっぱいを見ていますね……?」
「こほん、そんなことより夫婦ってなんだよ? え、俺とエリカがってことか?」
「はい。わたしと・トールが・夫婦・です」
エリカは分かりやすく一言一言区切って言ってくれたんだけどい、俺が今言いたいのはそういうことではないんだ。
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