1 / 11
1. 悪役令嬢は国外追放される
しおりを挟む
「クラウディア・サウザンテ! お前を国外追放に処す!」
ラインハルト王太子殿下にそう言われて、サウザンテ公爵家の長女クラウディアは思わず笑みを浮かべそうになった。
大量の仕事を押し付けれる地獄のような日々から離れられると思うと嬉しくて仕方なかった。
ついさっき、王太子殿下に婚約破棄されたばかりなのにも関わらず。
「ありがとうございますっ!」
すらりとした身体に凛とした顔立ちの彼女が喜ぶ様は、このような場でなければ絵になっただろう。
「いくら妹でも、私の婚約者を虐めたのが運の尽きだったな。ショックだとは思うが、生き延びられることを祈っているよ。
……ん? 今、なんと言った?」
「ですから、国外追放にしてくれてありがとうございます、と言いました」
「驚かないのか⁉︎ 重罪だぞ⁉︎」
驚いたりはしない。婚約破棄される日のうちに、国外追放を言い渡されることは分かっていたから。
王太子はこの日の計画を周囲に誇らしげに話していたのだ。クラウディアの耳に入らないことがない。
「ええ、むしろ嬉しいくらいですわ」
きっと私への嫌がらせのつもりで国外追放にしたのだろう。それほど殿下に嫌われていたのなら、少し悲しい。
もちろん、悲しい気持ちは表に出すことはない。そうすれば彼らを喜ばせてしまうから。
「なっ……。まあいい、お前はもうここには居られないのだからな」
「そうですわね。せめて後悔のないように生きてくださいませ」
「苦し紛れか? もうよい、連れて行け」
間もなくやってきた騎士達に手を拘束され、パーティー会場から引きずり出されるクラウディア。
無抵抗に運ばれる彼女を見て、良く思っていなかった者は愉悦に頬を緩めた。
その時に、王太子に寄り添う妹のクラリスが怪しい笑みを浮かべながら「ざまぁみろ」と口を動かしていることに気が付いたクラウディアだったが、全く気に留めなかった。
何故なら、彼女にはこれから地獄のような日々が訪れるのだから。
王太子の婚約者は楽じゃないのだ。
ちなみに、両親も会場にはいたものの、クラウディアのことを見向きもしなかった。
明るい赤い色の髪と同じ色の瞳を持つ彼女を「血の色みたいで気色悪い」と言って忌避していたから。
でも、そんな理由で嫌がらせされるのも今日が最後。
そのまま馬車に乗せられ、あっという間に会場になっている王城から離れていった。
それからどれくらい経ったのか。国境にある関所に着くと、隣国側に放り出されてしまう。
国外追放とは言っても、本来は追い出されるだけではない。街まで送り届けるのが任務だった。
この時の刑を執行する騎士団は、かなり適当だった。
「どうやって街まで移動すればいいのかしら……」
見渡す限りの山を見るクラウディアの表情は、少しばかり絶望に染まっていた。
愚かな者達はまだ知らない。悪役に仕立て上げた相手が、どれほど大きな物を持っていたのかを。
そして、それを失ったことが自身の破滅へと繋がることを。
ラインハルト王太子殿下にそう言われて、サウザンテ公爵家の長女クラウディアは思わず笑みを浮かべそうになった。
大量の仕事を押し付けれる地獄のような日々から離れられると思うと嬉しくて仕方なかった。
ついさっき、王太子殿下に婚約破棄されたばかりなのにも関わらず。
「ありがとうございますっ!」
すらりとした身体に凛とした顔立ちの彼女が喜ぶ様は、このような場でなければ絵になっただろう。
「いくら妹でも、私の婚約者を虐めたのが運の尽きだったな。ショックだとは思うが、生き延びられることを祈っているよ。
……ん? 今、なんと言った?」
「ですから、国外追放にしてくれてありがとうございます、と言いました」
「驚かないのか⁉︎ 重罪だぞ⁉︎」
驚いたりはしない。婚約破棄される日のうちに、国外追放を言い渡されることは分かっていたから。
王太子はこの日の計画を周囲に誇らしげに話していたのだ。クラウディアの耳に入らないことがない。
「ええ、むしろ嬉しいくらいですわ」
きっと私への嫌がらせのつもりで国外追放にしたのだろう。それほど殿下に嫌われていたのなら、少し悲しい。
もちろん、悲しい気持ちは表に出すことはない。そうすれば彼らを喜ばせてしまうから。
「なっ……。まあいい、お前はもうここには居られないのだからな」
「そうですわね。せめて後悔のないように生きてくださいませ」
「苦し紛れか? もうよい、連れて行け」
間もなくやってきた騎士達に手を拘束され、パーティー会場から引きずり出されるクラウディア。
無抵抗に運ばれる彼女を見て、良く思っていなかった者は愉悦に頬を緩めた。
その時に、王太子に寄り添う妹のクラリスが怪しい笑みを浮かべながら「ざまぁみろ」と口を動かしていることに気が付いたクラウディアだったが、全く気に留めなかった。
何故なら、彼女にはこれから地獄のような日々が訪れるのだから。
王太子の婚約者は楽じゃないのだ。
ちなみに、両親も会場にはいたものの、クラウディアのことを見向きもしなかった。
明るい赤い色の髪と同じ色の瞳を持つ彼女を「血の色みたいで気色悪い」と言って忌避していたから。
でも、そんな理由で嫌がらせされるのも今日が最後。
そのまま馬車に乗せられ、あっという間に会場になっている王城から離れていった。
それからどれくらい経ったのか。国境にある関所に着くと、隣国側に放り出されてしまう。
国外追放とは言っても、本来は追い出されるだけではない。街まで送り届けるのが任務だった。
この時の刑を執行する騎士団は、かなり適当だった。
「どうやって街まで移動すればいいのかしら……」
見渡す限りの山を見るクラウディアの表情は、少しばかり絶望に染まっていた。
愚かな者達はまだ知らない。悪役に仕立て上げた相手が、どれほど大きな物を持っていたのかを。
そして、それを失ったことが自身の破滅へと繋がることを。
1,389
あなたにおすすめの小説
復讐は静かにしましょう
luna - ルーナ -
恋愛
王太子ロベルトは私に仰った。
王妃に必要なのは、健康な肉体と家柄だけだと。
王妃教育は必要以上に要らないと。では、実体験をして差し上げましょうか。
妹が約束を破ったので、もう借金の肩代わりはやめます
なかの豹吏
恋愛
「わたしも好きだけど……いいよ、姉さんに譲ってあげる」
双子の妹のステラリアはそう言った。
幼なじみのリオネル、わたしはずっと好きだった。 妹もそうだと思ってたから、この時は本当に嬉しかった。
なのに、王子と婚約したステラリアは、王子妃教育に耐えきれずに家に帰ってきた。 そして、
「やっぱり女は初恋を追うものよね、姉さんはこんな身体だし、わたし、リオネルの妻になるわっ!」
なんて、身勝手な事を言ってきたのだった。
※この作品は他サイトにも掲載されています。
【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
包帯妻の素顔は。
サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。
愛はリンゴと同じ
turarin
恋愛
学園時代の同級生と結婚し、子供にも恵まれ幸せいっぱいの公爵夫人ナタリー。ところが、ある日夫が平民の少女をつれてきて、別邸に囲うと言う。
夫のナタリーへの愛は減らない。妾の少女メイリンへの愛が、一つ増えるだけだと言う。夫の愛は、まるでリンゴのように幾つもあって、皆に与えられるものなのだそうだ。
ナタリーのことは妻として大切にしてくれる夫。貴族の妻としては当然受け入れるべき。だが、辛くて仕方がない。ナタリーのリンゴは一つだけ。
幾つもあるなど考えられない。
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。
salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。
6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。
*なろう・pixivにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる