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第8章 深まりゆく関係

第140話「2人だけの秘密だね♪」

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「これはまた、ストレートな質問と回答だな。俺の目が節穴でなければ、『眠たかったら眠ってください』って書いてあるんだが……」

 でもさすがにそれはないだろ?

「ふふっ、大丈夫だよ。私の目にもそう書いてあるように見えてるから」
「ってことは俺の見間違いじゃなかったのか」

「実際に他にも寝ちゃっている人はいたしね。私の反対隣の人も寝ちゃってたし、実を言うと、2曲目の途中で私も寝ちゃってたから」

「ええっ、それマジ?」
「うん、マジマジだよ」

 笑って言った優香は、恥ずかしさもあってか頬を朱に染めていて、とても嘘を言っているようには見えない。
 どうやら本当に、優香も途中で寝てしまっていたようだった。

 もちろん俺はずっと寝こけていたので、優香の様子には気づきようがなかったわけだけど。

「なんだ、優香も寝ちゃってたのかぁ」

「自分から誘っておいて寝ちゃうなんて恥ずかしいから、これは秘密にしておこうって思ってたんだけどね」
「それは確かに恥ずかしいよな。俺なら黙っていそうだ」

「でもでも、蒼太くんがすごく気にしているみたいだから、特別に教えちゃいました」
「えっと、その。気を使わせちゃったみたいでごめんな」

「こっちこそ。始まる前に言っておけばよかったよね。蒼太くんの質問に答えてたら、つい話が弾んじゃって言いそびれちゃったの。ごめんね」

「なんで優香が謝るんだよ」
「だって、多分だけど蒼太くん、寝ないようにすごく頑張ったでしょ?」

「まあ、それなりにはな。誘ってくれたのに寝るわけにはいかないって思ったから。……結局寝ちゃったんだけども」
「だから、頑張らせちゃってごめんねってこと」
「優香は優しいなぁ」

 優香の全てを包み込むかのような、大地母神のごとき慈しみの心に、俺はしみじみと感じ入ってしまった。

「あ、だけど美月には絶対に内緒だよ? デート中に寝ちゃったなんて知られたら、お姉ちゃんの威厳が地に落ちちゃうから」

 優香がてへぺろっと小さく舌を出す。
 控えめに言って、すごく可愛かった。

「了解。美月ちゃんには内緒にするな」
 素敵なお姉ちゃんをやっている優香の足を、わざわざ引っ張る趣味は俺にはない。

「2人だけの秘密だね」
「なんか最近、優香との2人だけの秘密が増えてきた気がするような」

「ふふっ、そうかも」
「でもそうかぁ。寝ちゃってよかったのか。全部バレちゃってるから言うけどさ、俺、寝ないでおこうって本当に頑張ったんだよ」

「蒼太くんがこっくりこっくり舟をいでいるのが見えてたよ? 途中で時々ビクッてなって起きるの。でもまたすぐ寝ちゃうんだよね」
 口元に手を当てながら、思い出し笑いをする優香。

「それも見られてたのか……忘れてくれると嬉しい」
「これはこれで大切な思い出だから、忘れるのは難しいけど。でも言いふらしたりはしないから安心してね」
「その方向で頼むよ」

「あ、でもでも。美月には言っちゃうかも? 帰ったら、絶対にあれこれ聞かれるから」
「まぁ美月ちゃんになら、いいかな?」

 既に、プールでえっちだったのを「めっ!」されたりとかしているので、少々の追加ダメ要素があっても大勢に影響はないだろう。
 むしろ親しみの持てる近所のお兄ちゃん枠を目指そう。

 そんな話をしている内に、コンサート会場内からはほとんど人がいなくなっていた。

「私たちもそろそろ出ましょうか」
「だな」

 俺は優香と揃って席から立ち上がった。

「この後はどうする? 今4時半だよね。微妙な時間だけど、もう帰っちゃう? それともどこかに寄ってからにする?」

「それなら、この近くに有名な喫茶店があるらしいんだけど、そこで話でもしないか? ア・ル・カンパーニュって名前の、タルトケーキが美味しいお店らしいんだけど」

 俺はこの日のために、事前に下調べしていたスイーツなお店情報を提示した。

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