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高年期[二学期・後編]
リセットについて考えてみた。
しおりを挟む「まぁ、風間家の事は後で構わない。話を進めてくれ。」
「はい。・・・リセットによって攻略者たちの態度が変わりました。でも乙女ゲーム通りの、シナリオ通り性格、そしてイベントが進んでる状況になってました。」
「いべんととは?」
「入学初日に一目惚れで即お付き合いって事にはなりませんよね。乙女ゲームは様々な出会いを重ねて好感度を高めていくゲームですので、そのイベントをしていくうちに好感度を上げ最後に告白するという流れになります。イベントは文化祭や体育祭の事です。」
「もうすぐ体育祭が始まりますね。それもイベントですので・・・きっと攻略対象者と私は必ず接触してきますわ。・・・ふぅ、少し憂鬱ですわ。」
「まぁ状況を確認するためにも丁度良かったよ。今の所・・・二階堂くんと子鷹狩くんが対象になってる感じかな。」
「ええ・・・今の所。あ、そういえば門の前で警備していた蛭間さんによく声をかけられますわ。・・・ただ、友人の様な、恋愛要素のない世間話ばかりですが。」
「はぁ・・・蛭間さん、本当に鬼龍院さんの事忘れちゃったのかねぇ。」
「・・・鬼龍院は至ってかわらないな。ああ、ただ先週、婚約者とあまり良い関係になっていないと聞いたな。」
「それは朗報ですね。・・・少しずつ深まってくれればいいんですが・・・」
「薫風様・・・少し質問があるのですが。・・・そのリセット?された11人は、リセット前の記憶は元には戻らないのでしょうか。」
「・・・それはまだわかりません。それに、その11人中、2人リセットされてない、変わってない人がいます。」
「・・・鳳だな。あと1人は誰だ?」
「天野政美です。・・・2人は僕がリセットした次の日に体調を崩して学校を休んだのです。・・・そして僕がお見舞いに行った途端元気になって、そして今までと変わらないリセットした後も態度が変わりませんでした。」
「それは・・・その2人は他の方と何が違ったのでしょうか?」
そーなんだよね。あの2人だけリセットされてないんだよね?共通点も無ければ何も思い付かない。
「なにか共通点は?」
「・・・特には。性格も容姿も年齢も・・・特に共通点がないんだよねぇ~」
「何が原因なんでしょう・・・薫風くんへの想いの強さとか?」
「は?・・・何を言ってるのさ陽南さん。」
「二人ともスキンシップが凄かったですわね。会えば必ず抱きついてたし、一緒にいる間はずっとくっついてましたわよね。」
「確かに・・・」
「触れ合い度?・・・感情が左右するなら、今の状況に満足している、とか?」
「・・・」
そーなの?・・・でも、うん確かにしっくりするね、その推測。でも、それは身体を重ねた事のある二階堂くんや子鷹狩くんはどうなの?そんで天野くんとは仲良い友達感覚なんですか。
「うーん・・・」
「謎、ですわね・・・とにかくリセットした人達がどうなるか様子を見なくてはなりませんね。まずは体育祭ですわ。攻略対象者とは別のチームになってますので、それによってどうなるか・・・まだまだわかりませんわ。」
「そうだね。今思い悩んでも仕方ないね。」
「足利、風間に何かあったら報告してくれ。」
「畏まりました。」
「・・・和彦さん、そろそろ離れてくれませんか?」
「ん~無理かな。離れたらもう私の所へ来なくなるのだろう?」
「・・・」
まぁ、そーなるよね。
・・・バチン!
「っ!?」
「足利!何をする!」
「こうでもしなければピアスを外せませんでしたので・・・修復致しますのでお許しください。」
急に執事さんが近づいてきたなぁ~と思った矢先、小さな金切りバサミでピアスの金具を切除したようだ。・・・執事さん、いつも思うけど、一言言って欲しい。金具が切れた音が耳の側で響いて鳥肌がたっちゃったよ。
「一言断りを入れてからしてくださいよ足利さん・・・」
「申し訳ございません。私が何か発すると必ず我が主が反応致しますので・・・致し方なく。」
「足利・・・薫風の身体に傷でも付いたらどうするのだっ!金輪際薫風に近づくな!」
「それは無理でしょう。私は和彦様の執事。今後また薫風様と親しくなるのであれば自ずと接触する機会ができますので。・・・それより、私より和彦様の方が金輪際近づかない方が宜しいのでは?」
「あ?」
「今、この中で薫風様を一番傷付けているのは紛れもなく和彦様ですので。」
「なっ!?私は薫風の身体に傷ひとつ付けてないぞ!」
「肉体的には、ですがね。精神的には、一番傷付けておりますよ。」
「っ・・・」
「クッ・・・辛口だな足利は。まぁ・・・それは俺も同意だな。風間、まずは自分が仕出かした薫風への謝罪が必要だな。いや、まずは自分への反省か?」
「そうですわね。風間理事長様には反省が必要ですわね。それまで薫風くんは私が預かりますわ。」
「!?」
「え?ひ、陽南さん!?」
何を言い出すんだこの子は?・・・あ、でも、まぁ・・・その方がいいのか?今は一番の理解者は陽南さんだ。でも、だからって・・・風間くんと別れた途端陽南さんと付き合うのは世間体が悪いような・・・
僕は尻軽、乗り替えが早い、クソビッチ的な感じで、風間くんは陽南さんに取られた感じになるよね・・・?
「陽南さん、流石にそれは無理だよ。風間理事長と別れた途端付き合いだすのは・・・」
「あら?薫風くんは私と付き合うのは嫌ですか?」
「・・・友人としては好きかな。でも恋愛対象には、ごめん考えられない。」
う~気まずい。でも嘘つきたくないし、これ本音だからね・・・カモフラージュだとしても恋人にはなれないなぁ・・・。前に二階堂くん達がしつこすぎて恋人にならないかって言っちゃってたけど「私と子作りできますか」と言われてノーだって答えた事があるよね。それは今もかわらないんだよなぁ~・・・多分、本性しってるし、あっちも僕の本性知ってるからかな。元女性だから、レズでない限り、例えこの体が男性だとしても女性を抱く事は皆無に等しいんだよね。・・・あ~友情に亀裂が入ったかな~・・・?
「ふふ・・・まぁ私と薫風くんは今の距離が一番似合いますわよね!まぁ私は今の薫風くんなら本気で付き合っても末永く仲良くしていく自信はありますわ。」
「それは僕もそうだよ。ただ、恋愛事となると・・・うーん、無理かな。」
「ふふふっ。だからこのままで構わないわね。ただ以前よりは親密になりましょう?その方が手っ取り早いですわ。」
「同感。・・・うえっ!?」
「薫風・・・」
腹部に巻かれていた腕に締め付けられ変な声がでた・・・あ、風間くん忘れてた。早く離れてくれないかな。脛でも蹴ってやろうか・・・
あ、その必要なかったね。銀徹さんが救出してくれました。銀徹さんが近づいてきて何となく今からする事を感じ取り、目の前でしゃがんできた銀徹さんの首の後ろへと腕を回した途端、思いっきり引っ張り上げられ風間くんから離れる事ができた。・・・うん、後ろから風間くんの恨めしい鋭い視線がヒシヒシ感じますよ・・・?
・・・そして解散となった。もう外は真っ暗です。時間を気にせず話しちゃったから遅くなっちゃったよ・・・
とりあえず明日、顔を覚えている親衛隊の人達に会うためにクッキーでも焼こうかな。そして少し話をしたいな。なんか僕を支援したが為に嫌がらせを受けてたら嫌だもんね。・・・もう、そんな事はさせないけどね。
とりあえず風間くんに頑張ってもらい僕の名誉を回復してもらわないとね!
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