72 / 200
72
しおりを挟む
私主催でお茶会が開かれる事になった。
マグダラスではお茶会なんてしてる余裕なんてなかったので私には勝手がわからない。
マグダラスは国土自体はそこそこの大きさだけれど、農地に出来る土地が少ない。
今も山脈伝いに必死で開墾している最中だ。
諸侯や官吏の妻や娘も重要な人手で、社交界なんてものでその手を取られてる暇なんかない事は王族が一番よくわかっていた。
だから、私はそもそもお茶会自体を知らない。
多分そんな王女は珍しいだろう。
ここは優秀な侍女達を頼るしかない。
侍女達は一様に緊張し、真剣な面持ちで準備を進めている。一旦お茶休憩を挟む。
マリ、ヨアンナ、カティが今日の側付きなので進捗状況を聞いてみる。
「準備は進んでますか?」
マリが答える。
「はい。今回は妾妃様お2人だけをご招待しますので大掛かりではありませんから大丈夫ですよ」
マリが答えてくれる。
お茶会の準備は室内装飾、家具調度品、使われる食器、飾られる花などのセンスを求められる。
少なくともマグダラスにいた時に習ったモトキスなどの他国のお茶会はそういうものだとされている。
きっとグリムヒルトも同じなんだろう。
お茶会は基本的には王族や諸侯や官吏の妻や娘達、偶には夫の社交場となっている。
グリムヒルトには女性の軍人も結構いるので、男性が内助の功をなさっている場合も多々ある。
元々が海賊である事は、実力主義を重んじる結果に繋がってる。結果を出したらそれが女性であろうと正当に評価される。
なのでお茶会には男性が参加される事も主催される事もある。
正妃と誼を結びたいという人はいっぱいいるし、参加者を相当吟味しないといけないというので、今回は妾妃様方だけをお招きするという事になった。
陛下から第7妾妃のエミリア・エンマ・ヴィカンデル様からお茶会のお誘いがあるだろうと御達があったので、
私の方から、第2妾妃のマルグレット・ロヴィーサ・ラルセン様もご一緒にご招待する事にした。
2人とも色良いお返事を頂けたので侍女達に準備をお願いしている。
「姫様のご要望は出来るだけ堅苦しくない、お2人に喜んで頂けるもの、でしたので、シンプルな物を選んでいますよ」
カティは紅茶のカップを手に教えてくれる。
ヨアンナが引き継ぐ。
「場所は今の季節なら庭園が良いと思います。アルメリアの花が満開になる時期なので丁度良いという事になりました」
「アルメリア…確か思いやりという花言葉でしたよね?」
アルメリアはこの時期に海岸近辺に咲く。
赤や白、ピンクの色の小さな可愛らしい花で、グリムヒルトではよく見る。
とは言っても私はまだ見た事がないのだけれど。
「はい。他にも共感、同情と言ったものがありますよ」
ヨアンナが更に教えてくれた。
「茶器はシンプルなデザインで華奢な作りのヨシア産の物か、同じくシンプルなデザインで質実剛健な作りのヴァイス産の物か、今侍女達で意見が分かれています」
マリが私を見た。
「ですので姫様に御裁可頂かなければいけません」
「わかりました。本当に助かります。私ではわからない事だらけで皆んながいなければきっともっと大変だったでしょうね。
それと式の準備も並行してやってくれているのでしょう?」
「はい。それも御裁可頂かなければならない事があります。
式後の観兵式と晩餐会の衣装に合わせた装飾品も意見が分かれています。
陛下は陛下の御希望で全て軍服でお出ましになられる様です。
お互いの色を入れるという事は陛下付きの侍女達と話し合いました」
「じゃあエメラルドとダイヤなんですね……。落としそうで怖いです……」
「それなんです。今回はエメラルドではなく、パライバトルマリンとダイヤの組み合わせにしようかという話が出ています」
「そうなのですか?それは新しく作る物ではないですよね?」
「はい。亡き御正妃様の遺品です」
「そろそろ衣装合わせもありますし、その時に決めて頂きたいのです」
「わかりました。……本当に目まぐるしいですね。皆んな本当にありがとうございます」
私は改めてお礼を言う。
婚姻の儀に関してはその下着の準備まで入念にされる。
今24人の侍女達がいるけど、それでなんとか回ってるのだから、事前に付いていて貰っていて本当によかった。
こうして、色々な準備が同時進行で着々と進む。
先ずはお茶会、頑張らなければ。
マグダラスではお茶会なんてしてる余裕なんてなかったので私には勝手がわからない。
マグダラスは国土自体はそこそこの大きさだけれど、農地に出来る土地が少ない。
今も山脈伝いに必死で開墾している最中だ。
諸侯や官吏の妻や娘も重要な人手で、社交界なんてものでその手を取られてる暇なんかない事は王族が一番よくわかっていた。
だから、私はそもそもお茶会自体を知らない。
多分そんな王女は珍しいだろう。
ここは優秀な侍女達を頼るしかない。
侍女達は一様に緊張し、真剣な面持ちで準備を進めている。一旦お茶休憩を挟む。
マリ、ヨアンナ、カティが今日の側付きなので進捗状況を聞いてみる。
「準備は進んでますか?」
マリが答える。
「はい。今回は妾妃様お2人だけをご招待しますので大掛かりではありませんから大丈夫ですよ」
マリが答えてくれる。
お茶会の準備は室内装飾、家具調度品、使われる食器、飾られる花などのセンスを求められる。
少なくともマグダラスにいた時に習ったモトキスなどの他国のお茶会はそういうものだとされている。
きっとグリムヒルトも同じなんだろう。
お茶会は基本的には王族や諸侯や官吏の妻や娘達、偶には夫の社交場となっている。
グリムヒルトには女性の軍人も結構いるので、男性が内助の功をなさっている場合も多々ある。
元々が海賊である事は、実力主義を重んじる結果に繋がってる。結果を出したらそれが女性であろうと正当に評価される。
なのでお茶会には男性が参加される事も主催される事もある。
正妃と誼を結びたいという人はいっぱいいるし、参加者を相当吟味しないといけないというので、今回は妾妃様方だけをお招きするという事になった。
陛下から第7妾妃のエミリア・エンマ・ヴィカンデル様からお茶会のお誘いがあるだろうと御達があったので、
私の方から、第2妾妃のマルグレット・ロヴィーサ・ラルセン様もご一緒にご招待する事にした。
2人とも色良いお返事を頂けたので侍女達に準備をお願いしている。
「姫様のご要望は出来るだけ堅苦しくない、お2人に喜んで頂けるもの、でしたので、シンプルな物を選んでいますよ」
カティは紅茶のカップを手に教えてくれる。
ヨアンナが引き継ぐ。
「場所は今の季節なら庭園が良いと思います。アルメリアの花が満開になる時期なので丁度良いという事になりました」
「アルメリア…確か思いやりという花言葉でしたよね?」
アルメリアはこの時期に海岸近辺に咲く。
赤や白、ピンクの色の小さな可愛らしい花で、グリムヒルトではよく見る。
とは言っても私はまだ見た事がないのだけれど。
「はい。他にも共感、同情と言ったものがありますよ」
ヨアンナが更に教えてくれた。
「茶器はシンプルなデザインで華奢な作りのヨシア産の物か、同じくシンプルなデザインで質実剛健な作りのヴァイス産の物か、今侍女達で意見が分かれています」
マリが私を見た。
「ですので姫様に御裁可頂かなければいけません」
「わかりました。本当に助かります。私ではわからない事だらけで皆んながいなければきっともっと大変だったでしょうね。
それと式の準備も並行してやってくれているのでしょう?」
「はい。それも御裁可頂かなければならない事があります。
式後の観兵式と晩餐会の衣装に合わせた装飾品も意見が分かれています。
陛下は陛下の御希望で全て軍服でお出ましになられる様です。
お互いの色を入れるという事は陛下付きの侍女達と話し合いました」
「じゃあエメラルドとダイヤなんですね……。落としそうで怖いです……」
「それなんです。今回はエメラルドではなく、パライバトルマリンとダイヤの組み合わせにしようかという話が出ています」
「そうなのですか?それは新しく作る物ではないですよね?」
「はい。亡き御正妃様の遺品です」
「そろそろ衣装合わせもありますし、その時に決めて頂きたいのです」
「わかりました。……本当に目まぐるしいですね。皆んな本当にありがとうございます」
私は改めてお礼を言う。
婚姻の儀に関してはその下着の準備まで入念にされる。
今24人の侍女達がいるけど、それでなんとか回ってるのだから、事前に付いていて貰っていて本当によかった。
こうして、色々な準備が同時進行で着々と進む。
先ずはお茶会、頑張らなければ。
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
脅迫して意中の相手と一夜を共にしたところ、逆にとっ捕まった挙げ句に逃げられなくなりました。
石河 翠
恋愛
失恋した女騎士のミリセントは、不眠症に陥っていた。
ある日彼女は、お気に入りの毛布によく似た大型犬を見かけ、偶然隠れ家的酒場を発見する。お目当てのわんこには出会えないものの、話の合う店長との時間は、彼女の心を少しずつ癒していく。
そんなある日、ミリセントは酒場からの帰り道、元カレから復縁を求められる。きっぱりと断るものの、引き下がらない元カレ。大好きな店長さんを巻き込むわけにはいかないと、ミリセントは覚悟を決める。実は店長さんにはとある秘密があって……。
真っ直ぐでちょっと思い込みの激しいヒロインと、わんこ系と見せかけて実は用意周到で腹黒なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:4274932)をお借りしております。
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!

異世界で王城生活~陛下の隣で~
遥
恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。
グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます!
※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。
※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる