R18の乙女ゲーに男として転生したら攻略者たちに好かれてしまいました

やの有麻

文字の大きさ
298 / 313
高年期[二学期・後編]

体育祭③二人三脚

しおりを挟む



柳瀬先輩は本当に足が早く器用で見事1位を取っていた。チラッと、ほんとチラッと柳瀬先輩の方に目を向けたらバッチリ目が合いニッコリ笑い手を降られた。・・・うん、人懐っこい人だよね。手を降られた返事に僕はニコリと微笑み頷いて返した。




そして前の障害物へと視線を向け集中する。






第1障害 平均台/第2障害 ネット潜り/第3障害 ハードル/第4障害 フラフープ30回/第5障害 パターゴルフ・・・以上。頑張るよー!






・・・結果。残念、2位でした。パターゴルフで2回失敗して時間をロスしてしまったんだよね。いやぁ~1回外した時は焦っちゃったよ・・・まぁ初めてやったからね、感覚が掴めなかったんだよね。



・・・ハイ、言い訳です。1位は、なんと子鷹狩くんでした。今の所、黒組が一位なんだよね・・・悔しい。






「八乙女・・・お前ゴルフは初めてか?」

「子鷹狩先輩・・・はい、上手くできませんでした。最後の最後で越されてしまいましたね。」

「ああ、運が良かった。八乙女は運動神経はいいほうだと聞いていたからな。」

「・・・」






はぁ・・・未だに子鷹狩くんが「薫風」じゃなく「八乙女」って呼ばれるのに慣れない・・・だって小学校、いや幼稚園の頃から名前呼びだったから・・・う~ん、少し寂しいかな。




そして運動神経が良い方だって言われたのは心外だなぁ・・・はぁ、これも補正がかかってるのかな。・・・良い方じゃなく良いんですよ、実際は。




「子鷹狩先輩、少し聞いてもいいですか?」

「・・・なんだ?」

「・・・何故、昔の様に名前で呼ばなくなったんですか?」

「は?」





え?何故そんな呆気にとられてるんですか?もしかして幼い頃の記憶もリセットされてる?





「・・・」

「え、子鷹狩先輩?・・・あの、同じ幼稚園、小学校へと通ってましたよね?」

「・・・」

「いつも僕は学年で成績首位をとって学年長になって、子鷹狩先輩は流依兄さんと競ってどちらかが学年長になってましたよね?・・・覚えてませんか?」

「・・・あ、ああ、なんだか、頭に靄がかかってるようだ。俺は・・・八乙女を名前で呼んでたのか?そんな馬鹿な事があるか・・・」

「・・・そ、うですか・・・残念です。すみません変な質問をしてしまったようで・・・忘れてください。」

「あ、おい・・・」





キリの良い所で障害物レースの得点が付いたらしく解散となった・・・子鷹狩くんに呼び掛けられた気がしたが自分でもわかる位、顔が歪んでたからもうその場からいなくなりたかったから無視した。








次は二人三脚~・・・あぁ~もう疲れた。前半にレース物詰めすぎ!もう休みたい。





「姫ぇ~!・・・って、大丈夫?」

「神泉先輩・・・はい、大丈夫です。ちょっと水分を」

「ゆっくりね!俺たちの出番は中盤だから!」

「はい・・・あ、でも少し練習しましょう。」

「大丈夫?休める時に休んだ方が・・・」

「いえいえ、これやれば後は暫く休めますので。」

「そっか~・・・じゃあもう少し休んで、やろっかー!」

「はい。」





水筒で水分補給して自分たちの番になるまで練習する事になった。





「・・・あの、神泉先輩に聞きたい事があるのですが。」

「ん~どうしたの?」

「・・・柳瀬先輩ってどんな人ですか?」

「ん~そうだな・・・まぁ、親衛隊にいても害にはならない奴、かな。柳瀬がどうしたの?まさか!柳瀬が姫に粗相な事を!?」

「い、いえ!・・・さっきの障害物レースで前に並んでて、少し話をしたんです。・・・なんというか、先輩なのに失礼ながら人懐っこい人だけど信用できない人だなって思ったので・・・」

「さっすが姫だね!・・・うん、害にはならないだろうが、信用はできないやつだよ。・・・だって、姫の悪い噂・・・あいつが率先して流したからね。」

「は?」

「あいつ興味を引かれた物にトコトン執着する奴でね、薫風の前は風間理事長の背中を追いかけていたんだよ。・・・実は柳瀬はほんと最近入った親衛隊なんだ。」

「・・・そうだったんですね。でも、なんかさっき話をして目をつけられた気がするのですが・・・」

「まぁ好きにさせると良いよー。さっきも言ったけど害にはならない奴だから。」

「・・・あの、何か引っかかる言い方しますね?」

「まぁ~・・・あいつも初めはね、薫風の親衛隊にちょっかい出してきたんだよ?」

「はぁ?」

「でもね、姫なら絶対仕返しなんて望まないと思ったから避ける程度に留めたんだよ。・・・ネコは無理だったけどね。」

「それ、本人が濁して言ってました。僕の親衛隊は怪我してない・・・とか。」

「うん、それ本音。ネコは少しでも姫の悪口をした奴らに鳩尾やら脇腹やら悪口言った分だけ入れてたからね・・・顔とかじゃない辺り冷静だったなって思うよ。」

「えっ、ネコ先輩、強いんですか?」

「強いよ~?中学なんて『赤毛の狂猫』なんて2つ名があったし。あ、ネコは中学はこんな貴族学校じゃなくて平民も通う普通学校行ってたんだよー。なんでも仲良い友達がいるからだとか。」





うわぁ~2つ名とか!ヤンキーですか?ってか仲良い友達って十中八九ヤンキーですよね?うわぁ~・・・




「詳しくはわからないけど友達がやりたい事があるとかで引っ越しちゃったらしい。それで親の勧めでこの学校にきたらしいよ~。」

「ふわぁ~ネコ先輩、凄くおっとりしてるから、そんなヤンキーな姿が思いつきません。」

「ははは!それは俺もだよ~。まぁ姫の親衛隊を作ったのが切っ掛けで知り合ったから姫のお陰かな?親衛隊の奴らは皆良い奴だよ!」

「・・・柳瀬先輩の話したばかりじゃないですか。」

「過去は過去だよ~!何かあったら、その時は姫に届く前に処理するから安心してぇ~!」

「しょ、処理って・・・物騒ですね。」

「でもね~柳瀬は洞察力が、多分この学校で一番優れてると思うよ。だから何か気になった事があったら柳瀬を頼ると良いよ。ただ何か対価を求められる可能性があるから・・・うぅ、クッキーとか供物を、持っていくといいよ・・・」

「・・・何故そこで声がどもるんですか?」

「え~だってさぁ~・・・俺、隊長だよ?まずは俺に頼ってほしいわけ。でも情報とかは柳瀬の方が優れてるからさぁ・・・」

「ふふ・・・そうですか。ではまずは何かあった時は神泉先輩を頼り、のちに柳瀬先輩を頼ります。神泉先輩の方が断然信用できますから。」

「ひ、姫ぇ~!ほんっっっと良い子だねぇ~!」

「わわっ!?ちょ、足結んでるんですから寄りかかられると倒れちゃいますよっ!」

「ごめんねぇ~!はぁ、ほんと、姫は天使・・・最高。」





なにかボソリと呟いてたようだが、うん、ろくでもない事だろうからスルーで良いだろう。さて・・・出番がくるから列に並びましょうか。





「位置について・・・よーい・・・どん!」





合図と共に互いに方に腕を回している腕に力がこもる。目指すは一位!・・・ん?





「1、2、1、2、1、2、1、2・・・ん?」

「姫、気付いた?俺たち、余裕みたいだ。」

「1、2、1・・・なん、か、拍子抜けです、ね・・・」

「まぁ、俺たち程真剣に練習してた奴はいないからね。」

「えっ!?」

「俺は~姫と~一緒に居たかったから二人三脚ずっと練習してたよ~!もう最高の一時でした。」

「・・・」




な、なんだろうこの残念な感じは・・・あ、もちろん一位とりましたー!てか二位との差がありすぎて本当に拍子抜けです。・・・もっと気合いいれよーよー・・・




あ、陽南さんも友達(もちろん女性)と一緒に二人三脚やって一位とってました。おー大分点数稼いだんじゃない?一位の列に紫色のハチマキしてる人たくさんいたし。





よしよし、このまま行けば一位は目じゃないぜぇ~!



しおりを挟む
感想 263

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

処理中です...