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高年期[二学期・前編]
え、自分に色気なんかあるの?
しおりを挟む「有難う薫風。ん~なんか薫風からも甘い匂いがするね。」
「俺のも作ってきてくれたのか。ん?ああ、焼きチョコか。まぁ夏だからな。また器用な事するな。」
「ん?焼きチョコ?・・・あぁ、なんか表面がプツプツになってパリパリになってるね。」
「はい。表面を焼いてるので溶けにくくしてます。だから急いで食べなくても大丈夫ですので手の空いた時にでも食べてください。甘いものって疲れた体に良いですよね~」
「ああ、薫風が作った物だからな。有難く頂くよ。・・・それより、なんでそんなお前自身が甘い匂いがするのは何故だ?」
「あー・・・朝早く起きて作ったから。お風呂入ってから来れば良かったよ。お陰でクラスの皆に睨まれちゃった。」
「ま~クラスの奴らの気持ちがわかるな。飯テロじゃねーか。」
「・・・めしてろ?」
「あー・・・無差別に空腹感を誘発する行為、かな。例えばお昼前に授業中に弁当の蓋を開けご飯の匂いを巻き散らかされたら・・・どうなりますか?」
「・・・お腹空くね。そんな匂いを嗅いだら誘発されるね。うん。わかった。飯テロね。・・・ふふ、本当に面白いね2人の話す言葉は。」
「たまに言葉が通じなくて説明しなきゃならないので、こっちとしては不便ですね。」
まぁ親しい人にしか話さないから特に今のところは不便はないけどね。うぅ・・・クラスの皆には悪いことしたなぁ~またお菓子でもお裾分けするか。
「あ~頭だけでも洗おうかな。和彦さん、あの仮眠室に水道ありましたよね?借りてもいい?」
「いいよ。ついでタオルも貸してあげるよ。」
「有難うございます。」
ふぅ~制服には匂いは写ってないはずだから髪を洗えばなんとかなるよね。
「あ~・・・気持ちいい。」
「・・・薫風。」
「ん?え、あ、なに?」
「薫風が髪を濡らしてる姿・・・やばい、襲っていい?」
「は?マジで?」
「ふっ・・・え~マジで?」
「まだ午後あるんですが・・・」
「・・・駄目だぞ風間。まだまだ書類は山のようにある。」
「はぁ~・・・もう邪魔するなよ五十嵐。」
「銀徹さん・・・助かります。和彦さんのストッパー。」
「ほら、早く髪を拭け。授業始まるぞ。」
「あい。」
わしゃわしゃーっと雑に髪をタオルで拭く。あーサッパリ。まだまだ暑いかは仕方がない。
とりあえずタオルを肩にかけ空の弁当の持ち理事長室を出ていく。
ざわざわざわ・・・
な、なんか視線が・・・
「あ、薫風くん帰って・・・って、何で髪濡れてるんだい?」
「ん?だってこうでもしないと匂いがとれないからね。そのうち乾くよ。」
「いや、その格好、マズイと思うよ。」
「ん?」
何が?ある程度乾いてきたから廊下を濡らしたり周りに迷惑かけてないと思うんだけど?
「と、とりあえずその肩に乗ってるタオルを頭にかけようか。・・・うん、目の毒だよ。」
「あ?ずぶ濡れでみっともないって事?」
「いや違う。・・・色っぽいって事。ほら、周りを見てみなよ。」
はぁ?色っぽい?なんの冗談・・・え?マジで?・・・うん、令嬢さん達が顔を真っ赤にして目を反らされたよ。男の方はガン見されて、むしろ危ない視線を感じるよ?
「・・・本当に?」
「うん。だからとりあえずタオルを頭に被せなよ。」
「わかった・・・」
「はぁ・・・薫風くん、いい加減、自分が魅力的なんだと自覚してほしいものだね。」
「ん?何か言った?」
「なんでもないよ・・・ほら、授業始まるよ。」
「あ、ああ・・・」
なんだろう?最近万純くんが僕に対する態度が厳しいような・・・?まぁ始めの気取った態度に比べたら親しみやすくて良いけどね~。
それから滞りなく授業が終わり、放課後少し次イベの対策の話をする。
「来週は2年生ですわ。2年生はあまり有名な人はいないので結構スルーしがちですが、ここでもイベントは発生しますわ。」
「天野先輩はどうだろう?確か王でも姫でもなかった気がするんだけど。」
「宰相あたりではないでしょうか。・・・どうなるのでしょうか。・・・でも3年の先輩方と一緒に2年生を攻略するから・・・あぁ、楽しみですわぁ~」
「・・・」
はぁ・・・そうなんだよね。2年生は特に天野くん以外あまり目立った人がいないんだよね。あ、猫屋敷先輩はどうなんだろう?あと一條先輩?あの人はあまり情報ないからわからないけど、何となく気になる人なんだよね。
「2年対象の時はいかに攻略者と親密に助け合ってハチマキを取るかによるのよねぇ~。・・・はぁ、二階堂ルートは特にキュンキュンするのよねぇ~」
「・・・ちょっと、素がでてるよ素が。」
「まぁいいじゃない。今は誰もいないんだから~。」
・・・そう、今は陽南さんと2人きりなのだ。前に蛭間さんに教えてもらった薔薇園以外の隠れ場を教えてもらい、ここでは誰にもバレず聞かれる心配がないから自然にいられるのだ。
「ところで~風間和彦とはどうなのよぉ~?どこまで親密になったの?」
「は?い、今はイベントの話だよね?何で僕と和彦さんの話をしなきゃならないんだよ!」
「へぇ~・・・名前呼び。いいわねぇ~」
「陽南さん!」
「はいはい。・・・さて、明日は3年生の各クラスの代表と1年の各クラスの代表が集まって話し合いをするみたいですわよ。もちろんA組からは薫風くんと万純くんが出るんですわよね?」
「え、何故僕?・・・でも、もし行くなら僕と陽南さんでしょ。内容わかってるんだから。」
「・・・あ、そうですわね。万純くん、最近なんだか薫風くんに対して過保護になってる気がするんですが、何かありましたか?」
「ん~そうだね・・・よく相談にのってもらってるかな。男同士だから話しやすいし。」
「そうなんですね。友人から親友に昇格しましたのね。」
「親友?・・・うん。確かにそうかも。でも万純くんが過保護?なんか違う気がする。でもまぁ悪くはないかな。親しみやすくなったという意味で。」
「そうですの。・・・まぁでもアレはありませんわ。親しい人にとってハラハラしましたわ。」
「ん?」
「髪を濡らし色気撒き散らしながら廊下を歩く姿・・・いつもは前髪垂らして目元が見えないのに濡れた髪によって露になって顔立ちハッキリ見えるんですもの。・・・そりゃ過保護になりますわ。」
「・・・は?それ大袈裟じゃない?色気撒き散らしてないし。」
「うん、無自覚たらしね。あの色香にあてられた生徒たち・・・可哀想に。」
「・・・マジ?」
無自覚って・・・え、そうなの?自分が気付いてないだけ?・・・そうなの?でもそれ、どーしようもなくね?
「おーい薫風?おるか?」
「あ、蛭間さん!こっちです。」
「おーいたいた。なんや、子鷹狩っちゅー生徒が薫風を探しとったよ?」
「・・・あ!」
やばい、今日会う約束してたんだった・・・急がないと。
「じゃあ陽南さん、また明日ね。一緒に攻略会議でよう。」
「わかりましたわ!ではまた明日。」
「話は終わたか~?案内したるわ。」
そう言われ蛭間さんに着いていった。そして陽南さんと別れ子鷹狩くんの元へと行った。
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