僕の幸せ

朝比奈和花

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……なんだかサンドイッチを持ってきてくれた店員さん……。
リュカさん見すぎな気が……。

少し心にもや、としたものが広がる。

「陽さん?」

「陽?」

ふたりの声にハッとする。

「陽なしたの~?」

「なんでもないよ!食べよう!」

もやもやを払拭するように元気にいただきますをしてりぃくんと分け合う。

「陽これあげる!陽のすきないちご!」

「りぃくん、すきなの食べていいんだよ?」

「僕はね~、チョコバナナ食べたいからいいの!」

僕はだいすきないちごが入ったサンドイッチをもらった。

りぃくんはチョコバナナのサンドイッチを手に取ったかと思うと


「陽ひとくちあげる!はいあ~ってして。」

「え、どうしよう悶え死にそう。」


と差し出してきた。


天使があーんをしてくれている。
人間が受け取ってもいい?大丈夫?


「……また変なこと言ってる、えい。」

受け取るべきか否か迷っていると目の前の天使は躊躇なく僕の口にサンドイッチを押しつけた。


「ぐふぅっ……ん、ぐ、ナッツが、入ってるんだね。
とても、美味しいよ、ありがとうりぃくん。

僕のもひとくちどうぞ。」



口を開けて雛鳥のように待つりぃくんにいちごのサンドイッチをあげる。

「ん!んまぁい!」

膨らんだほっぺを抱えるように手をあててふにゃりと笑うりぃくんにつられて僕も笑ってしまう。

「陽さん、ついていますよ。」

「え?」

目の前にいるリュカさんが、先ほどりぃくんが押しつけたときについてしまったんだろう生クリームをおしぼりで拭いてくれた。

「……っ、ありがとうございます。」

「いいえ。」

口を拭いてくれたときに指先が僕の唇に軽く触れた。

しかもその手でそのまま自分がオーダーしたカボチャとルッコラのタルティーヌを食べ始めてしまった。

なんだかえっちくて顔に熱が集まる。

……想いを自覚した途端こんな調子じゃ聡いリュカさんを困らせてしまう。



変に意識しているのがバレないようにほぼりぃくんと話した。

「ごちそうさまでした!」

「ごちそうさまでした!美味しかったねぇ。」

「うん!」

「それはよかったです。
じゃあ行きましょうか。」

リュカさんが伝票を持ってお会計に向かう。
払うと言ったが私が誘ったのでと財布すら出させてくれなかった。

そもそもこの旅行の間、払おうとしたら既にお会計が終わっていることばかりで僕の財布の中は全然減っていない。

いくつかのお土産とりぃくんへのプレゼント、それとリュカさんへのお礼くらいしか使える場面がなかった。



でも今払うと言ったのはそれだけが原因じゃなくて最初のもやもやが大きくなったからだった。


「カードとレシートのお返しです~。


………あのぉ…もし、よかったら……時間があるとき……連絡ください!」


料理を持ってきてくれたときからリュカさんをずっと見ていたかわいらしい女の子が顔をまっかにしてリュカさんに自分の連絡先を書いたメモを差し出していた。



…………嫌だ、触れないで。
………その人は僕の"         "なの。








……………今、何を思った?

恋人でもない僕が止める権利はない。

伸びそうになった腕を抑えて成り行きを見守った。



「お気持ちは嬉しいのですが受け取れません。」

事もなさげに言うからホッと安心した。

「で、でも!本当に暇なときでいいんです!
もらうだけもらってくれませんか?」

「すみません、私は暇なときは皆無ですし、今は大事な人と旅行している最中なんです。

それに、そういうのはすきな人だけにするべきです。
数分前に出て行った男性にも連絡先を渡していたでしょう?」

そう言われてもなお食い下がろうとする彼女に、美味しい朝食でした。とだけ残し僕らを連れてそのお店を出てしまった。




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