101 / 175
第6章 優香のお料理大作戦

第100話 ~優香SIDE~膝枕(2)

しおりを挟む
「うぅん……? ぅん、ん、んんっ。すー……すー」

 しかし蒼太くんは一瞬眉根を寄せたものの、すぐに口呼吸に切り替えて再び気持ちよさそうに眠り始める。

 起きる素振りはちっともない。
 本当に疲れているんだろう。

 ――って、私は何をやっているのかな!?

「意地悪しちゃってごめんね」

 蒼太くんが眠っているのをいいことに、こっそりイタズラをしてしまったことを謝罪すると。
 私はさっきまでしていたように、髪をすくようにして蒼太くんの頭を撫でてあげた。
 蒼太くんが嬉しそうに寝顔をほころばせる。

 その無防備であどけない笑顔を見ているだけで、私の胸はどうしようもない程にキュンと切なくなるってしまうのだった。

「蒼太くんのばーか……」
 思わず口にしてしまうと、それに無意識に反応してしまったのか、蒼太くんが小さく寝返りを打った。

 そして蒼太くんは横向きの体勢で私の方を向くと、おでこを私のお腹――というか下腹部というかなんというか微妙なところに――ぐいぐいと押し付けてきたのだ。

「そ、蒼太くん……?」

 まさか突然目が覚めて、えっちなワイルドウルフさんにトランスフォームしちゃったのでは!?
 などということは、全くなかった。

「むぬ、むにゃ、ん、んにゃ……すー……すー……」
 蒼太くんはむにゃむにゃと小さな寝言を言うと、そのままの体勢で、再び規則正しい寝息を立て始めたのだ。

 さすが蒼太くん、どこまでも紳士だ。
 時々視線がえっちだけど――胸や太ももとをさりげなくチラ見してはくるけれど、それはまぁ年頃の思春期男子だからしょうがないだろう。

 ネットなどによると、男子高校生とは得てしてそういうものらしいから。 

 そしてホッと一安心する反面、少し残念に思う自分がいた。
 しかしそこで私はふと気付いてしまう。

 何に気付いたって、横向きになって私の方を向いた蒼太くんの、その右手の平が私のお尻の辺りを触っていることに、私は気付いてしまったのだ。

「はぅっ!?」
 危うく驚きで身体が跳ねてしまいそうになったのを、何とか堪える。
 動いたら蒼太くんが起きちゃうもんね。

 セーフ、セーフ!

 もちろんそれが意図的ではないのは明らかだ。
 その証拠に蒼太くんは、ずっと変わらずに規則正しい寝息を立てていた。
 お尻に触れている手も軽く添えられているだけで、それ以上の動きはない。

 寝ている時に時々、枕や布団を抱きしめたりしちゃうことがあるけど、その延長であろうことは間違いなかった。

 だけどね!?
 意中の男の子に抱き着かれて、下腹部に顔をうずめられながらお尻に手を当てられちゃってる状況は、すっごくすっごく、ものすっごく恥ずかしいの――!

「お、落ち着こうね私。これは不慮の事故だから。いやらしいことでも何でもないんだから」

 正直に言おう。
 抱き着かれて嫌ではなかった。
 むしろ甘えられているみたいで嬉しいまであった。

 でもねでもね!
 それと同じくらいに、お尻を触られているのが気になって気になって、しょうがないんだよ~~!

「気にしないでおこうと思えば思うほど、逆に気になっちゃうよ~!」

 手を退けたらその拍子に蒼太くんが起きてしまうかもしれないと思うと、どうにもはばかられてしまう。

 そこからの私は、下腹部に押し付けらえた蒼太くんのおでこと、お尻に触れた蒼太くんの手の感触をずっと意識しながら、あれやこれや――ときにはイケナイ妄想をして過ごしたのだった。


「んん……、あれ、優香? 今日も可愛いな……でもなんで起きたら優香が? ……って、そっか。俺、優香にソファで膝枕してもらってたんだっけ。悪い、完全に熟睡してた。あと、ありがとう」

 薄っすらと目を開けた蒼太くんの声で、ハッと意識が現実に戻ってきた時には、外はすっかり本降りの雨になっていた。


~優香SIDE~ END
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...