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高年期[二学期・前編]
作戦は迅速に正確に、尚且手抜かり無し!
しおりを挟む3人を1泊泊めた次の日、午前中また作戦会議をして別れていった。後に僕は会議内容をまとめて明日へと備えた・・・
イベント開催日。
暑い夏が終わり徐々に日の出が遅くなるこの頃。午前中を使い3階の階全てにトラップをしかけていく。
朝6時というかなり早い時間に1年の生徒たちは登校してくる。・・・一応、強制はしていない。早く来れる人は朝早く登校してもらう事を伝えただけだ。・・・だが誰1人遅刻せずみんな集まった。みなさん、真面目だねぇ。
「・・・なに、これ?」
「あら薫風くん、お似合いですわよ?」
「陽南さんもその格好・・・」
「うわぁ見てくれよー!すっごい派手!金だよ金!・・・え、本物なんて使ってないよね!?軽いもんね?」
「ははっ!執事殿、よくお似合いですよ~。」
「薫風ー俺は~?」
「・・・うん、一目みて『王様!』ってわかる衣装だね。似合ってるよ克典。」
「薫風がそーゆーならいっかー。」
・・・イベント毎に衣装を作る令嬢4人。あー目に令嬢らしからぬ隈がくっきり。・・・そんなに衣装に力入れなくてもいいのに・・・
王様、王妃様は名前の通り冠とティアラを頭に乗せキラキラな衣装を来てますよー。なんというか、簡潔にいえばイギリス風?の王子や王様が着ているような感じ。髪に合わせてか黒の衣装に外側は金、内側は赤の重たそうなマント、ローブガウン?っていうのかな。・・・マント、いらなくね?なんか似合わない。
陽南さんは・・・まぁわかるよね。ヨーロッパ風のドレスがふんわり膨らんでて胸元は少し露出があるが控え目であった。ティアラを付け軽く髪をウェーブかけ整えられている。うん、お人形さんみたいだよ。あ、陽南さんの髪色に合わせて白に近いクリーム色のドレスですよー。
僕と万純くんはイギリスの貴族が着ているような、執事服?軍服・・・とは少し形か違う感じの衣装。肩元にパットが入ってて飾りが付けられており、ボタンが特徴的な飾りが胸元に付けられ、やはりこれもイギリスの貴族が着ているような衣装だな。
文化祭といい・・・衣装係していた令嬢4人は一体何者だよ。
「万純くんは金髪に金の衣装か。全身金色だね。」
「僕は結構気に入ってるよ!薫風くんの衣装は藍色だね。うん、似合ってるよ。お揃いだしね!」
「ああ、そうだね。・・・まぁ、目立つけどね。」
「他の人達にも衣装用意するとか凝ってるよねぇ。先生からイベントがあるって言われてから準備するまで数日しかなかったはずなんだけどねー・・・イベントより衣装に力入れすぎじゃないかなぁ?」
「・・・いえてる。フラフラしてるし。・・・ああ、じゃあ休ませてあげようか。なんか事故りそうだし。危なっかしいし。教室の端にいれば問題ないだろう。」
「薫風くんが言えば言うこと聞いてくれるかもねー。」
「・・・どーゆうこと?」
「ほかの生徒が休めって促してるんだけど頑なに休もうとしないんだよ。僕も言ったんだよ?」
「・・・わかった。どうしても無理だったら、ちょっと冷たい言い方してしまうかもしれないけど。」
まったく・・・なにやってるんだか。とりあえず話しかけなきゃ進まないな。
「ちょっと良いかい?」
「・・・っ!あ、八乙女さん。」
「みんな休めと言ってるのに何故休まないんだい?」
「あ・・・衣装は自己満の為に作っただけですので、イベントの作業を手伝わないのは申し訳なくて・・・」
「はぁ~・・・その気持ちだけで十分だよ。だから、ね。休憩をとりなよ。克典と陽南さんの衣装はもう終わるし、僕と万純くんの衣装はまだだから、今休憩とって後で衣装着替えるの手伝ってくれると助かるんだけど。」
「!・・・あ、でも・・・」
「髪のセットとか得意でしょ?文化祭の時もしてくれたよね。・・・衣装着替える時に呼ぶから今は休憩してもらえる?」
「・・・はい。」
説得成功。・・・うん、みんな、そんな尊敬してます的なキラキラした眼で見つめないで。照れちゃうよー(笑)
とりあえず4人に椅子を用意し、座らせた。テーブルも用意し常備されている冷たい紅茶を差し出した。・・・そのうち机に突っ伏して寝そうだな。まぁ衣装着替える場所と使ってる教室だからそっとしておけるだろう。・・・うん。おつかれ。
「さっすが薫風くん!説得は御手の物だね!あんな素直に従ってくれるとはねー。」
「・・・みんな休めとしか言わないからじゃないの?休憩として休ませ、責務を任せれば罪悪感なく休む事ができるのに。疲れてると自覚してる人にはちゃんと役割を任せなきゃ言うこと聞かないよ。」
「・・・凡人の僕には思い付きません。」
「そ、そう・・・まぁ、僕も凡じ・・・」
「なわけないでしょ!薫風くんが凡人なら皆は凡人以外だよ!」
え、僕は単なる前世持ちの凡人さんだよ?・・・前世の知識があるチート付きの、ね。
それから着々と準備が整っていく。陽南さんは先に衣装に着替えてしまったため指揮してるだけ。
克典は・・・言わずもがな。ただ椅子に座り眺めてるだけー。そこに蔵本兄弟が騎士の衣装を着て佇んでる。うん、騎士の服、いや鎧かな?を来てるのにナイトっぽく見えず完璧、舎弟っぽく見える(笑)なんでだろー?衣装が似合ってないからかなぁ?
「八乙女さん、テープがたりないんだけど。」
「八乙女さん、ここはどうすればいい?」
「越名くんコレはどこに置くの?」
なんかイベント実行委員会みたいになってるんですが・・・一応全クラスに説明をしたんだけどねぇ~・・・まぁ考えたのは4人だからね。あ、克典は論外か。多分、質問がいってもスルーしてそう。
作業して4時間。1年担任の先生方と協力してなんとか罠を設置できた。・・・これでなんとかなるだろう。
「あー・・・騎士の格好、動きやすそうで羨ましい。なんか冒険者って感じ。・・・それに比べて僕は・・・」
「八乙女さん!ちょっと動かないでください。」
「はぁ~八乙女さん、お似合いですわ~!」
「・・・どうも。」
はい、只今着せ替え人形と化してます。何故かカツラを用意されており、というかエクステ?を付けられております。何故か瞳と同じ色のネイビーブルーのエクステ。それを後頭部に編み込まれ緩く縛られ、まさしくコスプレイヤーになった感じです。うん、こーゆーキャラいそう。もちろん前髪は整えられましたよ。
「八乙女さんは青がとてもお似合いですわぁ~。」
「まぁ・・・青は嫌いじゃないよ?」
「では靴を履いてくださいませ。ちょっと特注で作らせましたので履きずらいかもしれませんが。」
「あ、これは克典たちと同じなんだね。」
うん、ロングブーツですよ。少しヒールが高めで紐で締める感じのやつです。あ、デザインは好みです。・・・でも衣装が動きずらいです。
「これ、ベルト絞めすぎじゃない?キツイんだけど。」
「あら?ちゃんと締めてないと・・・服がはだけてしまいますよ。」
「は?・・・なんでそんな作りにしちゃったわけ?」
「・・・ふふ。」
「っ!?」
ちょっと!なにその含み笑い!・・・なに、誰かの指示?・・・そんな事ないよね?僕、宰相。無敵だけど王と姫守らなきゃだし。めちゃ動くよ?もし戦闘中にベルトが緩んだらどうするのさ?・・・まぁ中にYシャツ着てるけど・・・でも服がはだけたまま戦えないよ?
いったい何考えてるの?
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