75 / 76
第捌章 混沌の元凶――ラプラス編。
弐佰参拾参話 世界、其の弐。
しおりを挟む
「――あのさ、婆ちゃん。腐ってもオーバーテクノロジーの代表違うん? 毎度のことながら珠玉のクセに……なして解らんの?」
「貴方……アタシだって与えられた知識以上は、ヒトと同じで学習しなきゃ得られないのよ! 万能じゃないの!」
「そーなん?」「貴方……締めるわよ?」
『はい。私にしても、もう一つの私と学習していました。結果、この世界を構築するに至りました』
「もうね、ボクはサッパリ妖精が裸踊りでヒャッハーだよ。理解の範疇を超える。無ぅ~理ぃ~」
「BrainがMuscleって……未来ちゃんは大好兄さん寄りなのよ? 考えても無駄なのよ?」
「――ぷ。アリサさんに激しく同意」
「俺も理解させるのはもう諦める。――なぁ、モノリス・セカンド。俺達の居るここは実は南極で、もう一つのサードが在る場所ってのは北極だろ?」
『はい。その通りでした』
「やっぱりかよ……欠陥媒体の野郎、クソ爺いよか始末が悪いな……。仕留めきれず逃がしたのは厄介かもしれん」
「逃したって……パパ? 仕留めたのと違うん?」
「未来、中枢核たる珠玉を見たか? 残ってねぇからな? 逃げたって言うよりは、戦術的撤退と考えるべきだな。間違いなくヤバい何ぞを実行する気で今は引いたと見てる」
「――義兄さん、どう言うことなのよ?」
「欠陥媒体の野郎の頭ん中は、ある意味で俺の複製体でもあるんでな?」
「貴方……それがどう関係するのよ? ちっとも解んないでしょ!」
欠陥媒体が情報を得る為に利用した……と言うかされただな。中継を成すモノが居るわけで。
ズバリ、婆ちゃんだな。
俺と接点のないラプラスが、どうやって俺の電波知識を盗んで得たかって点。
要は婆ちゃんにアクセスしてたってことだろうな。
欠陥媒体の姿は俺そのモノだったし、スライム状なキショい素体にしても、婆ちゃんに近しかったのがナニよりの証拠だ。
まぁ物真似しか芸のない欠陥媒体には、お似合いの猿真似だよ。
それにだ。セカンドが南極でサードが北極に在って、じゃあワンは何処に在るってなんだろ?
海底深くに遺跡として残ってた、セカンドと全く同質の、船首像みたいに埋まっていた無機質なモノが在った筈だ。
上と下の丁度中間地点に存在する、この孤島が浮上した意味を考えれば、この回答にすんなり辿り着く。
つまり、あれがモノリス・ワンだったってオチだな。
更に言うと、意識が同化していた婆ちゃんは、黄昏の珠玉であると同時にモノリス・ワンでもあるてこった。
そう考えると、やたらモノ知りな婆ちゃんってのも合点がいくってもんよ。
纏めると、モノリス・ワンでもある婆ちゃんから吸い上げていた俺の電波脳内の情報を、モノリス・セカンドとサードに転送、再構成させたていた、だな。
婆ちゃん自体、黄昏の珠玉って名称を持っていることからも、モノリス・ワンから切り離された、或いは産み出されたモノとは絶対に考えられないんでな?
ナニかの重要な理由で、態々、そこに配置されていたと考えれば、それらから導き出される答えは至極簡単。
「欠陥媒体の野郎がな、やらかそうとしてることは、成り代わって支配するなんつー生易しいもんじゃねーって話しだよ。俺達の居る現実世界をだな、神の真似事をして、自分の都合の良い世界を最初から構築し直して、全てを新たに創造するつもりでいるんだよ。もしも俺だったら確実にそうする」
「確かにパパならやりそう。パパの姿は伊達じゃないってこと? ボクからすれば、新世界創造って超あかん奴の代名詞なんだけど?」
「――パパ並みの電波に違いないってアイも言ったけど……本当に酷い。お姉ちゃんの言う通り、パパがしれっと思いつきそうな発想だよ」
「存外、過酷な言われよーなのな、俺?」
「貴方……前々から言ってるけど、本当にナニモノなの? 想像以上に電波過ぎる……アタシも認識を改めないといけないわよ、全く」
「褒めるな」
「「「褒めてないから!」」」
「私の彼――」
「「「それも、もう良いから! 御馳走様だから!」」」
「全く……ちょっと集まるのよ? アリサが解り易くLectureしてあげるのよ? 義兄さんは――」
最妃の側に皆が集まって、俺がした話しをアリサが更に噛み砕いて再説明し始めた。
博士号を持って教壇に立つだけあって、それは流石に俺よりも上手に伝えていく。
そして。
「貴方に貴女……本当に昔から――おっとっと、ヤバ。アタシが抹消されるトコだった」
婆ちゃんが告げてはいけない不穏当な内容を小声でポロリと溢す。
『今の独り言はあえてスルーしておくけどな? ここに来る前に呟いてたのは、モノリスのことだろ? 確かに在るか居るか判断に困る姿だからな? ――忘れていたわけではなく、俺のことと一緒で情報規制か何ぞがされてたんだろう……って、答えなくて良いから。俺の電波脳内でのただの独り言だ』
やんややんやと話しに夢中になってる、皆の耳には聴こえないように、あえて婆ちゃんだけを対象に念話で伝える俺。
『貴方……ごめん』
『独り言だっつーに、だから構うことはないさ。最妃と同じで、俺達の側から居なくならざるを得ないくらいなら言わんでも良いし、俺としても知りとーないわ。それが例え過去に俺的敵側だったとしても、だ。肝心の俺は忘れてるし、近くに監視の目? そんなもあるだし。――なあ、最妃』
そして、最妃にも念話を送り、同時に伝えておく。
俺の最愛の嫁の正体は……と、その言い方は正しくなくっておかしいな。
恐らくティアと同一人物……ヒト違うけど。
神話にあったように、分離した半身。
今は世を忍ぶ仮の姿とでも言うのが、一番近しい言い方かもな?
『――⁉︎ き、気付いてらしたの⁉︎』
『まあな。何年夫婦やってんだって、以前、言ったよな? お見通しだっつーの。婆ちゃんから聴かずとも俺が自力で答えに辿り着く。そしていつか全てを思い出すから。そう心配すんな、大丈夫だ』
『彼方……ナニもお伝え出来ず、申し訳御座いません』
『貴方……ナニモ――もう白々しいか。バレてたんだ』
『俺がナニだったなんてのは些細なことだ。俺は俺、それで良い。つーわけでいつも通りで頼む』
『当たり前ですわ。私は未来永劫、彼方のモノですものね』
『貴方……アタシも祖母の立ち位置でずっと居るから。絶対に裏切らないから。いつも一緒、離れないって誓約するから』
『おう。解ってるって――そんな顔するな。妹的美少女顔が台なしだぞ?』
『貴方――』
『さて、脳内の独り言はお終い。とにかく現状打破が最優先だ! このままでは帰るに帰れんからな?』
俺は俺、最妃は最妃、婆ちゃんは婆ちゃん。今もこれから先もそれで良いんだ。
ナニであろうと、どーだろうと、一切合切関係なくな?
さて。そんな些細なことよりも、どうやって詰んでるこの状況から抜け出すか。
この場から離脱して元に帰るかってのと、欠陥媒体の愚行を阻止するかなんだが……。
何ぞ良い方法はないモノかと、必死に思案するのだった――。
―――――――――― つづく。
「貴方……アタシだって与えられた知識以上は、ヒトと同じで学習しなきゃ得られないのよ! 万能じゃないの!」
「そーなん?」「貴方……締めるわよ?」
『はい。私にしても、もう一つの私と学習していました。結果、この世界を構築するに至りました』
「もうね、ボクはサッパリ妖精が裸踊りでヒャッハーだよ。理解の範疇を超える。無ぅ~理ぃ~」
「BrainがMuscleって……未来ちゃんは大好兄さん寄りなのよ? 考えても無駄なのよ?」
「――ぷ。アリサさんに激しく同意」
「俺も理解させるのはもう諦める。――なぁ、モノリス・セカンド。俺達の居るここは実は南極で、もう一つのサードが在る場所ってのは北極だろ?」
『はい。その通りでした』
「やっぱりかよ……欠陥媒体の野郎、クソ爺いよか始末が悪いな……。仕留めきれず逃がしたのは厄介かもしれん」
「逃したって……パパ? 仕留めたのと違うん?」
「未来、中枢核たる珠玉を見たか? 残ってねぇからな? 逃げたって言うよりは、戦術的撤退と考えるべきだな。間違いなくヤバい何ぞを実行する気で今は引いたと見てる」
「――義兄さん、どう言うことなのよ?」
「欠陥媒体の野郎の頭ん中は、ある意味で俺の複製体でもあるんでな?」
「貴方……それがどう関係するのよ? ちっとも解んないでしょ!」
欠陥媒体が情報を得る為に利用した……と言うかされただな。中継を成すモノが居るわけで。
ズバリ、婆ちゃんだな。
俺と接点のないラプラスが、どうやって俺の電波知識を盗んで得たかって点。
要は婆ちゃんにアクセスしてたってことだろうな。
欠陥媒体の姿は俺そのモノだったし、スライム状なキショい素体にしても、婆ちゃんに近しかったのがナニよりの証拠だ。
まぁ物真似しか芸のない欠陥媒体には、お似合いの猿真似だよ。
それにだ。セカンドが南極でサードが北極に在って、じゃあワンは何処に在るってなんだろ?
海底深くに遺跡として残ってた、セカンドと全く同質の、船首像みたいに埋まっていた無機質なモノが在った筈だ。
上と下の丁度中間地点に存在する、この孤島が浮上した意味を考えれば、この回答にすんなり辿り着く。
つまり、あれがモノリス・ワンだったってオチだな。
更に言うと、意識が同化していた婆ちゃんは、黄昏の珠玉であると同時にモノリス・ワンでもあるてこった。
そう考えると、やたらモノ知りな婆ちゃんってのも合点がいくってもんよ。
纏めると、モノリス・ワンでもある婆ちゃんから吸い上げていた俺の電波脳内の情報を、モノリス・セカンドとサードに転送、再構成させたていた、だな。
婆ちゃん自体、黄昏の珠玉って名称を持っていることからも、モノリス・ワンから切り離された、或いは産み出されたモノとは絶対に考えられないんでな?
ナニかの重要な理由で、態々、そこに配置されていたと考えれば、それらから導き出される答えは至極簡単。
「欠陥媒体の野郎がな、やらかそうとしてることは、成り代わって支配するなんつー生易しいもんじゃねーって話しだよ。俺達の居る現実世界をだな、神の真似事をして、自分の都合の良い世界を最初から構築し直して、全てを新たに創造するつもりでいるんだよ。もしも俺だったら確実にそうする」
「確かにパパならやりそう。パパの姿は伊達じゃないってこと? ボクからすれば、新世界創造って超あかん奴の代名詞なんだけど?」
「――パパ並みの電波に違いないってアイも言ったけど……本当に酷い。お姉ちゃんの言う通り、パパがしれっと思いつきそうな発想だよ」
「存外、過酷な言われよーなのな、俺?」
「貴方……前々から言ってるけど、本当にナニモノなの? 想像以上に電波過ぎる……アタシも認識を改めないといけないわよ、全く」
「褒めるな」
「「「褒めてないから!」」」
「私の彼――」
「「「それも、もう良いから! 御馳走様だから!」」」
「全く……ちょっと集まるのよ? アリサが解り易くLectureしてあげるのよ? 義兄さんは――」
最妃の側に皆が集まって、俺がした話しをアリサが更に噛み砕いて再説明し始めた。
博士号を持って教壇に立つだけあって、それは流石に俺よりも上手に伝えていく。
そして。
「貴方に貴女……本当に昔から――おっとっと、ヤバ。アタシが抹消されるトコだった」
婆ちゃんが告げてはいけない不穏当な内容を小声でポロリと溢す。
『今の独り言はあえてスルーしておくけどな? ここに来る前に呟いてたのは、モノリスのことだろ? 確かに在るか居るか判断に困る姿だからな? ――忘れていたわけではなく、俺のことと一緒で情報規制か何ぞがされてたんだろう……って、答えなくて良いから。俺の電波脳内でのただの独り言だ』
やんややんやと話しに夢中になってる、皆の耳には聴こえないように、あえて婆ちゃんだけを対象に念話で伝える俺。
『貴方……ごめん』
『独り言だっつーに、だから構うことはないさ。最妃と同じで、俺達の側から居なくならざるを得ないくらいなら言わんでも良いし、俺としても知りとーないわ。それが例え過去に俺的敵側だったとしても、だ。肝心の俺は忘れてるし、近くに監視の目? そんなもあるだし。――なあ、最妃』
そして、最妃にも念話を送り、同時に伝えておく。
俺の最愛の嫁の正体は……と、その言い方は正しくなくっておかしいな。
恐らくティアと同一人物……ヒト違うけど。
神話にあったように、分離した半身。
今は世を忍ぶ仮の姿とでも言うのが、一番近しい言い方かもな?
『――⁉︎ き、気付いてらしたの⁉︎』
『まあな。何年夫婦やってんだって、以前、言ったよな? お見通しだっつーの。婆ちゃんから聴かずとも俺が自力で答えに辿り着く。そしていつか全てを思い出すから。そう心配すんな、大丈夫だ』
『彼方……ナニもお伝え出来ず、申し訳御座いません』
『貴方……ナニモ――もう白々しいか。バレてたんだ』
『俺がナニだったなんてのは些細なことだ。俺は俺、それで良い。つーわけでいつも通りで頼む』
『当たり前ですわ。私は未来永劫、彼方のモノですものね』
『貴方……アタシも祖母の立ち位置でずっと居るから。絶対に裏切らないから。いつも一緒、離れないって誓約するから』
『おう。解ってるって――そんな顔するな。妹的美少女顔が台なしだぞ?』
『貴方――』
『さて、脳内の独り言はお終い。とにかく現状打破が最優先だ! このままでは帰るに帰れんからな?』
俺は俺、最妃は最妃、婆ちゃんは婆ちゃん。今もこれから先もそれで良いんだ。
ナニであろうと、どーだろうと、一切合切関係なくな?
さて。そんな些細なことよりも、どうやって詰んでるこの状況から抜け出すか。
この場から離脱して元に帰るかってのと、欠陥媒体の愚行を阻止するかなんだが……。
何ぞ良い方法はないモノかと、必死に思案するのだった――。
―――――――――― つづく。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
Tactical name: Living dead. “ Fairies never die――. ”
されど電波おやぢは妄想を騙る
SF
遠い昔の記憶なのでやや曖昧だが、その中でも鮮明に残っている光景がある。
企業が作った最先端のロボット達が織りなす、イベントショーのことだった。
まだ小学生だった頃の俺は両親に連れられて、とある博物館へと遊びに来ていた。
そこには色々な目的で作られた、当時の様々な工業機械や実験機などが、解説と一緒に展示されていた。
ラジコンや機械弄りが大好きだった俺は、見たこともない機械の物珍しさに、凄く喜んでいたのを朧げに覚えている。
その中でも人間のように二足歩行し、指や関節の各部を滑らかに動かして、コミカルなショーを演じていたロボットに、一際、興味を惹かれた。
それは目や鼻と言った特徴はない無機質さで、まるで宇宙服を着込んだ小さな人? そんな感じだった。
司会の女性が質問を投げ掛けると、人の仕草を真似て答える。
首を傾げて悩む仕草や、大袈裟に身振り手振りを加えたりと、仰々しくも滑稽に答えていた。
またノリの良い音楽に合わせて、ロボットだけにロボットダンスを披露したりもして、観客らを大いに楽しませていた。
声は声優さんがアテレコしていたのをあとから知るが、当時の俺は中に人が入ってるんじゃね? とか、本気で思っていたりもしていたくらいだ。
結局は人が別室で操作して動かす、正しくロボットに違いはなかった。
だがしかし、今現在は違う。
この僅か数十年でテクノロジーが飛躍的に進歩した現代科学。
それが生み出したロボットに変わるアンドロイドが、一般家庭や職場にも普及し、人と共に生活している時代だからだ。
外皮を覆う素材も数十年の間に切磋琢磨され、今では人間の肌の質感に近くなり、何がどうと言うわけではないが、僅かばかりの作り物臭さが残る程度。
またA.I.の発達により、より本物の人間らしい動き、表情の動きや感情表現までもを見事に再現している。
パッと見ただけでは、直ぐに人間と見分けがつかないくらい、精巧な仕上がりだ。
そんな昔のことを思い出している俺は、なんの因果か今現在、そのアンドロイドらと絶賛交戦中ってわけで――。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる