不良が異世界に行ったら騎士達に溺愛され波乱万丈な日々を過ごしてます

茶子ちゃ

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冷めた青い目でアルは俺を見ていた。
初めて会ったあの時と同じ白いローブを羽織って俺の前に腕組しながら現れた。


「何をしていたかと聞いてるんだが?」


ビクッとその声色に俺の背筋が凍りついた。
普段の優しいアルとは真逆だった。威嚇するような声に、本当に目の前の人物はあのアルベルトなのかという疑いをかけるくらいに。


「何を怒っているんだ?」


ラファエルはアルベルトに向かって微笑する。勝ち誇ったかのように。
赤い瞳がギラついた。


「異世界人様と呼んでいたその方を独り占めとは…何を考えているんだ?」

「それをお前が言うか?先に独り占めしたのはそちらでは?」


バチバチと二人の間に見えない火花が飛び散る。
なんかヤバい空気だった。
これは止めるべきなのだろうか?


「つかお前も気付いてるんだろう?桃太の魔力漏出…」


魔力漏出…?なんの話しなのかさっぱりわからなかった。
俺から魔力が出ているということなのだろうか。
ぽかんとした顔でアルの顔を見るとアルは悲しげに俺の顔を見た。


「…気付いていた。桃の精気から魔力を感じた。」

「なるほど、だからお前も、桃太が欲しいんだな?」

「それは違う!!私は…桃が好きなんだ、一目惚れなんだ」


その言葉に俺の心臓がドキンっと跳ねる。
ここまで好きだと今まで言われたことがあっただろうか。


「アルベルト…現に俺も桃太の事が好きだ…」


えーーーーーーー?!!えぇえええ?!ラファまで俺の事好きだって?!!!
俺男にモテモテ期到来?!
全然うれしくねーんだけどぉおお?!!


「え。ラファ?冗談だよな?」

「冗談ではない?好きだ、めちゃくちゃに犯したいくらい好きだ、しかも一目惚れだしな」


俺そんなにイケメンなのか?
いや犯したいくらい好きとか、もう鳥肌もんだわ!!!
ちょっとゾクッとしたけど期待してしまった俺は馬鹿だ。


「おかしいと思わないか?」

「……。」


ラファの言葉にアルは、黙って考え込んでしまった。
え。おかしいって俺が?もしかして俺が2人をたぶらかしてるとか思ってんのか?!
2人ともそちらが俺に手を出してるんだぞ!?
ラファは未遂だけど。
男同士のセックスにハマらせたのもアルのせいだし!俺になんの疑いをかけているというんだ!


心の中の俺が叫ぶ。だが声は届かない。


「もしかして、桃はアレって事かい?」

「まぁ、可能性はあるかもな」


アレってなんだよ、アレって?!!!
指示語で2人だけの世界で会話してんじゃねーぞっ!!!


「な、なんなんだよ、アレってなんだよ?!」


じーっと2人が俺を見つめてくる。
俺…なんかした?


「取り敢えず、桃太の事は黒騎士団が調査する2週間ほど預からせてくれ」

「ちょっちょ!!!待って待って!俺を無視して話進めるなよな!俺はアレだったらなんだってんだよ?!」

「ん?言い方悪いが桃太を利用したいって事だ」


ニヤリとラファは意地悪そうに笑う。

言い方悪すぎだろう!???


「ラファエル…勘違いさせる事を言うな。桃…利用ではなく、私達に協力してもらうという事になるって事だ」


アルは優しく俺を安心させる為か頭を撫でてくる。
いつものアルだ…良かった。


「ごめんね、桃…怯えさせたかな?」

「大丈夫…てか俺ラファのとこに行かなきゃなのか?」


その言葉にアルはコクリと静かに頷いた。

「2週間後にはまた私の所に戻させるから…」

「そっか…俺またここに戻って来てもいいのか?ごめん…俺」


1回意地張って出ていったくせに、またアルの世話になろうとしてる。
卑怯なやつだと思われてそうだ。


「大丈夫だよ。いつでも戻って来ておいで、私こそごめん」

手の甲に、チュッと優しくキスされた。



「フッ…妬けるねぇ」


そう言うとラファはグイッと俺の手を引き、自分の胸へと引き寄せる。其の男らしい胸に一瞬胸がときめいた。
そのままどこかへテレポートしたのだった。
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