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高年期[一学期編]
文化祭その後
しおりを挟む意識を取り戻すと・・・寝過ぎた時の様に頭が重くぼぉーっとする。瞼が重い。そして身体も重い。
『本日を・・・います。・・・もち・・・ります。』
外から、学校でいつも放課後に流れてる音楽が聴こえる。・・・ここはまだ学校の中なのか?
「ん・・・んぅ・・・」
「やっとお目覚めかな?かほるお嬢ちゃん?」
「っ!?」
目に集中して瞼を必死に開け辺りを見渡す。するとすぐ後ろから男性の声が聞こえた。
い、今かほる、花彫って?・・・聞き間違えだよね?聞き間違えであって欲しい!
「まだ頭がはっきりしていないのかな?ねぇ花彫お嬢ちゃん。今世でも同じ世界に生まれ変わるなんて奇跡だと思わないかい?もう運命としか考えられないよ!・・・まぁ今は男同士なのが残念だけどね。でもこの世界では男同士でも結婚できるんだから別にいいよね。」
「・・・」
「あ~この世には警察もいなければ携帯も電波もない。交信手段は伝書鳩。ははっ!お嬢ちゃん監禁したら見つかりっこないだろうねぇ!はぁ~今度は思う存分お嬢ちゃんを愛してあげれるよ・・・」
「ぅ・・・い、やだ・・・誰だ?」
「あぁ声も花彫の時と似たような甘い声をしてるよね・・・顔も面影あるし背が高くなった所以外は全てに面影があるね。・・・ああ、僕の事を忘れたの?僕の名前は夕立勝己っていうの。前の名は・・・朝立負美だ。思い出してくれたかな?八王子花彫ちゃん?」
「なっ!!!!」
う、嘘だろう?一瞬で鳥肌が立ち毛穴という穴から冷や汗がブワッと溢れた気がした。ぼく、いや私の男嫌いの元凶!忘れるわけない!・・・朝立負美!こいつのせいで私の人生は急降下したんだ!
夕立勝己って同じクラスの?何故こいつが・・・ってかここは?どこかの倉庫?でもさっき学校の放送が聞こえたから校内の可能性がある。
・・・てか、今更だが今この状況はなんだ?確か演劇をやって衣装室で休んでた所に、3年の先輩からお茶をもらって・・・それを飲んで先輩に質問してたら眠気が・・・うぅ、またお茶に催眠剤とか入れられてたのか?またお茶・・・散々兄さんにきつく言われてたのにやらかしちゃったなぁ・・・
「ああ・・・今日の衣装は格別に可愛いね。その女装見せられちゃ・・・襲ってくださいと言ってるみたいだよ。我慢できずに手を出しちゃったよ。もう、反則だよ花彫嬢ちゃ~ん!」
知らんがな!てかその口振り・・・いつか僕を襲うつもりだったのか!!
ん?・・・この衣装着ると決まった時に確か陽南さんに言った言葉・・・
『こんな服着たら「襲ってください」と言ってるようなもんだよ!?』
あ、あれ・・・自分で勝手にフラグ立てちゃってた!?うわぁ・・・最悪。
「・・・昔話しようか。お嬢ちゃんと1つになれた後ね、毎日のようにお嬢ちゃんの住むマンションに足を運んでたんだよ?お嬢ちゃんを迎えにね。でも中々出てきてくれなくてね・・・きっとあの男たちに監禁されてたんだよね?まったく兄弟なのにお嬢ちゃんを監禁するなんて・・・酷い兄をもったね。可哀想に・・・」
・・・話が読めない。毎日マンションの前に来てたって・・・ストーカーの極みじゃないてすか。・・・そして迎えに?誰を?何の為に?・・・それにお兄に監禁された覚えはない。ヒッキーになって外に出たくなかっただけ。・・・思い出したくもない。
「そのあと何故か警察に捕まっちゃってね。大変だったよ・・・お嬢ちゃんを性的暴行をしたって事になってね・・・強姦罪で3年も刑務所に入る事になっちゃったんだ・・・失礼だよね?お嬢ちゃんとは互いの合意によって結ばれたのにね。」
な、何を言ってるんだ?頭がおかしい・・・私は逃げた。悲鳴も上げた。組み敷かれてる時も涙を溢れるばかり流して否定して叫んだ。・・・それの何処が合意だと言えるんだよ!
それより執行猶予じゃなく実刑が下ったんだ・・・それは良かった。きっとお兄たちが証拠をかき集めてくれたんだろうな。・・・でも今の奴を見る限り反省は皆無らしい。
「さぁ・・・もう少し眠ってなよ・・・僕たちの新居に連れてってあげるからね。」
「な、なにを・・・んむぅ!」
ハンカチの様なもので口と鼻を抑えられた。鼻にくるツンとした薬品の臭いがして次第に意識が遠退いでいった・・・
マズイマズイ・・・これは非常に危険な状況・・・だ、誰か・・・!
_________
(ここからは流依目線です。)
その頃、学校では・・・
「薫風がいなくなったって、どうゆう事だ。流依、お前がずっと一緒に居たんじゃないのか!」
「・・・僕のクラスの子が呼びに来て少し薫風から離れた時があるんだ・・・衣装室だし、誰もこないだろうと思ったんだ。」
「なんて甘い考えを・・・チッ、お前・・・人の事言えた義理じゃねぇな・・・」
「・・・返す言葉もないよ。」
二階堂くんに言われ自分で自分に舌打ちする。何故あの時に、せめて薫風を一人にしないよう誰か側に居させてればっ!
悔やんでも悔やみきれないが、それよりも早く薫風を見つける事に専念しよう。
「八乙女くん!情報が入った。薫風の親衛隊からの情報だから確かだよ。」
そこへ鳥羽くんが荒い息を吐きながらやってきた。・・・こいつは唯一薫風が心から懐いている1人だ。
体育館から一人の男性が白い布を被せた、人1人分の荷物?を肩に抱え出ていった奴がいるらしく、そこから黒いヒラヒラした布が見えたとの事。それと青い糸?の様な物も白い布から覗いてたらしい。
その男性はかなり不審に辺りを見回しながら走り去ったらしい。・・・きっとそいつが薫風を連れ去った奴だな。
「今、急いで親衛隊達が探し回ってるよ。そして銀徹さんも風間理事長も探してるよ。」
「そっか・・・僕も探すよ。早く見つけないとね。辛い目に合ってなきゃ良いんだけど・・・」
「・・・花彫・・・早く見つけてあげるからね。もうあんな事惨劇は2度とさせません。そんな事・・・俺が許しません。」
「・・・なにを言ってるんだい?」
「いえ、こちらの話だよ。気にしないでいいよ。」
まただ。五十嵐秘書といい鳥羽くんといい・・・薫風が名前呼びした辺りから2人の雰囲気が変わったんだよね。・・・なんというか五十嵐秘書は物腰が柔らかくなった感じで鳥羽くんはなんだか僕に似た雰囲気をもつようになったような気がする。
・・・とにかく確かな情報は有難い。さっそく探しにいく。学校はかなり広く、話では2、3階は探索済みらしいので1階と・・・あとはグラウンドや倉庫、それから中庭を探せば良い。
早く・・・誰よりも早く見つけてあげたい。僕の大切な弟であり・・・誰よりも守ってあげたい愛しい人だから。
********
いろいろと改ざんしました。
エロには☆を、過激シーンは注)を題名に付け足しました。
多少書き直しました。
そして次回は過激シーン入ります。グロじゃないよ一応エロです。
30
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