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79. フィーナ母side 子供ですか?

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 突然のことでした。ソーラスが1週間もの休みを取ってきたのは。


「明日出発するから準備しておいてくれ」

「明日⁉︎ 宿とかはどうしたの?」

「部下が勝手に取った」

「はぁ……?」


 驚きのあまり怒ってるような受け答えをしてしまったのが5日前の話です。

 それから半日で準備を終え、翌朝には出発出来たのですが、私が口にしたことが原因でソーラスが不機嫌になってしまったのです。


「フィーナがジークに恋してる、だと……?」


 若干青くなりながらそう口にするソーラス。


「手紙を読む限りそうとしか考えられないわ」

「可能性はあると思っていたが、本当にそうだとは……。くそっ、フィーナがジークと結婚したら頻繁に会えないじゃないか!」

「そうね……」

「結婚を許さなければそれは回避出来る」


 何やら馬鹿な事を言っている人がいるので、少し声を張ってこう口にしました。


「子供ですか? フィーナに嫌われるわよ」

「それは嫌だ……」

「諦めましょうね?」

「ぐぐ……」


 それから昼食をとるレストランに到着するまでソーラスは何かと戦っているようでした。


 アトランタ邸に到着してから早々、ソーラスがキーファス様を殴るという他所様が見たら驚く事をしました。
 これは子供の戯れ合いのようなものなので特に気にすることは無いのですが、フィーナがソーラスを避けてしまいました。

 機嫌が悪いと勘違いしてしまったようです。無理はありませんが、ソーラスが落ち込むのは避けられませんでした。


 その日の夕方、フィーナに「大事な話があるからサロンに来ていただけませんか?」と言われました。
 ソーラスと2人でサロンに入ると、フィーナとジークくんが寄り添っているのが目に入りました。

 表情を変えずにジークくんの向かい側に座るソーラス。私はその隣に腰を下ろしました。


「大事な話ってなんだ?」


 そう問いかけるソーラス。
 私はフィーナ達の言いたいことが分かっているので、見守ることにしました。


「ここに来てからジーク様とお付き合いしていて、結婚することに決めましたの。
 お父様、結婚することを許していただけませんか?」

「彼と一緒に過ごしているときは幸せか?」


 意思の再確認のためにそう問いかけるソーラス。


「はい」

「分かった。許可を出す前に、彼と少し話をしたいから一旦席を外してくれないか?」

「分かりましたわ」


 フィーナが部屋から出ると、ソーラスが模造剣をジークくんに渡してこう口にしました。


「フィーナを守り切れるだけの力があるか見させてもらう。中庭に来てくれ」


 そう言って扉の方に向かうソーラス。

 この後の模擬試合はソーラスの勝ちでしたが、ジークくんの力量は認められるのでした。
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