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◇第二部◇
第二九話 そして俺も知らない俺の秘密が暴露される?
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「そうそう、山田さん。大事なことを先に伝えておくね」
寝台横にある丸椅子に再びよじ登って、ちょこんと座る中村さん。
割と神妙な顔になって、そう話しを切り出してきた。
「……大事なこと?」
実は深刻な病気を患っている、或いはゾンビ化し始めてるって言うような……そんな話しじゃないよな?
「怪我の処置の最中にちょっと気になることがあってね。退廃前は命を担う仕事に就いていたボクだから、医学の知識もそれなりに覚えがあるんだ。昔取った杵柄ってヤツね? それで山田さんが寝ている間に、下半身からこっそり体液を採取して、ちょっと調べていたんだけど――すっごく濃くってビックリした」
ハイ。俺の想像の斜め上を遥かに飛び越えて、とんでもないことを言いくさりやがりました、この似非美幼女は!
「こらっ! 人が寝てる間になんてことすんだよっ! しかも何処からなんの体液を採取してんだよっ!」
「当然、血液よ――体液って言うと直ぐそんな卑猥なことに結びつけるんだから……えっち」
ニヤリと薄ら笑う中村さん。
「言い方っ! 言い方が根本的に誤解を招くっ! 誘導するんじゃねーよ、全くっ! ――ところで。俺の血液に何か問題でも?」
確信犯かよ……性格の悪い幼女ビッチだな。
「うん。それが――真っ赤っかで健康そのものなの」
再びニヤリと薄ら笑う中村さん。
「巫山戯んなっ! 大人を揶揄うんじゃねーよっ!」
「揶揄ってないわよ、失敬ね。それにボクも大人だっての。要はね? 全く異常が見当たらないくらい健康そのものってことが問題なのよ」
「――は?」
「細胞の各組織、血中に含まれる色んな成分……まぁ面倒だから難しいことは省くけど、その全てが常人の数倍は活性化してたのよ。簡単に言うと、どんな病気や怪我でもたちどころに治るとか、異常な回復力が見てとれたのよ。……原因は、勿論、不明」
「えーと……それってどう言う?」
「この退廃した世界の異常な環境に、山田さんの身体が適応しつつ変態していってる……と言えば解り易い?」
「まぢか……」
「実はね、肩の傷も処置する必要がなかったのよ。既に体組織が再生をし始めててね、傷自体が塞がり始めてたから。この人は本当に人間なの? って思ったから、ちょっと調べてみたら――これよ」
「変態って言うのは、痴女とかの蔑む意味での変態とは違う意味でのベクトルでか?」
「存外、過酷な言われようね、ボク。まぁ良いわ。幼女化したボクとはまた違ったベクトルで、徐々に変態してってるって言ってるの」
「意味がイマイチ……」
「もう! 要は元のそのままの姿で肉体……身体強化されてってるの! 漫画チックな響きだけど、超人的回復力を持った人類? そんな感じじゃない? 今のところ筋肉ムッキムキとかの解り易い風に外見には表れてないけど、いずれそうなるかもよ? 最悪、怖い化物になっちゃうかも?」
「俺が? 信じられんのだが?」
「では今からお姉さんが、山田さんの変態性を理解させてあげよう」
「だからいちいち誤解を誘発するような言い方をするんじゃねーよ……」
「――さて、なんて読む?」
徐に取り出した林檎印のタブレットに表示されるページを、俺の目と鼻の先で指差す中村さん。
「山田さんはむっつりスケベでDT臭い――って、ちょっとちょっと中村さんっ⁉︎ 美幼女が書いて良いことじゃないでしょっ⁉︎」
「正解。でも大枠では合ってるんでしょ? ――じゃあ……はい、次。この続きも読んでみて」
かなり遠くにスタスタと離れ、林檎印のタブレットに表示されるページの続きの文章を指差した中村さん。
「全く――えーと。……これがその距離で読める異常性に気付いてくれないかな、山田さん? ――は?」
「そう言うこと。視力も凄く良くなってるのよね。それも遠近感を損なわず、ごく自然にちゃんと切り替えて」
「まじか……それで黒いパンツに着いた茶色い染みにも気づけたのか俺は……」
「――なっ⁉︎ ボ、ボクはそんな染みなんてっ⁉︎ ……付着してなんて――ああああ」
「うひひ、やったね、仕返し成功! ザマァだ」
「ボクとしたことが、なんたる失態っ⁉︎ ――くっ、殺せっ! 生恥を晒すくらいなら――」
「――恥ずかしい染みくらいでオーバーだな? しかも何処の女騎士だよ?」
「ボクは女の子だっ! 流石に恥ずかしいってのっ! ちょっと着替えてくるっ!」
プンスカ怒りながら部屋を出ていった。
「怒っててもめっさ可愛いな。なんか微妙に癒された――眼福眼福っと。しかし……視力がこんだけ変わってるのに、全く気付かずにいたんだな俺は……」
しかもこれが身体強化の一端だと?
冗談みたいな話しだな。
三つ首や中村さんを見てなければ、信じられなかった話しだよ。
「もしかして……野良ゾンビに楽々対処できてたのって、これの所為だったのか? 一体、いつ頃から変態――違う。変化だ、変化っ! 俺が変化し始めたんだろうな。病気でもそうだけども、本人に自覚がないってのは本当に怖いな……」
中村さんが着替えて戻ってくるまで、特にすることもなく、ひたすら呆けて天井を眺めていた。
天井の滲みの一つ一つが、鮮明かつくっきりはっきり見えたので、羊代わりに数えていたり――
――――――――――
退廃した世界に続きはあるのか?
それは望み薄……。
寝台横にある丸椅子に再びよじ登って、ちょこんと座る中村さん。
割と神妙な顔になって、そう話しを切り出してきた。
「……大事なこと?」
実は深刻な病気を患っている、或いはゾンビ化し始めてるって言うような……そんな話しじゃないよな?
「怪我の処置の最中にちょっと気になることがあってね。退廃前は命を担う仕事に就いていたボクだから、医学の知識もそれなりに覚えがあるんだ。昔取った杵柄ってヤツね? それで山田さんが寝ている間に、下半身からこっそり体液を採取して、ちょっと調べていたんだけど――すっごく濃くってビックリした」
ハイ。俺の想像の斜め上を遥かに飛び越えて、とんでもないことを言いくさりやがりました、この似非美幼女は!
「こらっ! 人が寝てる間になんてことすんだよっ! しかも何処からなんの体液を採取してんだよっ!」
「当然、血液よ――体液って言うと直ぐそんな卑猥なことに結びつけるんだから……えっち」
ニヤリと薄ら笑う中村さん。
「言い方っ! 言い方が根本的に誤解を招くっ! 誘導するんじゃねーよ、全くっ! ――ところで。俺の血液に何か問題でも?」
確信犯かよ……性格の悪い幼女ビッチだな。
「うん。それが――真っ赤っかで健康そのものなの」
再びニヤリと薄ら笑う中村さん。
「巫山戯んなっ! 大人を揶揄うんじゃねーよっ!」
「揶揄ってないわよ、失敬ね。それにボクも大人だっての。要はね? 全く異常が見当たらないくらい健康そのものってことが問題なのよ」
「――は?」
「細胞の各組織、血中に含まれる色んな成分……まぁ面倒だから難しいことは省くけど、その全てが常人の数倍は活性化してたのよ。簡単に言うと、どんな病気や怪我でもたちどころに治るとか、異常な回復力が見てとれたのよ。……原因は、勿論、不明」
「えーと……それってどう言う?」
「この退廃した世界の異常な環境に、山田さんの身体が適応しつつ変態していってる……と言えば解り易い?」
「まぢか……」
「実はね、肩の傷も処置する必要がなかったのよ。既に体組織が再生をし始めててね、傷自体が塞がり始めてたから。この人は本当に人間なの? って思ったから、ちょっと調べてみたら――これよ」
「変態って言うのは、痴女とかの蔑む意味での変態とは違う意味でのベクトルでか?」
「存外、過酷な言われようね、ボク。まぁ良いわ。幼女化したボクとはまた違ったベクトルで、徐々に変態してってるって言ってるの」
「意味がイマイチ……」
「もう! 要は元のそのままの姿で肉体……身体強化されてってるの! 漫画チックな響きだけど、超人的回復力を持った人類? そんな感じじゃない? 今のところ筋肉ムッキムキとかの解り易い風に外見には表れてないけど、いずれそうなるかもよ? 最悪、怖い化物になっちゃうかも?」
「俺が? 信じられんのだが?」
「では今からお姉さんが、山田さんの変態性を理解させてあげよう」
「だからいちいち誤解を誘発するような言い方をするんじゃねーよ……」
「――さて、なんて読む?」
徐に取り出した林檎印のタブレットに表示されるページを、俺の目と鼻の先で指差す中村さん。
「山田さんはむっつりスケベでDT臭い――って、ちょっとちょっと中村さんっ⁉︎ 美幼女が書いて良いことじゃないでしょっ⁉︎」
「正解。でも大枠では合ってるんでしょ? ――じゃあ……はい、次。この続きも読んでみて」
かなり遠くにスタスタと離れ、林檎印のタブレットに表示されるページの続きの文章を指差した中村さん。
「全く――えーと。……これがその距離で読める異常性に気付いてくれないかな、山田さん? ――は?」
「そう言うこと。視力も凄く良くなってるのよね。それも遠近感を損なわず、ごく自然にちゃんと切り替えて」
「まじか……それで黒いパンツに着いた茶色い染みにも気づけたのか俺は……」
「――なっ⁉︎ ボ、ボクはそんな染みなんてっ⁉︎ ……付着してなんて――ああああ」
「うひひ、やったね、仕返し成功! ザマァだ」
「ボクとしたことが、なんたる失態っ⁉︎ ――くっ、殺せっ! 生恥を晒すくらいなら――」
「――恥ずかしい染みくらいでオーバーだな? しかも何処の女騎士だよ?」
「ボクは女の子だっ! 流石に恥ずかしいってのっ! ちょっと着替えてくるっ!」
プンスカ怒りながら部屋を出ていった。
「怒っててもめっさ可愛いな。なんか微妙に癒された――眼福眼福っと。しかし……視力がこんだけ変わってるのに、全く気付かずにいたんだな俺は……」
しかもこれが身体強化の一端だと?
冗談みたいな話しだな。
三つ首や中村さんを見てなければ、信じられなかった話しだよ。
「もしかして……野良ゾンビに楽々対処できてたのって、これの所為だったのか? 一体、いつ頃から変態――違う。変化だ、変化っ! 俺が変化し始めたんだろうな。病気でもそうだけども、本人に自覚がないってのは本当に怖いな……」
中村さんが着替えて戻ってくるまで、特にすることもなく、ひたすら呆けて天井を眺めていた。
天井の滲みの一つ一つが、鮮明かつくっきりはっきり見えたので、羊代わりに数えていたり――
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