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Case.6 ラビットアイズ
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「この先に学生食堂だって」
体力測定が終わると、ちょうど昼休みになった。弓彦は健之介と竹葉、兵鉢を連れて学生食堂に向かう。食堂に入ると、食券機と食堂のメニュー写真が見えた。
「俺はこのA定食にするか」
「俺も健ちゃんと同じの」
「じゃあオレはB定食で。竹葉くんは?」
健之介達はすぐ決まったが、竹葉は写真を見ながら悩む。どれがいいか本気で悩んでいた。だってどれも見慣れないから。写真を見ながら悩んでいると、竹葉はその中からひとつ気になったものを見つける。
「えっと……俺は、これ」
竹葉はカレーライスの写真を指差す。
※
「はい、おまちどう様!」
四人は学生食堂のおばちゃんからそれぞれ頼んだものを受け取り空いている席に座る。健之介と弓彦の選んだA定食は大きなブリの塩焼きがメインの定食で、兵鉢が選んだのはハンバーグが主役のB定食。竹葉のはシンプルなカレーライスだ。
「いっただきまぁす」
弓彦がそう言って食べ出すと、健之介と兵鉢も食べ出す。
「いただきます……」
竹葉もゆっくりとカレーにスプーンを伸ばし掬い、それを口に入れた。
「!」
これうまいかも! 竹葉は初めて食べたカレーに感激し食べる。流れるように食べる。
「え? そのカレーそんなにうまいの?」
それを兵鉢は見ていた。
「これおかわりどうやってするの?」
「? もっかい食券買ってもらうんじゃない?」
弓彦にそう言われ竹葉はすぐに一杯目を食べ終えて、二杯、三杯と食べる。流れるようなそれに健之介達は見ていた。
「もう一杯おかわり!」
「あらすごい勢いね」
竹葉はおばちゃんに食券を渡しまたおかわりをする。
「こいつは胃腸も機械なのか?」
自分より小柄で痩せて見える竹葉が沢山食べている光景に健之介と兵鉢は驚く。
「カレー以外もちゃんと食べなよ。あと口汚れてる」
竹葉の横に座っていた弓彦は自分のブリの塩焼きを少しあげ、彼の口元のカレーを拭く。
「美味そうに食べててかわいー」
弓彦は笑いかける。
「そういや、竹葉はどうして飛鳥官人に来たんだ?」
「え?」
健之介に聞かれ、竹葉は固まる。だが答えた。
「『ラビットアイズ』を探しに来たんだよ。広陵市のどこかにあると思って、この学校に行けば手がかりがあるんじゃないかって」
「!?」
「ラビットアイズって……」
「キサラギを動かすアレのコト?」
健之介と弓彦と兵鉢は固まる。ラビットアイズには聞き覚えがあった。それは月面基地の遠隔装置だ。
25年前、月の表面に月面基地『キサラギ』が建造された。その基地が建設後の調査で軍事利用を目的としたそれだと発覚し世間を騒がせた。その基地を地球外から操作できる唯一の装置がラビットアイズという。現在でもキサラギは月にあり表面の五分の一を覆い、その処遇を巡る争いは続いている。ラビットアイズはキサラギをどう利用するかが決定するまでは隠されている、らしい。
「キサラギって月の調査用ってだけじゃなくて打つと地球まで届くミサイルやレーザーも積んでなかった? ていうかそれが問題になってなかった?」
「うん、今はラビッドアイズがないから動かす事は出来なくて所有権も権利書が行方不明だからかどこの国にもないみたいだけど」
弓彦と兵鉢は自分達の知る事をまとめる。
「なんでそんなものを竹葉が探しているんだ?」
健之介は更に問う。
「なんでって綺麗だからだよ」
「?」
健之介と弓彦と兵鉢は気になる。
「俺小さい時に、ラビットアイズの写真を見たことあって……すごく綺麗でほしいって思ってずっと探していたんだ」
ラビットアイズは装置と言ってもその外観はまるで宝石のようなそれだった。緋色に光る宝石の中には極小化された精密機械が組み込まれている。
竹葉は写真ごしでそれを見て、その光に心を奪われた。何かをほしいと思ったのはそれが初めてだった。それを思い出す竹葉が少し笑みを見せたのを三人は見逃さなかった。
「あ、竹葉くん笑った!」
「な、なんだよ。悪いか?」
「悪くないよ。ただ可愛いなぁって」
竹葉は赤面を見せ、兵鉢と弓彦は見守るように笑う。
「……小さな宝石が大きな要塞の装置だなんてSFもびっくりだね」
「火のように真っ赤でウサギの瞳のようなので、ラビットアイズと名前がついたそうだ」
健之介は定食を食べきりつつ補足する。
月面の軍事基地を動かす赤い宝石。まるでロマンのような産物だ。竹葉はラビットアイズの輝きにだけ惹かれていた。
「キサラギって基地は興味無いけど、ラビットアイズは欲しいんだ」
竹葉が飛鳥官人高校に来た一番の理由は、ラビットアイズを見つけるためだ。
体力測定が終わると、ちょうど昼休みになった。弓彦は健之介と竹葉、兵鉢を連れて学生食堂に向かう。食堂に入ると、食券機と食堂のメニュー写真が見えた。
「俺はこのA定食にするか」
「俺も健ちゃんと同じの」
「じゃあオレはB定食で。竹葉くんは?」
健之介達はすぐ決まったが、竹葉は写真を見ながら悩む。どれがいいか本気で悩んでいた。だってどれも見慣れないから。写真を見ながら悩んでいると、竹葉はその中からひとつ気になったものを見つける。
「えっと……俺は、これ」
竹葉はカレーライスの写真を指差す。
※
「はい、おまちどう様!」
四人は学生食堂のおばちゃんからそれぞれ頼んだものを受け取り空いている席に座る。健之介と弓彦の選んだA定食は大きなブリの塩焼きがメインの定食で、兵鉢が選んだのはハンバーグが主役のB定食。竹葉のはシンプルなカレーライスだ。
「いっただきまぁす」
弓彦がそう言って食べ出すと、健之介と兵鉢も食べ出す。
「いただきます……」
竹葉もゆっくりとカレーにスプーンを伸ばし掬い、それを口に入れた。
「!」
これうまいかも! 竹葉は初めて食べたカレーに感激し食べる。流れるように食べる。
「え? そのカレーそんなにうまいの?」
それを兵鉢は見ていた。
「これおかわりどうやってするの?」
「? もっかい食券買ってもらうんじゃない?」
弓彦にそう言われ竹葉はすぐに一杯目を食べ終えて、二杯、三杯と食べる。流れるようなそれに健之介達は見ていた。
「もう一杯おかわり!」
「あらすごい勢いね」
竹葉はおばちゃんに食券を渡しまたおかわりをする。
「こいつは胃腸も機械なのか?」
自分より小柄で痩せて見える竹葉が沢山食べている光景に健之介と兵鉢は驚く。
「カレー以外もちゃんと食べなよ。あと口汚れてる」
竹葉の横に座っていた弓彦は自分のブリの塩焼きを少しあげ、彼の口元のカレーを拭く。
「美味そうに食べててかわいー」
弓彦は笑いかける。
「そういや、竹葉はどうして飛鳥官人に来たんだ?」
「え?」
健之介に聞かれ、竹葉は固まる。だが答えた。
「『ラビットアイズ』を探しに来たんだよ。広陵市のどこかにあると思って、この学校に行けば手がかりがあるんじゃないかって」
「!?」
「ラビットアイズって……」
「キサラギを動かすアレのコト?」
健之介と弓彦と兵鉢は固まる。ラビットアイズには聞き覚えがあった。それは月面基地の遠隔装置だ。
25年前、月の表面に月面基地『キサラギ』が建造された。その基地が建設後の調査で軍事利用を目的としたそれだと発覚し世間を騒がせた。その基地を地球外から操作できる唯一の装置がラビットアイズという。現在でもキサラギは月にあり表面の五分の一を覆い、その処遇を巡る争いは続いている。ラビットアイズはキサラギをどう利用するかが決定するまでは隠されている、らしい。
「キサラギって月の調査用ってだけじゃなくて打つと地球まで届くミサイルやレーザーも積んでなかった? ていうかそれが問題になってなかった?」
「うん、今はラビッドアイズがないから動かす事は出来なくて所有権も権利書が行方不明だからかどこの国にもないみたいだけど」
弓彦と兵鉢は自分達の知る事をまとめる。
「なんでそんなものを竹葉が探しているんだ?」
健之介は更に問う。
「なんでって綺麗だからだよ」
「?」
健之介と弓彦と兵鉢は気になる。
「俺小さい時に、ラビットアイズの写真を見たことあって……すごく綺麗でほしいって思ってずっと探していたんだ」
ラビットアイズは装置と言ってもその外観はまるで宝石のようなそれだった。緋色に光る宝石の中には極小化された精密機械が組み込まれている。
竹葉は写真ごしでそれを見て、その光に心を奪われた。何かをほしいと思ったのはそれが初めてだった。それを思い出す竹葉が少し笑みを見せたのを三人は見逃さなかった。
「あ、竹葉くん笑った!」
「な、なんだよ。悪いか?」
「悪くないよ。ただ可愛いなぁって」
竹葉は赤面を見せ、兵鉢と弓彦は見守るように笑う。
「……小さな宝石が大きな要塞の装置だなんてSFもびっくりだね」
「火のように真っ赤でウサギの瞳のようなので、ラビットアイズと名前がついたそうだ」
健之介は定食を食べきりつつ補足する。
月面の軍事基地を動かす赤い宝石。まるでロマンのような産物だ。竹葉はラビットアイズの輝きにだけ惹かれていた。
「キサラギって基地は興味無いけど、ラビットアイズは欲しいんだ」
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