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しおりを挟むなんだかあったかい……。
「あ、やっと陽起きた!」
にぱ、と笑顔の天使が横にいた。
「陽さん、おはようございます。」
上からはリュカさんの声も聞こえる。
……ん?上から?
明るさに眩む目を無理やりこじ開けるとりぃくんのドアップとそのすぐ後ろにリュカさんの顔があった。
「え?」
ナゼボクハリュカサンノウデノナカ……?
「僕、一回起こしたのに陽また寝ちゃったんだもん!
それでリュカが連れて来てくれたの。」
「え!?りぃくんの天使ショットを一度見逃したの!?……じゃなくて、リュカさん……ご迷惑をおかけしました。」
そろりとリュカさんから降りて深々と頭を下げた。
「色々と、楽しませてもらいましたよ。」
色々と……あれ?
そういえば昨日の夜どうやって寝室に行ったっけ?
自分でベッドに入った記憶が無くて、思い出すのが怖くなったからそっと記憶に蓋をした。
「朝食は近くにある美味しいと評判のカフェに行きませんか?
そうしたらそのままりぃくんが行きたいと言ったところにまっすぐ行けますから。」
リュカさんの提案で早めにチェックアウトしてそこに向かうことになった。
りぃくんの寝癖直しや着替えなどはリュカさんがやってくれていたらしく、後は僕が準備するだけだったようでとにかく急いだ。
桜色のワッフルTシャツにベージュのテーパードパンツというシンプルな格好に着替える。
昨日並に動くならすぐ暑くなるだろうから。
「すみません、遅くなりまし……た?」
居間に行くと荷物は無くなっていて、大きいゴマちゃんに乗っているりぃくんとおーちゃんを持たされているリュカさんの姿しかなかった。
「あれ?荷物は……?」
「必要なもの以外は車に運びました。」
なんていうんだろう……。
先の物事をやってしまうというか、無駄のなさというか、そういうことをさらっとしてしまうのはリュカさんのすごいところで尊敬してしまう。
「とても素敵なところでした。
ありがとうございました。」
「ありがとうございました!」
「まぁ、ありがとうございます。
またのお越しをお待ちしております。
いってらっしゃいませ。」
女将さんにお礼を言ってこの想い出深い旅館を出た。
車で十分も経たないところにそのカフェはあった。
白と木材の調和がうまくとれた、ほどよく明るくぬくもりのあるところだった。
「素敵なところですね!」
「ここはフルーツサンドが美味しいらしいですよ。」
「フルーツサンド!」
リュカに教えてもらって、フルーツサンドセットを頼んだ。
「お待たせしました~。
フルーツサンドセットです。」
二段になったティースタンドに色々な種類のフルーツが挟まれたサンドイッチが乗っていた。
「すごいねぇ、りぃくん!」
「おいしそう!」
目の前のキラキラ輝くサンドイッチにりぃくんと目を奪われていたがふと気づく。
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