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高年期[夏休み編]
結局はこうなる。
しおりを挟む陽南さんを背中に隠しながら様子を伺う。・・・流れ的に仲間割れが起こりそう。
「なぁータケ・・・どうして2人がボコられたんだぁ?ちゃんと説明しろや。」
「あ、えっと・・・」
「その僕がボコッた2人は、僕の親友を襲ったからですよ乾さん?」
「あ、バカっ!・・・ひぃ!」
「あ"?・・・そりゃ本当かい兄ちゃん?」
「事実です。彼女を見てください。目が赤いでしょ?髪も軽く手櫛で整えただけでボサボサでしょ?・・・僕が助けなきゃ彼女に深い傷を作るところだったんですよ。」
ギロッと乾がタケと呼ばれてる男を睨み付けた。・・・うーん、リーダーだけあって少し肌がピリピリするよ?圧力怖い。
「タケ・・・あとで詳しく聞くかんな。タケと伸びてる2人を捕獲しとけ。」
「「はい。」」
「よ~し・・・じゃあ兄ちゃん、始めようか!」
「・・・は?何をです?」
「何って・・・勝負?」
「なんの?」
「力の?」
「何のために?」
「・・・」
「・・・」
話が進まない。とりあえず、そちらに非があるんだから見逃してほしい。ってか絡まないでほしい。
「俺は兄ちゃんが気に入った!だから勝負しろ!」
「えっ嫌。とりあえず、そちらに非があるのは理解してますか?」
「うっ、そ、そうだが・・・」
「あなた個人の勝負のために僕たち2人を包囲して無理矢理やらせようというのはおかしくありませんか?彼女は被害者なんです。早く休ませたいので仲間の所に早く連れていきたいのですが。そして海に遊びに来たのに時間を無駄にしたくないんですが。時間は無限でなく有限です。・・・あなたの遊びに付き合う気はありません。」
「・・・」
ん?乾が呆気にとられてる。マシンガートークに着いていけなかったかな?・・・あ、プルプルし出した。このパターン・・・嫌な予感がする・・・
「・・・いい。」
「・・・は?何か言っーーー」
「兄ちゃん最高!お前俺によく怯えもせず反論するのな!俺の周りにいないタイプだ。」
「・・・はぁ」
「なぁ、その姉ちゃん休ませたら俺と一騎討ちしてくれよ。」
「僕がその勝負受ける意味がないです。」
「それなら今つくれや。今俺の誘いに乗らなかったら付きまとうぞ?」
「・・・」
やっぱりそうきたか。いやぁ・・・付きまとわれるのは避けたい。でも陽南さん辛そうだから早く休ませたい。・・・はぁ、折れるしかないのか。
「はぁ~・・・わかりました。乾さん、とりあえず僕は仲間と合流して彼女を預けたいので、とにかく待ってもらえませんか。」
「おっ勝負してくれるんだな。よし、ならあの海の家の前で待ってる。こちらも少ぉ~し話し合いがあるから兄ちゃんが来るまで始末しとくわ。」
おい始末って・・・ま、まぁ制裁してくれるなら任せるか。
それから僕らを取り囲んでたヤンキーたちは一部を除き一斉に解散していった。一部は陽南さんを襲った奴と、そいつらを逃がさないよう捕獲してるやつらだ。
とにかく陽南さんの手を、いや横抱きして皆の所へと走って行く。
________
「きゃっ!?花塚さん大丈夫ですの?」
「顔が真っ青だね・・・別荘に連れてった方が良いんじゃないかい?」
紫音さんと万純くんが僕に気付き駆け寄ってきて陽南さんを気遣う。・・・僕も始めはそうしようとしたんだが本人が「休めば大丈夫」との事で連れてきたのだ。
パラソルの下にあるゆったり横になれるビーチチェアに腰掛けさせ万純くんに団扇を渡し扇いでもらう。
・・・ふと気付いたら真菜たちがいないと思ったら意外な事に克典が真菜たちが海ではしゃいでるのを見守ってた。そして流依兄さんもいた。あ、すげぇ安心した。あれなら真菜たちに悪い虫がつかなそうだ。克典、何気に周りの厚をかけてるし・・・「俺達に近付いたら只じゃおかねぇよ?」的な(笑)あれは近寄りたくない。
「ちょっと用があるから席を外すね。万純くん、陽南さんをよろしくね?」
「え、あ、うん・・・大丈夫かい?」
「うん。ただのじゃれ合いだから。」
「ただの、ね。うん、花塚さんの事は任せて!」
うん、万純くんは本当頼りになる。
さて、指定された海の家へ・・・あら?
た、タケくんの顔が蜂に刺されたように膨れてるわ。・・・うん痛そう。ま、ちょっと緩いかもしれないが乾くんの群れのルールもあるだろうし仕方ないか。
「おっ逃げずに来たな!いい子だな~。」
「単に付きまとわれるのが嫌なだけです。・・・さぁ、早く決めちゃいましょう。」
「ヤル気満々で結構!あ、そういえば名前は?」
「・・・勝負に負けたら教えます。」
「そか!まぁ俺のものになればゆっくり話せるしな。まぁいいか。」
名前なんか教えないよ!「八乙女」って結構珍しい苗字なんだぞ。ほんとまとわりつかれたらマジ迷惑だから!
って事で一気に終わらせたいと思います。
ヒュン・・・パシッ!・・・ドスッ!・・・ドサッ。
「ぐっ、・・・兄ちゃん何者?」
「もういい?じゃあ僕の勝ちって事で、もう僕たちに構わないでね。・・・まったく、腰が怠いってのに何故こうも遊び以外に体力使わせられなきゃならないんだよ・・・」
腰に手を起き左右に体を捻らせストレッチをしながら乾に声をかける。
勝負は一瞬。乾が顔面に殴り込んできたのでサッと避け、その腕をパシッと掴み鳩尾に一発お見舞いし一本背負いで、砂場に倒してやった。
鳩尾の一発が効いたみたいで噎せて起き上がれない様子。うん、見事に綺麗に鳩尾に入ったから効き目抜群だと思う。中途半端に攻撃したら長引きそうだから動けないように思いっきり打ちのめした。
「は、はは・・・やべぇ、初めて負けた。お前マジ最高・・・なぁ、名前だけでも教えて。頼むよ。」
「・・・薫風。苗字は珍しいから教えない。」
「かおる、かぁ・・・はは、今度会ったらお前を負かせてやるからな・・・」
「もう会う事はないと思うよ。僕たちはもう明日にはいなくなるから。明日はもう海来ないだろうし。・・・じゃあね。」
「え、マジかっ!・・・ちょ待っ・・・ぐっ。」
「まぁまた今度、偶然に会えたら・・・まぁ知り合い程度にはなってあげるよ。」
そう言って乾に背を向けて皆の所へ帰っていく。後ろで何か叫ばれたけどもう聞こえません。乾の近くで見守ってた男がいるから奴が介抱してくれるだろう。
いやぁ~無駄な時間を使った・・・もう夕方になりそうだし・・・最悪。
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