僕の幸せ

朝比奈和花

文字の大きさ
上 下
82 / 101

81

しおりを挟む



あれから午後のハーバリウム教室を終え、りぃくんを迎えに行って、お土産を取りに家に戻って柚さんと作った晩ごはんを食べて、りぃくんが待ちに待ったお土産渡し会が開催された。

琥太郎さんの家に木蓮さんがいるのを見て、誰なんだ、と少し警戒したようだけど、本当に一瞬で、琥太郎さんそっくりな木蓮さんが昔遊んでくれたお兄ちゃんであることを思い出し、ちょろちょろと足元をうろついていた。

最初は柚さんに小間使いのように手伝いさせられていた木蓮さんだが、行く先行く先にちょろちょろとついてくるりぃくんに、危ないと思ったのか最終的に肩車しながら、手伝いをこなしていた。

相変わらずりぃくんは人懐こい。

木蓮さんにお土産を用意していないことに気づいてあわあわしていた。
ここに来る前にこっそり木蓮さんのぶんも用意しておいたんだけれどね。
なんせりぃくんとふたりで食べるには多すぎる量があったから。


「こたちゃんはこれー!」

「あぁ、ありがとう。」

「こたちゃんはまっちゃすきだからね!」

「よくわかったな、とても美味しそうだ。」

「えへへー。」

琥太郎さんの大きな手でぐりぐりと頭を撫でているりぃくんはとても嬉しそうだ。

「りぃくーん、僕にはー?」

「あっ!ごめんね柚ちゃん!

柚ちゃんにはね!これ!
水族館に行ったときあったの!

かわいいでしょ!」

「うわぁ、かわいいねぇ。
アザラシのチョコレートだ!」

りぃくんより大きいゴマフアザラシのぬいぐるみ、ゴマちゃんとおそろいのチョコレートなんだよ!となぜかドヤ顔で語っていた。

「もっくんがね、帰ってくるのしらなくて、ごめんね。

でもね!リュカとえらんだお土産だからおいしいよ!」

木蓮さんにはお酒のつまみになりそうなものを詰めた。

「おぉ、サンキューな。
ってリュカって……?」

「りぃくん、旅行楽しかった?」

「とーーーっても!楽しかった!

見たことないものがたくさんあってね。

リュカにいろんなお魚さんのしゅるいを教えてもらってそのあとあかいとりい?をたくさんくぐってなむなむしたの。」

もう、きらきらと瞳を輝かせて口が止まらないようだ。

興奮しすぎて腕の中から落ちたおーちゃんを僕が拾い上げて苦笑いしながらりぃくんを見守る。
柚さんもうんうんって聞いてくれていた。


「それでね!陽もにこにこしててね。

リュカと手繋いで歩いてぎゅうってして寝て仲良しだっ「り、りぃくん!」」


今度は僕がおーちゃんを腕の中から落としてりぃくんの口を慌てて塞いだ。


しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【完結】選ばれない僕の生きる道

谷絵 ちぐり
BL
三度、婚約解消された僕。 選ばれない僕が幸せを選ぶ話。 ※地名などは架空(と作者が思ってる)のものです ※設定は独自のものです

当たり前の幸せ

ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。 初投稿なので色々矛盾などご容赦を。 ゆっくり更新します。 すみません名前変えました。

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

白銀オメガに草原で愛を

phyr
BL
草原の国ヨラガンのユクガは、攻め落とした城の隠し部屋で美しいオメガの子どもを見つけた。 己の年も、名前も、昼と夜の区別も知らずに生きてきたらしい彼を置いていけず、連れ帰ってともに暮らすことになる。 「私は、ユクガ様のお嫁さんになりたいです」 「ヒートが来るようになったとき、まだお前にその気があったらな」 キアラと名づけた少年と暮らすうちにユクガにも情が芽生えるが、キアラには自分も知らない大きな秘密があって……。 無意識溺愛系アルファ×一途で健気なオメガ ※このお話はムーンライトノベルズ様にも掲載しています

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8) 和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。 この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか? 鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。 もうすぐ主人公が転校してくる。 僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。 これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。 片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

処理中です...