不良が異世界に行ったら騎士達に溺愛され波乱万丈な日々を過ごしてます

茶子ちゃ

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ここは、黒騎士団の屯所だ。
あれからラファの転移魔法でここに移動して来たのだが、夜中にも関わらず何故か黒騎士団の団員達は広い集会所に集まっていた。

周りを見渡すと、全員団員達は俺に釘付けだった。
やはり異世界人の噂が広まっているからだろうか。
嫌な視線も感じるが大体の団員は興味本位で見ていた。

まぁ…後これだよな。


「なぁ…ラファ」

「なんだ?」

「なんで俺達…手を繋いでいるんだ?」

「内緒…」


そう、俺達はここに来てからずーっと手を繋いでいる。まるで見せつけるかのように。
恥ずかしいわけじゃないが、違和感しか感じない。
男2人が手を繋いでラファの部下達であろう奴らの前に立っているのだから。



「さて、そろそろ話をしようか」


急にラファは真剣な顔になり、事あろうか俺の肩を自分の方に引き寄せた。


「皆聞け!!今日から2週間この黒騎士団の客人になる異世界人様だ!!敬意を払って接せよ!わかったな!!」


客人…あれ???なんか話が違う方向に。
確か俺を調査するとかなんかだったよな。


「シーっ事情は後話すから」


囁く声で俺の耳元でコソリとそう言った。
くっ。なんだこいつの声やたらと色気が含まれた低音ボイス。


「というわけで、ぶっちゃけ俺の客人だからな俺も丁重に饗すつもりだ!!間違っても手を出そうとするなよ?手を出したものは罰を与えるからな!心しておけ?」


「はっ!!!!」


一斉にそう返事をするのだった。
その言葉の後は熱視線を感じることはなくなったものの、まだ何者かの視線を感じた。



「……おい」



その視線に執拗にイラッとしてしまった俺はラファの肩に触れる手を払って、その視線を向ける奴の前に立ちはだかり胸倉を掴んだ。
俺より身長は少し高いくらいか。
髪型は赤と白のツートンカラーで奇抜な色だった。
一重瞼でつり目の男。やたら喧嘩売られた気分で腹が立った。


「なっ…なんだよ!!!」

「お前こそなんだ?あ?文句あるなら堂々と言ってこいやっ!!」


威嚇するように胸倉を掴んだ途端その男は一瞬1歩下がろうとした。だが俺はそれを許さないさらに自分の方に力一杯引く。


「うっ?!は、放せよ!!」


相手は焦った様子で手を引き離そうとするが、俺も結構力がある方で、なかなか離せないみたいだ。

ドカッ!!!


「い゛っ?!!」


次の瞬間目から火花が飛び散る。
頬を拳で殴られたのだ。
頭に血が上った俺は胸倉から手を離すとそいつの顔面に蹴りを食らわす。
そいつは俺の蹴りの反動でその場に倒れ込む。


「いってぇえなぁああ!!何してくれてんだてめぇ、口の中切れちまったじゃねぇか」

「お前が放さねぇからだろ……あ……」


そいつは反論したくせに俺の背後を見た途端顔が青ざめた。


「そこまでだ…アッシュ。お前さっき人の話聞いてたか?異世界人様は客だと言った、その客に対してまさかの暴行とは……」

「申し訳ございません団長…」

「まさかの副団長がこういう惨事を起こすとは…降格だな」


こいつ副団長だったのか。この喧嘩如きで降格とかどんだけ厳しいんだ。いやでも俺が最初に喧嘩ふっかけてしまったわけだし。


「ラファすまん、俺が最初に喧嘩ふっかけたからコイツは悪くない許してやってくれ」


手を合わせて怒りの矛先をアッシュに向けているラファに謝る。
アッシュに向き直ると、俺は下に座り込んでいるアッシュに手を差し出す。
一瞬面食らったかのような顔をしたもののその手を掴んだ。


「お前の拳なかなかだったぜ。また喧嘩しよーや」


ニッと笑うと、何故かアッシュは目を逸らした。
その顔は、少し照れている表情に思えた。


「今回は桃太に免じて許してやる、次はないと思え?」

「はい、肝に免じております」


一件落着という事で、この沈黙した空気どうしたものか。俺もそういえば自己紹介まだだったな。
俺は団員の前に立ち思いっきり息を吸った。


「俺は柊桃太だ!!気軽に桃太って呼んでくれて構わない、2週間お世話になります!よろしくな!!ちなみに敬語は不要!!」


一瞬シーーーンとなったものの、急に大きい拍手喝采に見舞われた。


わー!!!桃太さんかっこいい!!
異世界人万歳!!!



何故か皆に気に入られてしまった。
ふとラファを見るとクックッと笑っていた。
アッシュは頬に俺の靴あとが付いた顔で俺を呆然と見ていたのだった。




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