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高年期[一学期編]
親衛隊へのお礼は・・・
しおりを挟む・・・兄さんちゃっかりしてるなぁ~
ただいま、兄さんは1人用のゆったり座れるソファに座り、その上に何故か僕が座ってます。しかも横抱きで。
・・・ナニコレ?
蘇我さんに呼ばれた侍女さんが生徒会3人分の紅茶を用意して皆に注いで、そそくさ部屋から出ていった。
3人が流依兄さんにジト目で睨んでいたがポーカーフェイスの顔は歪まず笑顔をキープしております。・・・凄いなぁ兄さん。
それから事件?の話を詳しく聞きたいらしく流依兄さんと僕で交互に話をした。もう何度目の説明だろう・・・
主に僕が監禁されてた時の事を聞かれたけどね・・・みんな険しい顔しちゃったよ。
その後の事は流依兄さんが話した。・・・克典の事は話してない。助けてもらった事くらい。うん、話したくないよね。
「薫風がいなくなった後、犯人を探して倉庫にいる形跡があったのを見付けて血の気が引いたぞ。・・・一足遅かったと悔やんだ。」
「・・・だが薫風が更衣室から連れ去った奴は見付かった。見付けた奴はお前の親衛隊だ。」
「そうそう!僕と同い年の子で、名前は・・・あぁ、珍しい名前だったから覚えてる!猫屋敷千人くん!子爵でも人柄が良いってので有名なんだよ!猫屋敷くんは確か2ーBだったかな。休み明けに会いに行くといいよー!」
「そうだな。猫屋敷が捕まえてくれたお陰で連れ去った奴を発見できた。・・・それで連れ去った奴は警備に連れてかれた。・・・だがそいつは頑なに何も話さなくてな。夕立が捕まった今でも何も話さないんだ。」
「そうなんですね・・・何故でしょう?もしかして・・・いや、憶測な事は言わない方が良いね。僕の親衛隊って何人いるんだろう?」
「薫風の親衛隊?ん~学年関係なく結構いるみたいだよ?あ、3年に親衛隊長がいるよ。名前は・・・神泉清人くんだったね。3ーDにいるよ。代休後に一緒に行こうか。」
「えっと・・・神泉先輩ね。わかった。」
親衛隊とか・・・てか長までもがいるのか。凄いなー・・・組織かっ!って思っちゃうよ。でもそうだなぁ~僕の事を心配してくれたみたいだからお礼をしないとね。
んー・・・何がいいかな?
「・・・じゃあ明日クッキー大量に作って渡そうかな。」
「「「「クッキー!!?」」」」
「っ!?」
え、何故兄さんも反応するの?
「・・・薫風、料理できるの?いつ習ったの?」
「・・・中学の時だよ?農業だったから作った野菜とかで、ね。それにクッキーくらい誰にでも作れると思うけど?」
「・・・薫風の手作り」
「・・・」
「ねぇ薫風!僕のも作って!」
「ん?僕が作ったので良ければ作りますよ。簡単ですから。」
「「っ!私も(俺も)作ってくれ!」」
「え、ええ・・・良いですよ。」
ごめん、ちょっと、いやドン引きします。何この人たち?そんなにクッキー食べたかったの?
「あの・・・クッキー食べたいのであればこちらのーーー」
「「「薫風の手作りクッキーがたべたいんだ(の)!!!」」」
「・・・。」
左様ですか。ただ単にクッキーが食べたいんじゃなく僕の作ったクッキーが食べたいのね。・・・何故?
「薫風・・・無理して作らなくて良いんだからね。親衛隊はまだしもこの人達には必要ないから。」
「おい流依、何を言ってるんだ。お前はいいよ。私たちにと違っていつも薫風と居れるんだからな。」
「それはそうでしょ家族なので。あ、薫風、迷惑でなければ夕食など薫風の手作りが食べたいな?」
「え~?室井さん(八乙女家のシェフ)のご飯の方が絶対美味しいよ?」
「うん、美味しいけど薫風の料理も食べてみたいな?」
「うん、いいよ。じゃあ室井さんに言って厨房を借りれるように言ってみるよ。」
「流依先輩ズルい・・・羨ましい~しかも見せ付けてるし!」
「家族の特権・・・ちっ、流依ばかり良い思いをしやがって・・・」
「・・・」
なーんか3人がブツブツ呟いてるが・・・無視だな。とりあえず夕飯かぁ・・・家族はどうしよう?とりあえず兄さんだけ作ってあげようか。で、両親が食べたいと言ったら今度作ってあげよう。
てか前世は専業主婦してたから料理はできるんだよね。ただ貴族になってから料理しなくなっただけで普通に包丁も使えるし何でも作れます。
クッキーなんか材料と焼く道具があれば簡単にできるし。まぁ凝った物を作るならそれなりに材料は必要だけどね。
未だにブツブツ呟いてる3人をほっといて流依兄さんと談笑して、しばらくして3人は帰っていった。・・・正確には帰らせた。なんかずっと居座りそうな雰囲気があったからね。流依兄さんが追い払うように帰らせた。
そして夕飯は無難にカレーを作った。兄さんはパンやライスと一緒に食べてくれて「とても美味しいよ」と言ってくれた。・・・両親が流依兄さんを羨ましそうに見ていたので今度ちゃんと家族全員が食べれる位何かつくるから、そんな・・・落ち込まないでほしい。
あ、ちなみに真菜には少量残ってたので分けた。「美味しい~!」と喜んでくれたので癒された。・・・両親だけ食べれなかったので少し落ち込んでしまった。・・・何故?
「薫風が作ったって事に意味があるんだよ。いつものご飯も美味しいけど他の人が作ったご飯も一味違うものなんだよ。上手い不味い関係なく、ね。愛情のようなものだよ。」
のちに兄さんに言われた事だ。・・・うーん、わかるような、わからないような・・・まぁ、また今度家族にご飯を作ろうと思いました。
閑話…
「薫風様、とても包丁の扱い方がお上手ですね・・・」
「うん、3年も毎日使えば上達するよ。でも室井さんのように均一に捌けないけどね。」
「いえいえ!十分ですよ!・・・むしろここにいる見習いより遥かにお上手です。」
「りょ料理長~・・・」
「はは!まぁ僕より全然包丁を使う時間が長いから、すぐ追い越されるよ。皆も頑張ってね。」
「か、薫風様ぁ~・・・!」
厨房のやりとり。
無事に厨房を借りることができて皆で夕食を作ってる最中のやりとりです。
はじめ室井さんは「わ、私の料理は口に合わないのですかぁ~!私はクビと言う事ですかぁ~!」と大層な誤解を招いてしまったが、僕が中学で料理をしていたという話を流依兄さんに話したら、食べてみたいと言われたから今日だけ作るんだよと説明したら、なんとか誤解を解くことに成功しました。
いやいや室井さんに辞められたら我が家の食卓はどうなるんだよ。室井さんが辞めたいと言うまでここで働いていてほしいです!室井さんの料理はいつも美味しいです!もちろん弁当も!室井さんがいなくなったら超困ります!母さんは料理できませんから。
・・・という出来事がありました。ちゃんちゃん。
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