80 / 155
80. 罰です!
しおりを挟む
ジーク様と正式に婚約してから3日経つ今日のお昼過ぎ、ユリウスさんが少し豪華な封筒を手に私の部屋に来た。
「フィーナ様、リトニア公爵家からお手紙が届いております。急ぎではないのでお時間がある時にご確認ください」
「分かったわ。ソファーの前に置いておいてもらえる?」
「畏まりました」
あと少しで終わりそうな刺繍の手を止めるわけにはいかなかったから、ソファの前のテーブルに置いてもらった。
今やっているのは練習用のハンカチだけど、ティアナさんが言うには練習とは思えないほど上手いらしい。
上手く出来たらジーク様にも見せてみようと思っている。
ちなみに、刺繍自体は令嬢の嗜みの1つになっているからある程度のことなら家で練習させられていた。
今までこういうものをジーク様に見せたことはないからどう反応されるかは分からないけど、喜んでもらえると良いな……。
そんな期待をしながら針を進め、日が傾く前には完成させることが出来た。
ティアナさん達に見てもらう前に手紙の中身を見てみると、お茶会の招待状が入っていた。
早速、参加しても大丈夫かジーク様に聞きに隣の部屋に向かった。
……のだけど、ジーク様は部屋にいないみたいでドアをノックしても返事はなかった。
「フィーナ、何してるのかな?」
「ひゃっ⁉︎」
突然後ろからそんな声が聞こえてきたと思ったら、振り向く前に抱きしめられてしまった。
お陰で驚いて変な声が出てしまったわ……。
「もうっ、驚かさないでください!」
「ごめんごめん、あまりにも無防備だったからちょっと意地悪してみたくなったんだ」
「次やったら怒りますからね……」
「分かった、もうやらないよ。ところで、なんで敬語に戻ってるんだ?」
「意地悪してきた罰です!」
本当に驚いたんだからね!
「……」
「ところで、来週は何か予定ありませんか?」
「特に無いけど、どうしたの?」
「聞いただけですわ」
予定が無いと分かったから、すぐに部屋に戻って返事を書いてユリウスさんにローズさん宛に送るようにお願いした。
それから、キーファス様には王都までの往復の準備をお願いした。
夕方、ジーク様が私の部屋に来たので、テラスでお茶をすることになった。
「そういえば、茶会に誘われたんだって?」
「はい、この前お会いした時に約束していたので」
私がそう答えると、ジーク様はこんなことを口にした。
「俺も行っていいかな? 王都まで一緒に」
「良いですよ。お茶会にはこないでくださいね?」
「分かってる。ところで、そろそろ普通に話してくれないか?」
「今日はダメです」
もうやめちゃったら、罰にならないからね!
「フィーナ様、リトニア公爵家からお手紙が届いております。急ぎではないのでお時間がある時にご確認ください」
「分かったわ。ソファーの前に置いておいてもらえる?」
「畏まりました」
あと少しで終わりそうな刺繍の手を止めるわけにはいかなかったから、ソファの前のテーブルに置いてもらった。
今やっているのは練習用のハンカチだけど、ティアナさんが言うには練習とは思えないほど上手いらしい。
上手く出来たらジーク様にも見せてみようと思っている。
ちなみに、刺繍自体は令嬢の嗜みの1つになっているからある程度のことなら家で練習させられていた。
今までこういうものをジーク様に見せたことはないからどう反応されるかは分からないけど、喜んでもらえると良いな……。
そんな期待をしながら針を進め、日が傾く前には完成させることが出来た。
ティアナさん達に見てもらう前に手紙の中身を見てみると、お茶会の招待状が入っていた。
早速、参加しても大丈夫かジーク様に聞きに隣の部屋に向かった。
……のだけど、ジーク様は部屋にいないみたいでドアをノックしても返事はなかった。
「フィーナ、何してるのかな?」
「ひゃっ⁉︎」
突然後ろからそんな声が聞こえてきたと思ったら、振り向く前に抱きしめられてしまった。
お陰で驚いて変な声が出てしまったわ……。
「もうっ、驚かさないでください!」
「ごめんごめん、あまりにも無防備だったからちょっと意地悪してみたくなったんだ」
「次やったら怒りますからね……」
「分かった、もうやらないよ。ところで、なんで敬語に戻ってるんだ?」
「意地悪してきた罰です!」
本当に驚いたんだからね!
「……」
「ところで、来週は何か予定ありませんか?」
「特に無いけど、どうしたの?」
「聞いただけですわ」
予定が無いと分かったから、すぐに部屋に戻って返事を書いてユリウスさんにローズさん宛に送るようにお願いした。
それから、キーファス様には王都までの往復の準備をお願いした。
夕方、ジーク様が私の部屋に来たので、テラスでお茶をすることになった。
「そういえば、茶会に誘われたんだって?」
「はい、この前お会いした時に約束していたので」
私がそう答えると、ジーク様はこんなことを口にした。
「俺も行っていいかな? 王都まで一緒に」
「良いですよ。お茶会にはこないでくださいね?」
「分かってる。ところで、そろそろ普通に話してくれないか?」
「今日はダメです」
もうやめちゃったら、罰にならないからね!
20
お気に入りに追加
5,250
あなたにおすすめの小説
侯爵家のお飾り妻をやめたら、王太子様からの溺愛が始まりました。
二位関りをん
恋愛
子爵令嬢メアリーが侯爵家当主ウィルソンに嫁いで、はや1年。その間挨拶くらいしか会話は無く、夜の営みも無かった。
そんな中ウィルソンから子供が出来たと語る男爵令嬢アンナを愛人として迎えたいと言われたメアリーはショックを受ける。しかもアンナはウィルソンにメアリーを陥れる嘘を付き、ウィルソンはそれを信じていたのだった。
ある日、色々あって職業案内所へ訪れたメアリーは秒速で王宮の女官に合格。結婚生活は1年を過ぎ、離婚成立の条件も整っていたため、メアリーは思い切ってウィルソンに離婚届をつきつけた。
そして王宮の女官になったメアリーは、王太子レアードからある提案を受けて……?
※世界観などゆるゆるです。温かい目で見てください
【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。
【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始
私が妻です!
ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。
王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。
侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。
そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。
世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。
5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。
★★★なろう様では最後に閑話をいれています。
脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。
他のサイトにも投稿しています。
2度目の人生は好きにやらせていただきます
みおな
恋愛
公爵令嬢アリスティアは、婚約者であるエリックに学園の卒業パーティーで冤罪で婚約破棄を言い渡され、そのまま処刑された。
そして目覚めた時、アリスティアは学園入学前に戻っていた。
今度こそは幸せになりたいと、アリスティアは婚約回避を目指すことにする。
とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵令嬢リリアーヌは、10歳で母が他界し、その後義母と義妹に虐げられ、
屋敷ではメイド仕事をして過ごす日々。
そんな中で、このままでは一生虐げられたままだと思い、一念発起。
母の遺言を受け、自分で自分を幸せにするために行動を起こすことに。
そんな中、偶然訳ありの男性を拾ってしまう。
しかし、その男性がリリアーヌの未来を作る救世主でーーーー。
メイド仕事の傍らで隠れて淑女教育を完璧に終了させ、語学、経営、経済を学び、
財産を築くために屋敷のメイド姿で見聞きした貴族社会のことを小説に書いて出版し、それが大ヒット御礼!
学んだことを生かし、商会を設立。
孤児院から人材を引き取り育成もスタート。
出版部門、観劇部門、版権部門、商品部門など次々と商いを展開。
そこに隣国の王子も参戦してきて?!
本作品は虐げられた環境の中でも懸命に前を向いて頑張る
とある侯爵令嬢が幸せを掴むまでの溺愛×サクセスストーリーです♡
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。
だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。
しかも新たな婚約者は妹のロゼ。
誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。
だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。
それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。
主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。
婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。
この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。
これに追加して書いていきます。
新しい作品では
①主人公の感情が薄い
②視点変更で読みずらい
というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。
見比べて見るのも面白いかも知れません。
ご迷惑をお掛けいたしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる