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16 黒騎士団団長
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蛇に睨まれた蛙の気持ちが今わかった。
ザワついていた騎士達もこの凍りついた雰囲気に気付きピタッと会話を各々やめてしまった。
何分経ったのか、重い静寂が漂う。
「この話は取り敢えず俺達の部屋でしようか?」
アルは怒っている時や興奮している時はわたしではなく、おれという事がここ何日かでわかった。
今まさに怒っているのだろう。
「いやだ……といったら?」
俺は自分のやり方にケチをつけられているようで、腹が立った。昔から自分のやりたい事に口を出されるのは嫌いな方だった。
「桃……」
否定されると思わなかったのかアルの表情が曇る。
確かにここではアルに世話になっているが、ずっとアルばかりに迷惑かけるのが嫌だった。
沈黙がまた続く中、低い声である男が口を出した。
「フッ……異世界人様を聖騎士団団長様が独り占めか……大したものだな」
またも一般騎士達がざわつき始める。一体誰なんだあの人。
その男はアルの後ろに立っていた。
黒い軍服、漆黒の髪、赤い瞳。まるで魔族のような趣だった。
長い髪は後ろで結ばれており、アルに並ぶ美男子だがアルと違って雰囲気は冷酷な感じだった。
しかも異世界人様と呼ばれるのはなんか変な感じがする。
「……なんで貴方がここにいるのでしょうか?」
「ここに俺がいるのは可笑しいか?たまには俺も美味いものを食べたくてな、今日はとびっきり美味しい料理が食えると聞いたから来たまでだ」
チラリと不快そうにアルはその男を見ると、男は淡々と喋り始めた。
それを遮るように厨房からランベルトさんが顔を出す。
「おいおい何喧嘩してんだ!!喧嘩なら他所で…………ほほう、なんだ珍しいなまさか聖騎士団団長様と黒騎士団団長様がいらっしゃるとは」
黒騎士団の団長だと?!!!
「たまに俺は来る、ランベルト貴様が俺に気づいてないだけだ……」
フンっと鼻であしらうとランベルトさんは苦笑いした。
「取り敢えず喧嘩はここではするな、ここは飯を食う所だ!!桃!!早くこれ運べ!」
ドンッと俺に料理を2つ渡され、またチンベルを使い移動させていると、その手を誰かに握られる。
「黒騎士団団長のラファエル、ロメロだ。異世界人様お名前を聞いてもいいだろうか?」
「あ……はじめまして、モモタヒイラギだ」
吸い込まれそうな赤い瞳で見つめられる。すごく綺麗で色気ある男だ。
ジーッと見ていると更にアルに手を引かれる。
「この方をお前に関わらせる訳にはいかない……」
いつものアルとは思えない。冷静さを失っているように見えた。
「ちょ……アル」
俺はアルに乱暴に手を引かれ、一般騎士の食堂を後にした。
「桃太……また会おう」
低い声で発されたその言葉が俺の耳に聞こえた。
途中から手が痛いから放せと言ったらお姫様抱っこされて、結局自分達の部屋へと戻ってきた。
ザワついていた騎士達もこの凍りついた雰囲気に気付きピタッと会話を各々やめてしまった。
何分経ったのか、重い静寂が漂う。
「この話は取り敢えず俺達の部屋でしようか?」
アルは怒っている時や興奮している時はわたしではなく、おれという事がここ何日かでわかった。
今まさに怒っているのだろう。
「いやだ……といったら?」
俺は自分のやり方にケチをつけられているようで、腹が立った。昔から自分のやりたい事に口を出されるのは嫌いな方だった。
「桃……」
否定されると思わなかったのかアルの表情が曇る。
確かにここではアルに世話になっているが、ずっとアルばかりに迷惑かけるのが嫌だった。
沈黙がまた続く中、低い声である男が口を出した。
「フッ……異世界人様を聖騎士団団長様が独り占めか……大したものだな」
またも一般騎士達がざわつき始める。一体誰なんだあの人。
その男はアルの後ろに立っていた。
黒い軍服、漆黒の髪、赤い瞳。まるで魔族のような趣だった。
長い髪は後ろで結ばれており、アルに並ぶ美男子だがアルと違って雰囲気は冷酷な感じだった。
しかも異世界人様と呼ばれるのはなんか変な感じがする。
「……なんで貴方がここにいるのでしょうか?」
「ここに俺がいるのは可笑しいか?たまには俺も美味いものを食べたくてな、今日はとびっきり美味しい料理が食えると聞いたから来たまでだ」
チラリと不快そうにアルはその男を見ると、男は淡々と喋り始めた。
それを遮るように厨房からランベルトさんが顔を出す。
「おいおい何喧嘩してんだ!!喧嘩なら他所で…………ほほう、なんだ珍しいなまさか聖騎士団団長様と黒騎士団団長様がいらっしゃるとは」
黒騎士団の団長だと?!!!
「たまに俺は来る、ランベルト貴様が俺に気づいてないだけだ……」
フンっと鼻であしらうとランベルトさんは苦笑いした。
「取り敢えず喧嘩はここではするな、ここは飯を食う所だ!!桃!!早くこれ運べ!」
ドンッと俺に料理を2つ渡され、またチンベルを使い移動させていると、その手を誰かに握られる。
「黒騎士団団長のラファエル、ロメロだ。異世界人様お名前を聞いてもいいだろうか?」
「あ……はじめまして、モモタヒイラギだ」
吸い込まれそうな赤い瞳で見つめられる。すごく綺麗で色気ある男だ。
ジーッと見ていると更にアルに手を引かれる。
「この方をお前に関わらせる訳にはいかない……」
いつものアルとは思えない。冷静さを失っているように見えた。
「ちょ……アル」
俺はアルに乱暴に手を引かれ、一般騎士の食堂を後にした。
「桃太……また会おう」
低い声で発されたその言葉が俺の耳に聞こえた。
途中から手が痛いから放せと言ったらお姫様抱っこされて、結局自分達の部屋へと戻ってきた。
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