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149. 変化
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あれから2週間、すっかり落ち着きを取り戻した私は今までよりも忙しい日々を送っている。
というのも、結婚に向けた準備を本格的に始めたから。
今私が暮らしている場所はジーク様が暮らしている場所から離れているけど、お互い毎週のように行き来しているから3日に1回は直接会うことも出来ている。
貴族の結婚は直前まで前は週に一度も会えないということも珍しくないから、私は幸せなはずなのだけど……。
「あと3日も会えないのね……」
既に3日間ジーク様に会えていないせいで、早く彼に会いたいという気持ちでいっぱいになっていた。
「3日なんてあっという間ですよ」
「どうしてこういう時に限って暇になるのかしら」
「それはお嬢様がお茶会を断ったからです」
「……」
王城からの帰りの馬車の中、アンナに何も言い返せない私だった。
それからは家に着くまで気まずい沈黙が続いてしまった。
「「お帰りなさいませ、お嬢様」」
「ただいま。そこにアトランタ家の馬車が止まっていたけど、ジーク様はまだいるのかしら?」
「ええ、お嬢様に会いたいそうで、今日は泊まられることになりました」
「分かったわ、ありがとう」
今日ジーク様に会えないはずだったのは、ジーク様が夕方になる前にはアトランタ領に戻らないといけないのに、私が午後から王妃様に呼び出されていたから。
だから、ジーク様が長くここにいてくれれば、今日会うことが出来るのよね。
ジーク様がいると知り、少し浮かれながら部屋に向かっている時だった。、
「フィーナ、おかえり」
「ジーク様っ! ただいま戻りました」
つい抱きついてしまったけど、引かれてないわよね……?
そんなことを思っていたらジーク様に抱き返され、おまけに軽く口付けまでされていて。
恥ずかしくてつい視線を逸らしてしまう私だった。
「フィーナ、実は急に泊まることにしたから部屋が用意出来ないみたいなんだ。だから、フィーナの部屋で寝てもいいかな?」
「もちろん良いですわよ」
「それと、俺に対して敬語は使わないようにして欲しい。もうすぐ夫婦になるんだから、距離は作りたくない」
「私も同じ気持ちよ。お客様の前以外は普通に話すようにするわね」
そんな会話をしていると、侍女が夕食が出来たことを伝えにきて、私達は他愛ない話をしながらダイニングに向かった。
夕食中はいつも通り雑談をしたり情報交換をしていたのだけど、夕食を終えて部屋に戻ろうとした時にお母様がこんなことを口にした。
「今夜は使用人も近づけないようにするから楽しんでも良いからね?」
「た、楽しむってどういうことですか⁉︎」
「そのままの意味よ」
「遠慮しておきますわ……」
この後、湯浴みを終えてジーク様とベッドに入ったのだけど、特に何かすることはなくそのまま眠りについてしまう私だった。
というのも、結婚に向けた準備を本格的に始めたから。
今私が暮らしている場所はジーク様が暮らしている場所から離れているけど、お互い毎週のように行き来しているから3日に1回は直接会うことも出来ている。
貴族の結婚は直前まで前は週に一度も会えないということも珍しくないから、私は幸せなはずなのだけど……。
「あと3日も会えないのね……」
既に3日間ジーク様に会えていないせいで、早く彼に会いたいという気持ちでいっぱいになっていた。
「3日なんてあっという間ですよ」
「どうしてこういう時に限って暇になるのかしら」
「それはお嬢様がお茶会を断ったからです」
「……」
王城からの帰りの馬車の中、アンナに何も言い返せない私だった。
それからは家に着くまで気まずい沈黙が続いてしまった。
「「お帰りなさいませ、お嬢様」」
「ただいま。そこにアトランタ家の馬車が止まっていたけど、ジーク様はまだいるのかしら?」
「ええ、お嬢様に会いたいそうで、今日は泊まられることになりました」
「分かったわ、ありがとう」
今日ジーク様に会えないはずだったのは、ジーク様が夕方になる前にはアトランタ領に戻らないといけないのに、私が午後から王妃様に呼び出されていたから。
だから、ジーク様が長くここにいてくれれば、今日会うことが出来るのよね。
ジーク様がいると知り、少し浮かれながら部屋に向かっている時だった。、
「フィーナ、おかえり」
「ジーク様っ! ただいま戻りました」
つい抱きついてしまったけど、引かれてないわよね……?
そんなことを思っていたらジーク様に抱き返され、おまけに軽く口付けまでされていて。
恥ずかしくてつい視線を逸らしてしまう私だった。
「フィーナ、実は急に泊まることにしたから部屋が用意出来ないみたいなんだ。だから、フィーナの部屋で寝てもいいかな?」
「もちろん良いですわよ」
「それと、俺に対して敬語は使わないようにして欲しい。もうすぐ夫婦になるんだから、距離は作りたくない」
「私も同じ気持ちよ。お客様の前以外は普通に話すようにするわね」
そんな会話をしていると、侍女が夕食が出来たことを伝えにきて、私達は他愛ない話をしながらダイニングに向かった。
夕食中はいつも通り雑談をしたり情報交換をしていたのだけど、夕食を終えて部屋に戻ろうとした時にお母様がこんなことを口にした。
「今夜は使用人も近づけないようにするから楽しんでも良いからね?」
「た、楽しむってどういうことですか⁉︎」
「そのままの意味よ」
「遠慮しておきますわ……」
この後、湯浴みを終えてジーク様とベッドに入ったのだけど、特に何かすることはなくそのまま眠りについてしまう私だった。
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