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2. 公爵夫妻は満足する
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気味の悪い娘が屋敷からいなくなった。
その事実に、サウザンテ公爵夫妻は大喜びしていた。
普通なら、娘が断罪されたことを嘆くのだが、公爵夫妻は違っていた。
「これでもう、あの子にアクセサリーを買わなくていいのね!」
「ああ。昨日のうちに籍を外しておいたから、家名にも傷は付かない」
というのも、この断罪はこの公爵夫妻が仕組んだことなのだ。
「原因が身内の争いごとだから、傷は付かないわ。それよりも、あの子が公爵家の娘でありながら商売をしていた方が問題だったのよ」
「それもそうだな。それに、殿下が断罪する日を教えてくれたおかげで、我が家から罪人を出さずに済んだ。
殿下には感謝しかないよ」
彼らは不満だったのだ。
長女だからという理由で王子の婚約者にクラウディアが選ばれたことが。
何故可愛いクラリスではなく、醜いクラウディアなのかと嘆いていた。
そう思っていたから、王太子がクラリスに気があると知った時は大喜びした。
そして、噂を流したのだ。
普段、クラウディアは妹に嫉妬して虐めをしていると。
その結果、噂はたちまち広がり、国王夫妻の耳に入るようになった。
そして、国王夫妻が危機感を持ったことにより、トントン拍子に婚約破棄の話が進んだ。
しかし、罪を追求する前に除籍しておかなければ、新たな婚約者の家が罪人を出した家となってしまう。
そんな理由で、王家から事前に断罪の知らせを受けたのだった。
そして断罪の日の昼までにクラウディアの籍を外した夫妻は、素知らぬ顔でパーティに参加していた。
そして、パーティーを終えて満足して屋敷に戻り、今に至る。
「これであの子に文句を言われずに済むわ」
「ああそうだな」
「あの子、醜いくせに文句ばかり言ってきて鬱陶しかったのよ」
そう口にする公爵夫人は高級なアクセサリーを、たくさん手に入れることを考えていた。
今までは商人と親しいクラウディアによって、浪費を阻止されていたから。
「商人と仲良いのが厄介だったな。いくら公爵家の力があっても、あからさまな脅しは罪になってしまうからな」
そう口にする公爵は今までよりも高級な食材を仕入れることを考えていた。
公爵は美味しい料理が大好物なのだ。それでいて太っていないのは、優秀なシェフのお陰である。
「そうね。だから本当にクラウディアが居なくなってよかったわ」
満足そうに口にする公爵夫人。彼女には親の心というものが無いようだった。
普通の心があれば、実の娘の容姿が気に入らないと言って、アクセサリーを与えないことから始まる虐げをしないのだ。
そんな時、会話に割り込む者がいた。
「そろそろクラリスお嬢様の今後についてのお話をされた方が良いかと思います」
「そうだったわ、教えてくれてありがとう」
「指摘してくれてありがとう、助かるよ」
執事の指摘に、不満大会になっていたことを反省する夫妻。
この後すぐに、クラリスの話で幸せな気分に浸るのだったが。
国外追放されたクラウディアのことを親として心配すらしない夫妻を見た執事は、明らかに不信感を募らせていた。
その事実に、サウザンテ公爵夫妻は大喜びしていた。
普通なら、娘が断罪されたことを嘆くのだが、公爵夫妻は違っていた。
「これでもう、あの子にアクセサリーを買わなくていいのね!」
「ああ。昨日のうちに籍を外しておいたから、家名にも傷は付かない」
というのも、この断罪はこの公爵夫妻が仕組んだことなのだ。
「原因が身内の争いごとだから、傷は付かないわ。それよりも、あの子が公爵家の娘でありながら商売をしていた方が問題だったのよ」
「それもそうだな。それに、殿下が断罪する日を教えてくれたおかげで、我が家から罪人を出さずに済んだ。
殿下には感謝しかないよ」
彼らは不満だったのだ。
長女だからという理由で王子の婚約者にクラウディアが選ばれたことが。
何故可愛いクラリスではなく、醜いクラウディアなのかと嘆いていた。
そう思っていたから、王太子がクラリスに気があると知った時は大喜びした。
そして、噂を流したのだ。
普段、クラウディアは妹に嫉妬して虐めをしていると。
その結果、噂はたちまち広がり、国王夫妻の耳に入るようになった。
そして、国王夫妻が危機感を持ったことにより、トントン拍子に婚約破棄の話が進んだ。
しかし、罪を追求する前に除籍しておかなければ、新たな婚約者の家が罪人を出した家となってしまう。
そんな理由で、王家から事前に断罪の知らせを受けたのだった。
そして断罪の日の昼までにクラウディアの籍を外した夫妻は、素知らぬ顔でパーティに参加していた。
そして、パーティーを終えて満足して屋敷に戻り、今に至る。
「これであの子に文句を言われずに済むわ」
「ああそうだな」
「あの子、醜いくせに文句ばかり言ってきて鬱陶しかったのよ」
そう口にする公爵夫人は高級なアクセサリーを、たくさん手に入れることを考えていた。
今までは商人と親しいクラウディアによって、浪費を阻止されていたから。
「商人と仲良いのが厄介だったな。いくら公爵家の力があっても、あからさまな脅しは罪になってしまうからな」
そう口にする公爵は今までよりも高級な食材を仕入れることを考えていた。
公爵は美味しい料理が大好物なのだ。それでいて太っていないのは、優秀なシェフのお陰である。
「そうね。だから本当にクラウディアが居なくなってよかったわ」
満足そうに口にする公爵夫人。彼女には親の心というものが無いようだった。
普通の心があれば、実の娘の容姿が気に入らないと言って、アクセサリーを与えないことから始まる虐げをしないのだ。
そんな時、会話に割り込む者がいた。
「そろそろクラリスお嬢様の今後についてのお話をされた方が良いかと思います」
「そうだったわ、教えてくれてありがとう」
「指摘してくれてありがとう、助かるよ」
執事の指摘に、不満大会になっていたことを反省する夫妻。
この後すぐに、クラリスの話で幸せな気分に浸るのだったが。
国外追放されたクラウディアのことを親として心配すらしない夫妻を見た執事は、明らかに不信感を募らせていた。
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