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高年期[二学期・前編]
さあさあイベント頑張ろうかー!
しおりを挟むワアアアァァァァァァ・・・
ガンッ!ドガッ!ガシャーン!・・・ドンドン!・・・ガシャーン!・・・
「・・・」
「・・・薫風ー・・・暇。俺も行っていー?」
「あんた王様。ここにいて。」
「えー・・・なんか外は面白そうなんだけどーなー・・・」
「克典!薫風センセーの言うこと聞いて!俺だって行きたいのにー!」
「そーだそーだ!俺たちは克典のゴエーって奴でここにいるんだぞー!・・・あー俺だって行きたいよー!」
「なんだお前ら。別に行っても構わないぞ?薫風と二人っきりになれるしー。」
「「駄目ー!薫風センセーと約束しちゃったから!」」
「そーゆう事だ。僕は克典と二人っきりは御免だよ?」
「・・・・・・・・・ッチ。」
おいおい舌打ちしないでくれる?
今いるのは1ーAのクラス。ここは最終関門として細工されている教室です。
そして王様のお守りを任されたのは僕と蔵本兄弟の3人。・・・まぁその他はこの不機嫌な王様のお守りが出来ないから廊下で戦っております。
王妃の陽南さんは1ーBにいて、お守りは万純くん含めA組の皆。人数多いのは訳あり。
でも、そのまえに近くの階段あたりが騒がしい。階段のバリケードを崩そうと頑張ってるらしいがなかな突破できないらしい。・・・そりゃそーだろ。頑丈に作ったので。
開始時、視察が何人か屋上へ行き紐を垂らし外から中を覗いてきたのだ。・・・まぁ窓ガラスは防弾ガラスの如く岩を投げられてもビクとも致しません。そこん所は貴族学校らしく丈夫に建物を作られてますよ、はい。
だから視察、ほんと見るだけに止め引き上げていきました。・・・まぁ各クラスの扉は閉めて中が見えないよう黒のカーテン閉めてますから廊下の状態や階段のバリケードあたりを見ることしかできないんだけどねー。
そして1ーCと1ーDの間の階段のみバリケードがなく、そこからドドドドドドっと大量の走る足音が聞こえてくる。
制限時間は4時間。12時~16時。あの逃走中イベントより長い・・・
まぁいろいろと仕掛けてるのでそう易々とここへ辿り着かないだろうが・・・なんせ暇すぎる。
かといって克典と2人っきりになったら襲われそうだから絶対2人きりになりたくない。・・・当初は2人きりだったんだけどね。蔵本兄弟が近くにいたのでお守りに参加させたのだ。
「イベント終わったらー・・・僕が中間テストまで責任もって勉強教えてあげるよー」
「「マジっすか!?宜しくお願いしますセンセー!」」
「・・・普通に名前でーーー」
「「薫風センセーで!」」
「・・・」
なぜか先生呼びがこの二人に定着してしまった。・・・ま、いーけど。他の人が先生呼びしてきたら辞めさせるけど。
・・・開始30分経って、未だ近くの階段のバリケードは破れないらしい。あー監視カメラとかほしい。今どーなってるんだろうねー。
いわゆる今は軟禁状態だから音しか聞こえません。だってー・・・ここの教室出ちゃったら・・・罠が発動しちゃうからでーす。扉の前に仕掛けしてますので外に出れません。
「薫風ぅーキスしたいぃー。気持ちいい事したいー。」
「・・・下品。」
「「・・・」」
さっきから克典がうるさい。文句タラタラ言い出してウンザリ。・・・そして真に受けてる蔵本兄弟、モジモジしないで。ヤンキーがモジモジするなんてシュールすぎる。
「じゃーさー・・・イベント勝ったら褒美くれる?」
「・・・聞くだけ聞いて上げるよ。」
「勝ったらー・・・薫風を褒美として頂戴ー?」
「無理。・・・克典、知ってるだろ?僕、風間さんと付き合ってるって。」
「「えーーーーー!!!!」」
「ん?蔵本兄弟は知らなかったんだ。」
「一部の奴しか知らないだろ。・・・薫風が誰と付き合おーが構わないよ。だって一妻多夫なんだから気にすることないだろー?」
「僕、男なんだけど。・・・はぁ~、恋人には心配かけたくないし、浮気はしたくないの。勘弁して諦めて?」
「純情だなー。でもお試し、なんだろー?そんなの気にしなくてもいーだろー?」
「・・・」
あー蔵本兄弟、放心状態になっちゃったよ。・・・てか克典、やはり情報通だな。生徒の殆ど、てか知ってる人いないんじゃないかなって位いないのに・・・どこで情報拾ってくるんだよ。
「真面目にやって。まぁこの教室に辿り着く奴がいるかわからないがね。・・・暇ならカードゲームでもする?」
「賭けるならやるよー」
「「暇だからやるー!」」
「じゃ、克典はパスね。」
「えー・・・しょうがないなーやるよ。」
まったく素直じゃないってゆーか・・・いやある意味素直だが片寄ってるよね。
開始から2時間経過・・・
外は未だに騒がしいがまだ誰もこの教室に辿り着いた生徒はいない。
近くの階段のバリケードは突破を諦めて静かになった。うん、賢明な判断。だってあれ・・・瞬間接着剤でガッツリ固められてますから。あ、ちゃんとイベント後は片付けますよー。
そして僕たちは・・・未だにカードゲームを楽しんでいた。あれー?ゲーム的にはそろそろ王様の所にモブキャラが突撃してきても良い時間なんだけどなー?・・・やりすぎたか?
「はい上がりー。」
「はぁ・・・また薫風の勝ちかー。」
「「薫風センセー凄い。」」
「ほらほらー次は誰が勝つのかなー?」
一週回ってババ抜きをやっている。
始めババ抜きやって、神経衰弱やって、大富豪やって、ダウトやって・・・あ、ダウトは知らなかったらしく僕がやり方を教えて遊びました。・・・それか7並べやって、何故かトランプタワーを作り、飽きたのでまたババ抜きを始めたのだ。
うん、流石に暇だな。こんな楽なイベントじゃなかったんだけどなぁ~・・・ほんと、罠張り過ぎたか?・・・陽南さんの所はどうなってるかねぇ?
「薫風ーなんか歌って?」
「・・・は?アカペラで歌えって?」
「?あかぺらってのは何を指すのかわからないけど、薫風の歌が聞きたいなー。」
「うーん・・・」
アカペラの意味が通じなかったか。まぁ歌手が浸透してないこの世界は通じないか。・・・まぁピアノも何もない中、歌うのは気が引けるが・・・まぁ暇だから良いか。
トン、トン、トン、トン・・・
「誰かーにー嘘をー、つくよーな人にー、なってくれるなー、・・・父の願いとぉ・・・
傷つーいーたって、笑い飛ばしてー、傷つけるよりー、全然いいねー・・・母の愛」
今思い付く歌、アカペラでも、まぁ足踏みしてリズム取れるし歌いやすいからいっかー。
懐かしい青春ソング。僕くらいの高校生に人気の歌手の歌なんだよねー。人気の発端となったあの歌も好きだけど今歌う曲ではないね。ラブソングだし。「ねぇ大好きな君へ~」が冒頭だし。なんか克典に火を付けそうで怖いわー。
・・・バァーン!・・・ガラガラ、ガシャーン!コン、コン、コン、コロロロ~・・・ガシャン。カランカラン・・・バサッ。
おっ、やっと第一突入者?がやってきた。・・・うん、派手にやってくれたねー。死んでないかな?
10
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