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部屋に強制的に戻らされた俺は、沈黙を貫いていた。
勝手に食堂から抱えられ勝手に部屋に戻された事に全然納得がいかなかったからだ。
アルもアルで俺が落ち着くのを待っているのか、優しく俺をベッドに下ろした後は俺と同じく沈黙だった。
だが表情はなんともいえなかった、ずっと俺を見ている事は確かだが何を思っているのか感じ取ることは出来なかった。
言いたいことがあるのならはっきり言ったらどうなんだ……。
苛立ちでクッションをボスっと殴った。
その音と同時にアルがやっと重い口を動かした。
「桃……怒っているのはわかる、だけど今の自分の置かれている状況を考えてほしい」
置かれてる状況……だと?
さらに火に油を注ぐ状態になった。
ベッドから立ち上がり、アルの胸ぐらを掴んだ。
「俺は異世界人だからか?!あ?!どこから来たかも分からない奴を野放しにしたくないからそんな事言ってんのかよ?」
「違う……」
ポツリと呟いた顔が少し悲しそうにも見えた。違うと言いながらも答えは出してくれなかった。
「ちっ……もういい、お前も結局俺の気持ちなんかわかんねーんだろーよ」
ちょっと人を信じようと思って来たのに、結局アルも俺の周りの奴と同じだ。
憤りを感じた。
こんなとこ、もう出ていってやる……死のうが生きようが俺の勝手だ。
「もうお前なんかどうだっていい!!お前も俺の事用無しだと思ってんだろ!!!」
俺はドアに向かうが腕を掴まれる。
「待って……桃、私は君を愛してるんだ」
「放せよ……そんな飾った言葉なんかいらねーよ」
パンっと手を振り払い、ドアを乱暴に閉めた。
アルの悲しそうな顔を見ながら、何か心に蟠りを残しながら俺は屯所から出ていった。
何が愛してるだ……愛してるなら俺が何しても許してくれるもんだろ……結局好きだのなんだのってのも嘘なんだ。
ただの身体だけの関係だったんだな、俺も俺で気持ちよさで勝手にアルに好意があると勘違いしてただけなんだ。
ただそれだけ……。
この先どこに行こう。まぁ……別に魔物に襲われて死んだ所でもうどうでもいいや……。
あぁ……メアマリク大聖堂があんな遠くに。
かなり歩いた、だが町は見当たらない。
周りは森だらけで、変な鳴き声ばかり聞こえる。
そろそろ夜になる、周りは暗くなりかけていた。
しかも何も持たず出たせいで、お腹が鳴る。
別に1週間何も飲まず食わずでも大丈夫だろうと思っていたが、長い距離歩いたせいか空腹になってしまった。
周りには謎の木の実やキノコがある。
食べられるのだろうか……。
たくさんキノコは生えてるんだよなぁ……。
青やら赤やら色々な色がある。
取り敢えず火を通せば食えるか。
よし、青好きだしこの青のきのこにしよう。
落ちていた木を拾い、ポケットに入れていたライターを取り出し火をつける。
役に立つかなと思って持って来ていてよかった。
轟々と燃える火の中に串で通したキノコを入れる。
ぱちぱちという音と共にキノコがこんがり焼ける。
しかもめちゃくちゃいい匂いだ。
いい匂いって事は、これ、食えるよな!
俺は本能で思った。
見た目は悪いけど……。
ぱくりと食べると香ばしい、しいたけっぽい味が広がった。
めちゃくちゃ美味かった。
たくさん採った青いキノコを全てたいらげた。
勝手に食堂から抱えられ勝手に部屋に戻された事に全然納得がいかなかったからだ。
アルもアルで俺が落ち着くのを待っているのか、優しく俺をベッドに下ろした後は俺と同じく沈黙だった。
だが表情はなんともいえなかった、ずっと俺を見ている事は確かだが何を思っているのか感じ取ることは出来なかった。
言いたいことがあるのならはっきり言ったらどうなんだ……。
苛立ちでクッションをボスっと殴った。
その音と同時にアルがやっと重い口を動かした。
「桃……怒っているのはわかる、だけど今の自分の置かれている状況を考えてほしい」
置かれてる状況……だと?
さらに火に油を注ぐ状態になった。
ベッドから立ち上がり、アルの胸ぐらを掴んだ。
「俺は異世界人だからか?!あ?!どこから来たかも分からない奴を野放しにしたくないからそんな事言ってんのかよ?」
「違う……」
ポツリと呟いた顔が少し悲しそうにも見えた。違うと言いながらも答えは出してくれなかった。
「ちっ……もういい、お前も結局俺の気持ちなんかわかんねーんだろーよ」
ちょっと人を信じようと思って来たのに、結局アルも俺の周りの奴と同じだ。
憤りを感じた。
こんなとこ、もう出ていってやる……死のうが生きようが俺の勝手だ。
「もうお前なんかどうだっていい!!お前も俺の事用無しだと思ってんだろ!!!」
俺はドアに向かうが腕を掴まれる。
「待って……桃、私は君を愛してるんだ」
「放せよ……そんな飾った言葉なんかいらねーよ」
パンっと手を振り払い、ドアを乱暴に閉めた。
アルの悲しそうな顔を見ながら、何か心に蟠りを残しながら俺は屯所から出ていった。
何が愛してるだ……愛してるなら俺が何しても許してくれるもんだろ……結局好きだのなんだのってのも嘘なんだ。
ただの身体だけの関係だったんだな、俺も俺で気持ちよさで勝手にアルに好意があると勘違いしてただけなんだ。
ただそれだけ……。
この先どこに行こう。まぁ……別に魔物に襲われて死んだ所でもうどうでもいいや……。
あぁ……メアマリク大聖堂があんな遠くに。
かなり歩いた、だが町は見当たらない。
周りは森だらけで、変な鳴き声ばかり聞こえる。
そろそろ夜になる、周りは暗くなりかけていた。
しかも何も持たず出たせいで、お腹が鳴る。
別に1週間何も飲まず食わずでも大丈夫だろうと思っていたが、長い距離歩いたせいか空腹になってしまった。
周りには謎の木の実やキノコがある。
食べられるのだろうか……。
たくさんキノコは生えてるんだよなぁ……。
青やら赤やら色々な色がある。
取り敢えず火を通せば食えるか。
よし、青好きだしこの青のきのこにしよう。
落ちていた木を拾い、ポケットに入れていたライターを取り出し火をつける。
役に立つかなと思って持って来ていてよかった。
轟々と燃える火の中に串で通したキノコを入れる。
ぱちぱちという音と共にキノコがこんがり焼ける。
しかもめちゃくちゃいい匂いだ。
いい匂いって事は、これ、食えるよな!
俺は本能で思った。
見た目は悪いけど……。
ぱくりと食べると香ばしい、しいたけっぽい味が広がった。
めちゃくちゃ美味かった。
たくさん採った青いキノコを全てたいらげた。
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