124 / 271
第二章 マレビト
031-1
しおりを挟む
蜂ヤニを朝・昼・晩と第一王子に出す食事に混ぜていく。少し濃い味の料理に、ちょっとずつ。
一度に食べれば良いと言うものではないから、ちょっとずつちょっとずつ。今まではそれが毒で、今はそれが薬になった。
味の変わらない毒を入れられていたって言うけど、第一王子は何処でそれが毒だって気付いたんだろう?
「王子はどうして毒を料理に入れられてるって分かったんだろう? 味もにおいもなかったんでしょう?」
ネロとエノコログサで遊びながら、ベッドで横になってるパフィに質問する。
『気付く要素など色々あるだろう。それまで料理を運んでいた者が変わったとか、変わらずとも食べている自分をじっと見ていたり、少しずつ体力が削がれていったりすればな』
そうか……もし、持って来る人が変わらないのに、ちゃんと毒の入った食べ物を口にしたかを確認する為にじっと見つめられたりしたら、凄いショックだよね。
全部信じられなくなりそう。
「そこまで分かっている王子が、僕の作った料理をよく食べる気になってくれたね」
『王弟や魔法師長が言ったんだろうよ』
あ、そっか。
とは言え、食べるのに戸惑ったりしたよね、きっと。
『おまえの作った料理は残さず食べている。蜂ヤニは元々効果の高いものだが、ダンジョン蜂の作る蜂ヤニはそもそも数年に一度手に入るかどうかの稀少なものだ。
だが、おまえのスキルがそれを可能にした。解毒剤にもなり得る貴重な蜂ヤニを毎食口にする。
あの王子なら自分が口にしているものが何なのかぐらいは確認しているだろうよ』
毎日、ちょっとずつ蜂ヤニをジャッロの子たちが分けてくれる。
『ベッドから出られるぐらいまで回復するのもそう遠くないぞ。奴らが動き出すのはそのあたりだろうな』
にやり、とマグロが笑うものだから、少しだけ、あっちの人たちに同情する。でも、やってはいけないことをやり始めてしまったのは第二王子たちの方だから……まあ、仕方がない。
マグロを見て呆れていたら、エノコログサをネロに取られてしまった。
取り返そうと手を伸ばす。ネロはエノコログサを口に咥えたまま、僕の手の届く範囲からわずかにそれる。
マグロの二又のしっぽがぐるぐると回転して、ネロの持つエノコログサがふわりと光った。
「何をかけたの?」
『ん? 悪い事から守ってくれるただのまじないだ』
そう言ってマグロは目を閉じて眠ってしまった。
ネロがエノコログサを咥えたまま部屋を飛び出してしまった。
うーん……魔女のまじないがかかったエノコログサって、大丈夫なのかな……。
『安心しろ。悪い事にはならん』
翌日、第一王子の侍従をしている人が一人、暇を出されたとラズロさんから教えてもらった。
マグロのしっぽがゆらゆら揺れていて、多分、あの時のまじないの結果だろうなと思った。
一度に食べれば良いと言うものではないから、ちょっとずつちょっとずつ。今まではそれが毒で、今はそれが薬になった。
味の変わらない毒を入れられていたって言うけど、第一王子は何処でそれが毒だって気付いたんだろう?
「王子はどうして毒を料理に入れられてるって分かったんだろう? 味もにおいもなかったんでしょう?」
ネロとエノコログサで遊びながら、ベッドで横になってるパフィに質問する。
『気付く要素など色々あるだろう。それまで料理を運んでいた者が変わったとか、変わらずとも食べている自分をじっと見ていたり、少しずつ体力が削がれていったりすればな』
そうか……もし、持って来る人が変わらないのに、ちゃんと毒の入った食べ物を口にしたかを確認する為にじっと見つめられたりしたら、凄いショックだよね。
全部信じられなくなりそう。
「そこまで分かっている王子が、僕の作った料理をよく食べる気になってくれたね」
『王弟や魔法師長が言ったんだろうよ』
あ、そっか。
とは言え、食べるのに戸惑ったりしたよね、きっと。
『おまえの作った料理は残さず食べている。蜂ヤニは元々効果の高いものだが、ダンジョン蜂の作る蜂ヤニはそもそも数年に一度手に入るかどうかの稀少なものだ。
だが、おまえのスキルがそれを可能にした。解毒剤にもなり得る貴重な蜂ヤニを毎食口にする。
あの王子なら自分が口にしているものが何なのかぐらいは確認しているだろうよ』
毎日、ちょっとずつ蜂ヤニをジャッロの子たちが分けてくれる。
『ベッドから出られるぐらいまで回復するのもそう遠くないぞ。奴らが動き出すのはそのあたりだろうな』
にやり、とマグロが笑うものだから、少しだけ、あっちの人たちに同情する。でも、やってはいけないことをやり始めてしまったのは第二王子たちの方だから……まあ、仕方がない。
マグロを見て呆れていたら、エノコログサをネロに取られてしまった。
取り返そうと手を伸ばす。ネロはエノコログサを口に咥えたまま、僕の手の届く範囲からわずかにそれる。
マグロの二又のしっぽがぐるぐると回転して、ネロの持つエノコログサがふわりと光った。
「何をかけたの?」
『ん? 悪い事から守ってくれるただのまじないだ』
そう言ってマグロは目を閉じて眠ってしまった。
ネロがエノコログサを咥えたまま部屋を飛び出してしまった。
うーん……魔女のまじないがかかったエノコログサって、大丈夫なのかな……。
『安心しろ。悪い事にはならん』
翌日、第一王子の侍従をしている人が一人、暇を出されたとラズロさんから教えてもらった。
マグロのしっぽがゆらゆら揺れていて、多分、あの時のまじないの結果だろうなと思った。
18
あなたにおすすめの小説
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる