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第1章 朝5時にピンポン連打する異世界押しかけ妻
第8話 「これは女神様の印籠です(どやぁ!」
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「いやだってさ? どうみても深夜のハイテンションでやっただけの、朝起きると恥ずかしすぎる黒歴史なんだけど」
「十中八九、いえ100%マジです」
「マジで?」
「マジです」
「え、異世界召喚ってそんなことで起こっちゃうの? いやいや、そんなわけないだろ?」
「ところがどっこい、そんなわけがあるんですねぇ」
「あ、分かったぞ。これってドッキリってやつだろ? 実は玄関の外にブラカード持った人が隠れてモニタリングしてるんだろ? なんでこんなことに気付かなかったんだろ。一番ありそうな展開なのにな」
「もう、勇者様は疑い深いですね♡」
「いきなりこんな展開になったら、そりゃ疑い深くもなると思うんだが。常識的に考えて?」
「類まれなる異世界召喚の才能があったんですね、おめでとうございます」
「どんな才能だよ」
パチパチと手を叩くエリカに、思わず俺は苦笑する。
「世の中にはいろんな才能であふれているんです。ひよこの雄雌を見分けたりとか、女優さんのおっぱいが本物かどうか見極めたりとか、卵を垂直に立てたりとか。卵を垂直に立てることは人生においてなんの役にも立ちませんが、誰が見てもすごいと感じる特筆すべき才能ですよね?」
「う、うーん……? 分かるような分からないような……?」
できれば深夜アニメで説明してくれないかな?
そしたらアニオタの俺の理解は早まると思うんだ。
ガンダムとかゾイドとか割と得意だから。
「つまり半分くらい分かったってことですね」
「エリカはほんとポジティブ・シンキングだなぁ……あ、そうだ、ちなみになんだけどさ?」
「はい、なんでしょうか?」
「エリカが異世界人だって証明するものはないのかな? なんていうかそもそもの設定があまりに現実味がなさ過ぎて、にわかには信じられないんだよ」
「設定じゃありませんから」
「そうは言ってもエリカは日本語がすごく堪能だし、まったく齟齬もなく意思疎通できているだろ? そもそも外見的にはどうみてもネイティブ日本人だし、それで異世界から来たとか言われても、なぁ?」
せめてブルーアイズ・プラチナブロンドならまだ異世界感があって納得いったんだけど。
「そうですね、それでしらたらこれをご覧ください」
そう言うとエリカは、首から下げていた小さなペンダントを服の中――のおっぱいの谷間から取りだした。
今のマジすごくない?
だっておっぱいの間から取り出したよね?
ってことはおっぱいに挟まれてたってことなんだよ?
くっ、なんて深い谷間なんだ!
俺はさっきあれを揉んでいたのか!?
「勇者様?」
「いやいや何でもないよ、なんでもない。……で、それはなに?」
再び脳内がおっぱいしかけたのを慌てて取り繕った俺に、女の子はペンダントを突き出すように見せつけてくる。
「これは女神様の印籠です(どやぁ!」
「おお、これが印籠なのか。水戸の副将軍様がよく使うやつだよな。生で見るのは初めてだ――って、うわっ、なんだ!?」
その瞬間。
女神様の印籠が不可思議な光を放ったかと思うと、俺の頭の中に一つの回路が組み上がるような感覚があって――
「『この者、異世界転生したものと証明す 女神』――なんだこれって、ううっ……」
急に頭の中にイメージが流れ込んでくるような感覚があったかと思うと、もうその瞬間に俺はエリカが異世界転生してきたのだと魂レベルで理解してしまっていた。
「これには女神様の秘儀中の秘儀たる神性魔法『ブレインウォッシング』がかけられていて、わたしが異世界召喚された人間であると、理屈とか論理とか納得とか全部すっ飛ばして、魂レベルでちゃんと相手が理解してくれるようになるんです」
えへんと胸を張るエリカ。
はずみでおっぱいがぷるんと柔らかく波打った。
くっ、だめだ!
この主張し過ぎるおっぱいが俺をどうしようもなく魅了しやがるんだ……!
だけど今だけはおっぱいは置いておいて。
確かに今の俺は理由とか理屈とかそんなものを全てすっ飛ばして、エリカが異世界から召喚されてやってきたのだと本能的に納得してしまっていたのだ。
「上手く説明はできないけど、ものすごく心の底から納得している自分がいるよ。そうか、つまりこれが魔法なのか」
「はい、女神様が異世界召喚された人間が存在を証明するのに困らないようにと渡してくれた、まぁいわば魔法のパスポートのようなものでしょうか」
「すっげえ、魔法って本当にあるんだな……って、いやいや、そんな便利なアイテムがあるんなら、最初からそれを見せれば良かったんじゃないか? ドアのところでやった押し問答とかもまったく必要がなかったよな?」
印籠さえ見せれば速攻で終わるのなら、じゃあ今までの不毛なやり取りはいったいなんだったんだ……?
「十中八九、いえ100%マジです」
「マジで?」
「マジです」
「え、異世界召喚ってそんなことで起こっちゃうの? いやいや、そんなわけないだろ?」
「ところがどっこい、そんなわけがあるんですねぇ」
「あ、分かったぞ。これってドッキリってやつだろ? 実は玄関の外にブラカード持った人が隠れてモニタリングしてるんだろ? なんでこんなことに気付かなかったんだろ。一番ありそうな展開なのにな」
「もう、勇者様は疑い深いですね♡」
「いきなりこんな展開になったら、そりゃ疑い深くもなると思うんだが。常識的に考えて?」
「類まれなる異世界召喚の才能があったんですね、おめでとうございます」
「どんな才能だよ」
パチパチと手を叩くエリカに、思わず俺は苦笑する。
「世の中にはいろんな才能であふれているんです。ひよこの雄雌を見分けたりとか、女優さんのおっぱいが本物かどうか見極めたりとか、卵を垂直に立てたりとか。卵を垂直に立てることは人生においてなんの役にも立ちませんが、誰が見てもすごいと感じる特筆すべき才能ですよね?」
「う、うーん……? 分かるような分からないような……?」
できれば深夜アニメで説明してくれないかな?
そしたらアニオタの俺の理解は早まると思うんだ。
ガンダムとかゾイドとか割と得意だから。
「つまり半分くらい分かったってことですね」
「エリカはほんとポジティブ・シンキングだなぁ……あ、そうだ、ちなみになんだけどさ?」
「はい、なんでしょうか?」
「エリカが異世界人だって証明するものはないのかな? なんていうかそもそもの設定があまりに現実味がなさ過ぎて、にわかには信じられないんだよ」
「設定じゃありませんから」
「そうは言ってもエリカは日本語がすごく堪能だし、まったく齟齬もなく意思疎通できているだろ? そもそも外見的にはどうみてもネイティブ日本人だし、それで異世界から来たとか言われても、なぁ?」
せめてブルーアイズ・プラチナブロンドならまだ異世界感があって納得いったんだけど。
「そうですね、それでしらたらこれをご覧ください」
そう言うとエリカは、首から下げていた小さなペンダントを服の中――のおっぱいの谷間から取りだした。
今のマジすごくない?
だっておっぱいの間から取り出したよね?
ってことはおっぱいに挟まれてたってことなんだよ?
くっ、なんて深い谷間なんだ!
俺はさっきあれを揉んでいたのか!?
「勇者様?」
「いやいや何でもないよ、なんでもない。……で、それはなに?」
再び脳内がおっぱいしかけたのを慌てて取り繕った俺に、女の子はペンダントを突き出すように見せつけてくる。
「これは女神様の印籠です(どやぁ!」
「おお、これが印籠なのか。水戸の副将軍様がよく使うやつだよな。生で見るのは初めてだ――って、うわっ、なんだ!?」
その瞬間。
女神様の印籠が不可思議な光を放ったかと思うと、俺の頭の中に一つの回路が組み上がるような感覚があって――
「『この者、異世界転生したものと証明す 女神』――なんだこれって、ううっ……」
急に頭の中にイメージが流れ込んでくるような感覚があったかと思うと、もうその瞬間に俺はエリカが異世界転生してきたのだと魂レベルで理解してしまっていた。
「これには女神様の秘儀中の秘儀たる神性魔法『ブレインウォッシング』がかけられていて、わたしが異世界召喚された人間であると、理屈とか論理とか納得とか全部すっ飛ばして、魂レベルでちゃんと相手が理解してくれるようになるんです」
えへんと胸を張るエリカ。
はずみでおっぱいがぷるんと柔らかく波打った。
くっ、だめだ!
この主張し過ぎるおっぱいが俺をどうしようもなく魅了しやがるんだ……!
だけど今だけはおっぱいは置いておいて。
確かに今の俺は理由とか理屈とかそんなものを全てすっ飛ばして、エリカが異世界から召喚されてやってきたのだと本能的に納得してしまっていたのだ。
「上手く説明はできないけど、ものすごく心の底から納得している自分がいるよ。そうか、つまりこれが魔法なのか」
「はい、女神様が異世界召喚された人間が存在を証明するのに困らないようにと渡してくれた、まぁいわば魔法のパスポートのようなものでしょうか」
「すっげえ、魔法って本当にあるんだな……って、いやいや、そんな便利なアイテムがあるんなら、最初からそれを見せれば良かったんじゃないか? ドアのところでやった押し問答とかもまったく必要がなかったよな?」
印籠さえ見せれば速攻で終わるのなら、じゃあ今までの不毛なやり取りはいったいなんだったんだ……?
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