僕の幸せ

朝比奈和花

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彼は西園寺家の人間で同時にルグゼンブルク家の人間なのだ。

恐らく、緻密に練られた分刻み……もしかたら秒刻みといってもいいほどの過密なスケジュールの中、僕とお昼をともにしてくれていたのだろう。

ここで僕がお昼を食べようと誘ったことはないとひねくれて言うこともできたけれど、確実に僕はお昼を一緒に食べることを楽しみにしていた。

そもそも保留にさせた身で当たり前に気まずいなんて思ってた自分がとても愚かで、恥ずかしい。

こんな失敗してばかりだな……と自分に呆れてしまう。



「体調にはくれぐれも気をつけてくださいね。」

『ふふ、ええ。
今ので元気をもらえました。

あ、そうだ陽さん、最近は物騒ですから、戸締りなどきちんとしてくださいね。』

「……?はい……。」

何を当たり前のことを。

このとき僕はそんなことを思って軽く聞き流した。






お昼は、近くのコンビニでおにぎりでも買おうと-shiki-の裏口の扉を開けるとぬん、と目の前に壁があった。

……あれ?扉を開けたよね?

「よぉ。少しは太ったか?」

「も、木蓮さん!?」

壁の正体は琥太郎さん第2号の息子、木蓮さんだった。

「あれ?木蓮さんは今はイギリスの大学院に通っていたんじゃ……。」

「あぁ「木蓮、おまえどうしてここにいる。」」

お店の裏口で話していたからか、スタッフルームから出てきた琥太郎さんもこちらに来た。
どうやら琥太郎さんも木蓮さんが日本にいることを知らなかったようだ。

「え、サマーホリデーの残り1ヶ月くらいは日本で過ごすからって母さんにメール送ったんだけれど。」

ちょうどお店を閉めた柚さんも合流してそれを聞いていたらしい。

「……え!うそ!って届いたの今日の朝じゃん!」

メールを確認した柚さんからもっと早く言え!と拳が飛ぶ。
うわぁ、鳩尾……。

これ以上怒られたくないのか、木蓮さんは僕を巻き込んで自分の家に向かった。
忘れないうちに明日のお昼に病院に行くことも話しておいた。

「僕もついて行こうか?
木蓮に送らせてもいいし。」

「大丈夫ですよ、伊南さん……あ、リュカさんの弟さんなんですけど……。
彼が病院から迎えをくれるって言ってくれて。

断ったんですけど押し切られちゃって……。

それにいつまでも柚さんに頼りっぱなしじゃだめだと思うんです。」

「そう……?でも陽くんは僕たちのかわいい息子だからなぁ。

心配だよー!結果教えてね。
それによって陽くんが働きやすいようにシフトとかも調整するからさ。」

「ありがとうございます……。」

本当に本当に僕は周りに恵まれている。



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