R18の乙女ゲーに男として転生したら攻略者たちに好かれてしまいました

やの有麻

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少年期

閑話休題...退屈な日に終止符③

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学校から帰ると珍しく広間に両親が向い合わせで座っていた。




「・・・話があるから座りなさい。」





いつも鬱陶しい位威張っていた父が何故か弱々しく見えた。





・・・嫌な予感が脳を過った。





そして残酷にも期待を裏切らなかった。







「荷物をまとめろ。事業が失敗し、この家を手放す事になる。」

「・・・どういう事ですか・・・?」

「和彦、旦那様の言う事を聞いて。今すぐ荷物をまとめるのよ。最小限にしてね。」






やはりこの雰囲気からして・・・我が家は没落貴族になったらしい・・・



貴族の主な仕事は領地を守り、ときに敵の領地を侵攻する指揮官としてその手腕を振るうことであり、経済の発展はその結果として後からついてくるものだと教わった。



その中の1つに力を注いだが失敗に終わり、残るは多額の借金のみ。


うちの両親は案の定、人付き合いがなってなく、没落した時に助けてくれる人もいないらしい。







だが私・・・俺は違う。社交界で親しくしてもらった人もいる。

親睦会にも参加し、俺を買ってくれた人もいた。


だから・・・ 







「荷物をまとめて出ていくのは貴方たちだけです。」

「な、にを言っている?」

「私が・・・いや、俺が公爵家を継いで元に戻します。だから貴方たちは安心して別宅にでも行き隠居してください。」

「・・・お前にそんな事できるのか?」

「できるかじゃなく、やるんですよ。俺は貴方に叩かれた時からこの家の領土や何の企業をしてるのかと色々調べて勉強してました。」

「そ、そうか。ならお前がいれば安心だな。・・・私たちに何か出来る事があれば言ってくれ。」




形勢逆転・・・本当にこの人たちは俺の親なのだろうか・・・疑いたくなる程愚かだ・・・





「俺は別宅へ行き隠居しろと言ったんですが理解できませんか?」

「な・・・ここの領主は私だぞ!」

「その御領主とやらは今は没落しそうなんですよね?それでこの家を手放すと・・・そう言いましたよね?」






父は唸って頭を抱えてしまった。・・・母は静かに父の側へ行き背中を擦っていた。





話をしている間に執事が黒いアタッシュケースを4つと、キャリーケースを何個か持ってきた。


俺の考えてた事を逸早く気付き用意してくれたようだ・・・


この執事がいれば大丈夫だろう。




「・・・このアタッシュケースには贅沢をしなければ10年は普通に暮らせる程の金が入ってます。これは俺が何かあった時のために貯めていた金です。これを差し上げますので・・・どうか心やすらかに隠居してください。」






・・・俺の話を理解したのか、「金」という言葉に反応したのか、ガバッと顔を上げ俺ではなくアタッシュケースに目が釘付けになった。




「ほ、本当に金なのか・・・?」




息子に言う言葉ではないな・・・我が家も腐った貴族の一つだったとは思いたくなかったが・・・仕方ないよな。






「ええ・・・確認したければ勝手にーーー」





言い終わる前に父はアタッシュケースに一目散に寄り付き、執事からアタッシュケースを奪うように受け取り中身を確認して歓喜をあげた。




・・・俺は今どんな顔をして両親を見ているだろうか・・・







「すまなかった。我が息子は出来の悪い奴だとばかり思ってたが有能だったとは・・・私も見る目がないな・・・」

「・・・」

「で、ではこれを持って別宅に行くとしよう!そうだ、何かあったらすぐに呼びなさい。直ぐに駆けつけるからな!」

「お気遣い・・・ありがとうございます。・・・外で自家用ジェットがいつでも発てるよう準備しておりますので・・・」

「あ、ああ・・・何から何まですまない。で、ではただちに発とう。」






そう言っていそいそと準備をする父。

何か言いたげな感じで俺を見てくる母。






ああ、母よ、知ってるよ。


母は政略結婚で嫁いだ事。そして父を愛そうと努力している事。・・・そして父の執事と浮気している事。・・・全て知ってるよ。





でも夫婦なんだから夫婦らしく暮らしてほしい。・・・離婚するなら勝手にしてくれ・・・もう俺たちは赤の他人なのだから・・・










それから小学校を退学し、領主の仕事に没頭す。








あぁ・・・無性に薫風に会いたい・・・









そんな時、一通の手紙が届いた。





没落した尻拭いをこなしてるうちに、沢山ある書類の中に何故か青い便箋が混ざっていた。





気になって送り主の名前を見ても何も書いてなかった。



封を切って中身を開けると・・・あの甘い匂いが微かに香った。


直ぐに中に入ってる手紙を出す。





Dear.風間先輩


急にいなくなって驚きました。何も一言もなしにいなくなるのは人としてどうかと思います。

けど、何か事情があって来れなくなったんですよね。

風間先輩ならどこで何をしてもきっと、トントン拍子に事が上手くいきます。

夏休み、強引でしたが風間先輩の別荘へ連れてってもらい、気遣いの良さに驚きながらも楽しく過ごさせてもらいました。

きっと風間先輩は人一倍、人に気遣いができる良い人です。そんな風間先輩は人を惹き付ける才能があるのだと思います。

どうか風間和彦の未来に幸あらんことを・・・

また会える日を待ってます。






やはり送り主の名前は書いてなかったが、文字を見てわかる。



きっと・・・返事は必要ないという事なのだろう・・・








ありがとう薫風。



俺は絶対復興させ今以上に成長してお前を迎えに行くからな・・・



待っていてくれ








************

一気に風間和彦の事を書きました。


次は中学の話を書きます。かなり短くなると思いますが、あまり期待をせず待っていただいて、そして読んでいただけると嬉しいです。


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