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高年期[二学期・後編]
子鷹狩くんに呼び出されました。
しおりを挟むまったく面倒な事になった・・・
調理実習。まぁ今回は包丁使わないし、ただ鍋で煮込む感じだから危なくないだろうから・・・まぁ楽っちゃ楽だね。
仕方ない・・・皆と約束したんだし。放課後また行くかぁ~・・・はぁ。
___________
「失礼します。」
「薫風か。何か用か?」
放課後になりクラス全員の期待を背負って理事長室へと赴きました。はぁ、気が重い。
「あれ?風間理事長は?」
「ああ、あいつは仮眠室だ。区切りの良い所で30分程寝るとか言って寝始めてる。」
「そっか。大変そうだね。早く落ち着くと良いね。」
「それより用件はなんだ?遊びにきたわけじゃないだろ?」
「あーうん・・・風間理事長に用があったんだけど。」
「時間があるならここで待ってるか。お茶を出そう。」
「お邪魔にならないなら待ってようかな。」
「俺も休憩しよう。座れ。」
うーん、気が知れる人といると楽だよねぇ。軽く雑談して風間くんが起きるのを待つことになった。
・・・
「スマホが欲しい。まだクリアしてないゲーム沢山あったのに・・・」
「ああ、俺はパソコンのデータに機密事項が残ってたからなぁ~あれはどうなったか、それに遺産とかどうなったか気になる。」
「そーいえば銀徹お兄は癌で・・・」
「ああ、そうだな。40歳だ。まぁハゲる前に死んだな。財産は大量に残ったから残った妻に全ていっただろうな。」
「ハゲる前って・・・あ、てか今は髪も瞳も銀色だよね。なんかその色の方がハゲそうな感じがするけどね。」
「おいおい!そーゆうことを言うな!地毛なんだから逆に黒く染めた方がハゲやすいわっ!」
「あはは~確かに!私は生まれた時から日本人そのままだったけどね。黒髪茶目だったけどねぇ~記憶戻ったら青くなっちゃったけど。」
「まぁそのお陰で俺も前世を思い出したがな。・・・お、風間が起きたようだ。」
「・・・」
「あ、風間理事長。」
ドアの開閉の音はしなかったんだけど気付いたら朴が座ってるソファーの後ろに突っ立っていた。・・・ちょ、怖いよ。何か一言喋って?
「薫風、いつからいたの?」
「あ、えっと・・・終礼の後です。」
「風間、薫風がお前に話があるようだ。とりあえず紅茶飲むか?ソファーに座れ。」
「ああ、頼む。・・・頼み事かい薫風?」
のろのろと僕の隣にゆっくりと座ってきた。・・・肩に風間くんの頭が乗っかってきました。はいはい、肩くらい貸して差し上げますよ~。
「今朝持ってきたキャラメルあるじゃないですか。」
「ああ、それがどうした?」
「それを僕のクラスの人達に配ったところ、大好評でして。作り方は簡単だって話をしてたら・・・みんな、興味を示しだしまして・・・」
「うん、それで?」
「あの、僕の家も流石に30人は入らなくてですね・・・それで、次のお休みに、学校にある調理室をお借りして調理実習を行いたいのですが・・・」
「次の休み?ああ、それなら構わないよ。私も学校に用があるので午前中だけなら貸してやらなくもないよ。」
「あ、本当ですか!」
「ただし。」
「・・・」
「私にその日の午後、私と共に過ごしてくれるならね?」
・・・条件付きですか。やっぱりそーですよねタダじゃないですよねぇ~。
「いいですよ。」
「ふふ、予想はついてたようだね。・・・よしわかった。調理室を休日に貸し出せるよう校長に伝えとくよ。」
「・・・ありがとうございます。」
「まぁ丁度いいんじゃないか。薫風がいれば休めるだろう。ずっと働きすぎだ。」
「久々にあのマンションへと行こうかな。・・・ああ、楽しみができた。これでもう少し頑張れそうだよ。」
「・・・まだ休みまであるがな。まぁやる気が出たのなら適度に休み仕事をこなしてくれ。」
「ああわかった。」
はぁ、やっぱり僕は犠牲にされるんだな。まぁ久々の風間くんと過ごすんだ。楽しもうじゃないの。またイチャイチャ甘々にならなきゃいいけど・・・いや、今の風間くんなら・・・ならないかな?
________
「八乙女、少しいいか。」
「は?」
次の日の朝。こっそり鬼龍院さん専用に少量のクッキーを供えて2人でゆっくりアッサムティーを飲んでいた所に来訪者がきた。
・・・予想外の来訪者が来て2人で固まって(いや鬼龍院さんは優雅に紅茶飲んでる形)いると声をかけられた。どうやら僕に用があるらしい。
「おはようございます子鷹狩先輩。僕に用ですか。」
「朝はここで庭師といると聞いてな。かなり仲が良いようだな。」
「・・・ご用件は。」
「そんな不機嫌な顔をするな。すまんが次の休みにホテルのレストランでまた歌って欲しいのだが。」
「・・・ここ暫くは呼ばれてなかったのでもう用済みかと思ってましたが・・・」
「常連客の要望がかなりあってな・・・悪いが頼めるか。」
「陽南さんもとても歌が上手ですよ?今度から陽南さんを呼んだらどうですか?」
「なんだ・・・嫌だと言うのか。」
「・・・」
「まだ話は続くか?」
「!あ、すみません鬼龍院さん。・・・子鷹狩先輩、話は昼休みでも良いですか。陽南さんも連れていきます。」
「陽南は別に呼ばなくていい。昼休み迎えに行く。昼は食堂か?」
「はい。」
「じゃあ昼に迎えに行く。」
・・・なんなんだ急に。まさか運動会の時の歌を聞いて要望が殺到したとか?・・・まさかね。
それから少し温めのアッサムティーを飲み干し教室へと行った。・・・なんか朝から疲れたな。精神的に。神出鬼没だなぁ子鷹狩くん。
「かおる~?休みに何か学校で調理室使って菓子作るんだって~?」
「・・・どっからそんな話を聞いたの克典。」
「薫風のクラスで皆が騒いでたの聞いた~。」
「うわっ、まだ決まってないのに話が進んじゃってんのかよ・・・」
「俺も参加するよ~勿論、食べる専門でね~。」
「「俺たちも行きま~す!」」
「・・・」
「そのきゃろめり?食べてみたい!薫風センセーいいよね?」
「違うよきゃるめら?だろ?甘くて口の中で溶けて美味しいって薫風センセーのクラスの人たちが話してたよ~!是非是非食べたいです!」
「・・・キャラメルね。まぁ人数制限されてないだろうから良いんじゃないかな。ただ、材料は各自持参だからね?・・・まぁ来るなら食材だけでも持ってきて。作ってあげるから。」
「「わーい!」」
「ただし!あまり多く持ってこないでね?多過ぎても余るだけだから。」
「「はーい!」」
はぁ・・・これ、どこまで話が広まってるんだ?確か調理室なんてクラスと同じ大きさだから最高でも30人位が限界だよね?器具もあるんだし。見学とか・・・こないよね?
___________
「改めて言う。次の休みにホテルに来て歌ってもらいたい。」
「はぁ~・・・その、お客様の要望ってのは体育祭がきっかけですか?」
「いや、結構前からだ。何度も俺の方に手紙が来てオーナー直筆で頼まれてたんだ。・・・これがその手紙だ。」
「・・・僕が読んでも?」
手紙を差し出され頷かれた。では、オーナーさんからの手紙を受け取り読み出す。まぁ内容はシンプルに「八乙女様をホテルに招待して欲しい」との事が熟々と書かれていた。僕の褒め言葉から始まり悲願している内容が書かれ子鷹狩くんに切に願っていた。・・・ああ、読まなきゃ良かった。これ断ったらオーナーの悲しそうな顔が浮かび上がって罪悪感を抱きそう。
「読んだか?」
「はい・・・ではお休みの後半でも良いですか?前半は予定があるので。」
「ああ、学校でわざわざ菓子作りをするようだな。」
「ああ・・・かなり広まってるんですね。」
「俺は甘いものは興味ないが周りの話し声が聞こえてきてな。・・・来てくれるなら構わない。八乙女に任せる。」
「わかりました。・・・では、今日か明日にでもリハーサルをしたいので行っても良いですか?」
「りはーさる?・・・ああ、練習か?明日なら俺が空いてるから送迎できるぞ。」
「では明日お願いしていいですか。」
「わかった。放課後迎えに行く。」
・・・なんか僕に色々とイベントが発生してるんですが。な、何故?
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