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高年期[一学期編]
2人の兄たち始動!
しおりを挟む週末になり授業が終わり放課後。・・・いつものように花園へ行く。
ん?珍しい人が花園にいる。本当に久々に会ったなぁ~
「やぁ八乙女さん。」
「こんにちは鳥羽先輩。そして久しぶりです五十嵐先輩。」
「・・・あぁ、八乙女弟。久しぶりだな。」
「珍しいですね、こんな時間に花園にいるなんて。」
「・・・今日は狙ってこの時間に来たんだ。」
「?」
ん?狙って・・・って、どーゆう事!?
「鳥羽、そして八乙女弟・・・ちょっといいか?」
珍しく五十嵐くんからの呼び出し?そして鳥羽先輩も?
・・・そして校舎の裏側、全く人の寄り付かないような所に連れてこられた。
え?何の用なんだろう?
「八乙女弟、いや薫風に聞いてもらいたい歌があってな・・・これは愛翔も知ってる歌なんだが・・・」
「・・・?」
歌?しかも鳥羽先輩も知ってる歌って?
その歌を聞いて僕は驚愕した・・・
「Ah~・・・人生という旅に出た俺たちには~・・・」
・・・あれ?この歌・・・
「いつの日にか~あの睡蓮の花のように~・・・」
ソワソワソワ・・・
「~涙の泉の上咲かせ・・・」
「「「濡れたまんまでイッちゃってー!!!」」」
・・・あ、つい片手に拳をつくり高く上げちゃった・・・
「「「・・・」」」
「え・・・この歌・・・まさか、もしかして・・・?」
あ、ヤバい・・・涙がポロリ...
「・・・やはりお前は花彫なんだな。」
「っ!!!」
「花彫・・・俺の事、わかりますか・・・?」
「・・・え?・・・まさか、藍人お兄・・・?」
「では俺は?」
「・・・う、嘘だ・・・ぎ、憖哲お兄、なの・・・?」
涙が溢れてくる。
信じられない!あの歌はよくお兄達と歌った曲。よくハモってタオルをブンブン振り回してテンション高くして歌ってた曲!
「あ・・・藍人お兄!・・・憖哲お兄!・・・」
「「花彫!」」
両手を大きく広げ元兄である2人に抱き着いた。
本当に?・・・これは夢じゃない?・・・ここにいる五十嵐銀徹と鳥羽愛翔は僕の、私の前世の家族!
「ほ、本当にお兄たちなの?・・・でも、なんで僕が・・・花彫だって・・・?」
「あの音楽祭の時に花彫のクラスが歌った時に俺は記憶を取り戻したんですよ。あの歌は中○みゆきの歌ですよね?花彫を始め俺たちも好きだった歌・・・」
「あぁ、俺もだ。あの歌を聞いて立ち眩みがしてな・・・その時に俺も前世を思い出した。・・・あの最悪の記憶を、な・・・」
「・・・」
最悪の記憶・・・それは私が女性に突き飛ばされて亡くなった事を指すのだろう。
すこし歪んだ顔を見せた五十嵐くんだが、すぐに優しい笑みになった。
「今は奇跡が起きたとしか思えないな。今世でも、こうして家族揃って記憶を持った状態で会えるなんて・・・」
「憖哲お兄・・・」
「そうですね・・・今は家族ではありませんが・・・こうして同じ学校に通い毎日顔が合わせられるのは・・・とても幸せな事です。」
「藍人お兄・・・」
あ、さっきまで止まってた涙がまた溢れてきた。
それを見た2人がまた僕を抱き締めてくれた・・・
あー・・・お兄だとわかったからか嫌悪感を全く感じなくなったな・・・
「・・・これからは俺達が、薫風を守るからな。」
「前世の様に不幸が起きないよう俺達が守ります。花彫、いや薫風・・・今度こそ幸せになってほしいので・・・俺が卒業するまで、守ります。」
「お兄たち・・・うん、有難う。・・・ねぇ、今度から2人の事を名前で呼んでいい?」
「「勿論(です)!」」
2人に即答してもらった。
・・・今度から五十嵐先輩を「銀徹さん」、鳥羽先輩を「愛翔さん」と・・・呼ぶ。
3人で仲良く花園へ行くと・・・庭師さんが手入れをしながら蛭間さんといた。・・・あら、仲睦まじい光景で。
少し、いやかなり目を腫らした僕を見て2人は驚いていたが僕が笑顔を向けたら安堵してくれた。
それから、また蒸らしたタオルを用意してもらい目を温めた。
うん・・・なんだろうね。僕って涙脆すぎないか?
泣き虫は前世を引き継いでしまったのかな・・・?うーん・・・いらないスキルだなぁ(苦笑)
でも・・・またお兄たちと生活できるのかぁ~
なんかこそばゆいなぁ・・・でも嬉しいな~
ふふふ~
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