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高年期[二学期・後編]
さてキャラメル作りますよー
しおりを挟むはぁ・・・クラスの人たちはもう次の休みの話題で持ちきりですよ。もうさ、教室や廊下とかで話さないでほしいんだけど。いや、もう遅いんだけどね。もう広まってるし。
学校が休みの日は基本先生方と部活をしている生徒が来ている。閉鎖はしてないらしい。でも基本は用がない、関係者以外は学校へは入れない。まぁ普通だよね。
・・・とりあえず子鷹狩くんとの約束を守るべくリハーサルするためホテルへと行く。
「お待ちしておりました八乙女様。子鷹狩様、有難うございます。」
「どうもお久しぶりです。さっそく次の休みに歌おうと思い練習を、というか楽譜を作成してますので、3~4日で頭に叩き込んでもらいたいのですが。」
「おぉ!新しい歌ですね。我がホテル専用に演奏する者達に好評で毎日のように弾いてますよ。・・・是非4日、いや3日ですらすらと弾けるよう練習をさせます。」
「いや、無理にやらせないでください?」
「とんでもない!既に八乙女様が来ると知らせると率先して参加したいと言ってくる程ですので大丈夫ですよ。」
「そ、そうですか。・・・では見本を私がまず一曲引くので、それを見本に練習をしてもらえますかね?」
「勿論です。皆部屋で待機しておりますので。ささ、どうぞ!」
「あ、それでは失礼します・・・」
なんかすっごく優遇対応されてるんですが・・・なんか気後れする。
・・・それからすんなりリハーサルは終わり、途中、賄い(にしてはちゃんとしたディナーを出された)を貰いながら遅くまで練習した。
何故かオーナーと子鷹狩くんが終始ずっと同じ部屋にいたのが気になるが・・・
「はぁ~久々に聞いた八乙女様の声は・・・なんとも素晴らしい」
「ああ・・・体育祭も、八乙女が歌が上手すぎて一つ競技が取り消される位だからな。」
「ほぉ・・・そんな事が。」
「応援合戦がなくなった。その代わり閉会式に単独で歌を歌っていたがな。・・・かなり学校の方に生徒や保護者が文句を言っていたからな。八乙女の歌声一つで、まるで鶴の一声のようだった。みんな八乙女の声に魅入り苦情から称賛へと代わり終息したようだ。」
「素晴らしい・・・その歌はどんな歌でしたか?」
「励ますような、そして愛を囁いているような歌だったな。八乙女は歌に集中し、演奏、ピアノは誰かが弾いていたようだ。」
「聞いてみたいですね・・・あぁでも、ここで披露してしまえば身元がバレてしまいますね。」
「ああ。・・・だが、今なら良いんじゃないか?お願いすれば一曲くらい大丈夫だろう。」
リハーサル中、2人でボソボソと何か話している。・・・まぁこちらはこちらで集中してるから気にはならないが・・・たまに視線を感じるんだよねぇ~・・・
「ふう~だいたい曲の流れは掴めましたか?」
「はい!」
「では本番まで練習をお願いします。・・・えっと、オーナーさん?」
「はい、如何致しましたか?」
「あの、もし何かありましたら、僕の家へ連絡をください。用がない限りすぐ駆けつけますので。」
「お気遣い有難うございます。・・・八乙女様、恐縮ですが、一つお願いがございます。」
「はい、なんでしょう?」
「子鷹狩様から聞いたのですが体育祭の閉会式で歌った曲を・・・歌って頂けませんか?」
「・・・子鷹狩先輩?」
「・・・」
「はぁ・・・わかりました。ですが一度だけですよ。・・・実はこの曲、感情移入してしまいピアノを弾きながら歌うのは大変なんですよ。」
「あ、も、申し訳ございません!」
「いえ、大丈夫ですよ。一度だけなら、なんとか・・・」
はぁ、リハーサル中その話をしていたのか?全くお喋りだな子鷹狩くんは。ま、一回だけなら大丈夫だろう。
ピアノを借りて軽く手慣らしをして、ゆっくりと弾きながら謡だした。
・・・みんな、少し頬赤くなってない?大丈夫かな?
それでお開きになり子鷹狩家の車で送ってもらった。
__________
そして時間はあっという間に過ぎ、今日は待ちに待った調理実習の日です。
時間通りに皆さん集まって、滅多に使われない調理室に材料を揃え何グループかに別れてもらい席についてもらった。
「今日は、僕だけじゃ大変だと思い僕の家で専属シェフをしている料理長を連れてきました。彼もちゃんと作れますので指導してくれます。僕が説明しながら作りますので分からない事があったら料理長に助けを求めてください!」
そう、やっぱり1人に対し30人を一気に教えるのは負担が大きいと思い無理言って料理長にもついてきてもらった。・・・皆、貴族の坊っちゃん嬢ちゃんなので初め断られたんだが何度も説得し口説き落とした。
「では始めます。まずは───」
始めは普通のキャラメル。牛乳、砂糖を鍋で煮込んで、次に生クリーム蜂蜜またはメープルシロップとバターを入れて更に煮込む。少し硬めに作ろうと思い料理長に指示しながら火を止め型に流し込み粗熱を取り、時間短縮するため冷凍庫へと入れる。
「次にイチゴを入れたキャラメルを作ろうと思います。生でも乾燥させた物でも何でも使えます。・・・では作り始めます。作り方は始めと変わらない流れで砂糖と牛乳にイチゴを入れて煮込みます。」
・・・イチゴと抹茶と3種類作った。あとは固まるまで待つのみ。
意外と説明を忠実に再現してくれたので料理長は各グループを見回り多少指摘し助言するだけで良かった。・・・うん、予想外に楽だったな。気を張り詰めすぎてたみたいだね。
・・・
「わぁ~・・・凄い、なんかキラキラしていますわ。」
「キラキラ・・・テカテカしてるよな。でも美味しそうだ。」
出来上がった物に料理長は包丁で切り分ける。流石に固まったキャラメルを切らせるわけにはいかなかったので料理長と僕で切り分ける。
そしてそれぞれ分けて今食べる物を小皿に乗せ後は袋に詰め持ち帰り用にする。
「「「「「っ!」」」」」
皆が一斉にキャラメルを口にして驚きの顔を作り固まる。・・・ふふ、面白い。料理長と2人で微笑み僕たちも口にする。・・・うん、上手にできたね。少し甘いかな、砂糖入れすぎたか?
「美味しいですね。」
「うん、上出来でしょ。もう少し固くても良かったかも。」
「私はこの柔らかさで十分だと思いますよ。」
「あ、料理長はこの固さが好みなんだ。」
へぇー料理長は柔らかい方が良いんだね。
・・・それから口々に感想を言い合う声が聞こえてきた。うんうん、美味しいよねぇ~。この日のために試しに作った味違いのキャラメルも上手に作れてたし、満足です。
「「おいしー!」」
「薫風ー、俺この抹茶好きー。」
「ああ、僕も好きだよ。もっと食べる?」
「あーん。」
「・・・」
そーだった。見学者3人を忘れてた。珍しいことに大人しくしててくれたので存在を忘れてたよ。・・・しかも、あーんのおねだりか?やらないよ?人前でそんな事をするわけないでしょ?手においてやったら拗ねた顔をして口に放り込んでた。・・・初めからそうしなさいよ。
料理長が気を聞かせて甘さ控えめのミルクティーをせっせと作り全員に準備をしていた。・・・デキな料理長。気が利きますね。
それから各自お土産を持って帰宅していく。・・・僕は帰らず理事長室へと向かう。あーあ、気が重いなぁ・・・
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