人質同然だったのに何故か普通の私が一目惚れされて溺愛されてしまいました

ツヅミツヅ

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 ぐったりと天井を仰ぐレイティアを眺める。
 何とも言えない満足感を得られた。
 髪を撫で、唇にキスをする。
 額に、頬に、耳輪に、首筋に、口付ける。

 レイティアは惚けた瞳で儂を見る。のろのろと儂の方を向き、その身を儂の胸に預ける。

 今まで抱いた女は、欲が済むとさっさとその場を去った。
 こんな風に口付け、抱き止めてやった事などなかった。

 本当ならばもう何度か相手をしてもらいたいが、今日はさすがに初めてだ。
 とろりと落ちた処女であった跡を見て無理をさせるのは酷だと儂は自身に言い聞かせる。
 今日の所はよく耐え抜いたと褒めてやるべきだろう。

 これから毎夜、レイティアは儂の伽の相手をさせる。
 もっと快楽を教え込んで、もっと恥辱に塗れて泣き濡れる顔を見せてもらう。
 自分から強請る様になれば満足だ。

 自分でも歪んでいるとは思うが、レイティアにはそういう男に見染められた己の不運を呪ってもらうしかない。

 レイティアがチラリと儂を見上げる。
「……どうした?」
「……その……陛下のお怒りはお鎮まりになりましたか……?」
「そうだな、収まらぬ、と言ったらどうする?」
「……わかりません……どうしたら赦して頂けるのか……」
 レイティアは瞳を伏せる。
「では、今回は唇にキスをしてもらうか」
 レイティアの顔が赤くなる。
「……私から……ですよね……?」
「お前はその身を儂に捧げたであろう。これ以上何を恥じらう事がある……と、言いたい所だが、お前はもう責めは負った。赦しておる」
「本当ですか?」
「ああ、もう良い、赦す」
 レイティアは微笑む。
「良かったです……。赦して頂けて……」
「あの似非王子は儂と同じ種類の人間だ。あやつの要求を呑んでいては、どんどん要求が増すだけだ。そういう男である事を知っておけ」
「……そうですか……。わかりました。キチンと肝に銘じます」
「以前にも言ったが、儂は狭量な男だ。改めるつもりもない。お前の事に関して何一つ譲る気はない」
「……はい」
「王など思う通りになる事など無いに等しい。お前位は儂の思う様にする」
「はい。心得ております。どうぞ、陛下の御心のままに」
 レイティアは心底ほっとした様に微笑む。
 そしてはたと思い出した様に瞳を揺るがせた。
「……その、プトレド第二王子殿下はこれからもその、困った要求をなさるのでしょうか?」
「するだろうな。お前に興味を持っている様だからな」
「私に? ……普通にお話しして下さるだけですけど……」
「実際名で呼べと吹っかけて来ておるではないか」
「……どうして私なんかに興味があるんでしょうか?」
「言っておるであろう。お前はお前が思っておるよりもずっと可愛い」
 レイティアは頬を染める。
「……そんな風に思って下さるのは、陛下だけだと思っておりました……」
「お前は自覚が足りぬ。少なくともあの王子とは二人きりになるな」
「わかりました」
 儂はレイティアの頭を撫ぜる。
 レイティアは笑みを浮かべる

「……はい。……あの、陛下?」
 レイティアはまた不安そうにこちらを見上げる。
「なんだ?」
「その……、私、ちゃんとお務めを果たせていましたか?」
 アナバスは微笑む。レイティアの頬を撫でた。
「ああ、初めてに無茶をさせた部類だ。よく頑張ったな」
 レイティアは瞳を閉じ、儂の手のひらに甘える様に擦り寄った。
「……あまりそういう事をするな。また求めてしまうぞ」
「……陛下がお望みであれば……その、幾度でも、頑張ります……」
 恥ずかしそうに、小さな声で儂に言う。
 その言葉にタガが外れ、儂はレイティアにキスをし舌を絡めた。

 この夜はその後何度となくレイティアを求めた。
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